紫花菜:花言葉「優秀」
「ここ、どうやって解くのか教えて」
目の前に差し出されたプリントを見ながら、私はノートに解き方を書いていく。
淡々としていて、無表情でいることが多いから私のことをロボットみたいなんて言う人もいる。
だけど、本当は彼の前だと緊張して、今だってシャーペンを持つ手が震えそう。
私は必死に表情をコントロールしながら平然を装っていた。
「すげー」
目を丸くして、食い入るようにノートを見ている彼の姿に釘づけになる。
彼は私のことを勉強ができる人だって思っているけれど、本当は違う。
家で念入りに予習して、聞かれたらいつだって答えられるようにしていた。
彼の指先が私のノートに書かれた文字をなぞる。
「字、綺麗だよな」
感情の制御が効かない。頬が熱くなって、咄嗟に俯く。
「この字、すげー好き」
自分の字が初めて特別なものに感じた。