目の前で川に流されていくゴブゥを僕は助けるために飛び込む。
「ゴブゥ早く!」
必死に手を伸ばすが、川の流れが早くて手が届く気がしない。
『ゴブゥゴブゥ!』
ゴブゥも手を伸ばそうとするが、何を思ったのか戻してしまう。きっと僕に触れたら臭くなると思ったのだろうか。
「僕はゴブゥの臭いが好きだよ! あんなこと言ってごめん」
僕は流されながらもゴブゥに謝る。伝えたいことはすぐに伝えないといけない。後悔した時にはもう遅い。
ゴブゥは理解したのか僕の手を取ると、そのままくっついてきた。川の中にいてもゴブゥは相変わらず臭かった。
やはりあまりくっつくのはやめるべきだろうか。
あっ、そういえば川に入るのは初めてだ。
もちろん僕が泳げるはずもなく、ゴブゥと一緒に流されていく。
そんな僕を助ける者がいた。
さっきまで川の近くにいた大きなもふもふだ。彼は僕とゴブゥを捕まえると、陸に投げ捨てた。
それだけ川が臭くなるのが嫌だったのか。
彼はゴブゥを掴んだ手がよほど臭いのか、何度も土に手を擦っては結局諦めてどこかへ行ってしまった。
「ゲホッ! ゲホッ!」
水を吐き出そうとしてか咳が止まらない。そんな僕の背中を心配してゴブゥは撫でている。
本当に優しい子なんだろう。ゴブゥを傷つけたことに僕は涙が止まらない。
「ごめんね、僕があんなことを言ったから」
僕はゴブゥに抱きついた。もう臭いからって絶対に離さない。もう二度と会えないのは辛いのを知っている。
もふもふできないなら他の方法を探せば良い。一緒に良い匂いになる方法を探せばいい。僕は何度も何度もゴブゥに謝った。
川で溺れた僕達は鞄を置きっぱなしにしていたことを思い出す。
せっかく依頼で採取した薬草を取りに行くために戻ることにした。
思ったよりも川の周囲って足場が悪かったのか、着いた頃には服は泥だらけになっていた。
服を再び川につけて泥を落としていく。濡れた服は木に干して乾くのを待つことにした。
今日は天気が良いから服もすぐに乾くだろう。
お腹が減った僕は持っていた果実を食べることにした。休憩中にスキルを使ったため、果実を食べずに鞄に残っている。
真っ赤な見た目で、中が甘酸っぱい果実。
僕が食べようと口に咥えると、ゴブゥは僕の方を見ていた。
ガチャテイムしてから何も食べていないからか、お腹が減っているのだろうか。
僕は半分に割ってゴブゥと一緒に食べることにした。
森の中で静かに過ごす時間も悪くない。これからもそういう時間を取ってゴブゥのことを考える時間を作ろう。
いつか臭いが取れるかもしれない。
「服も乾いてきたから帰ろ――」
果実を食べ終わった僕はゴブゥの異変に気づく。
鼻がゴブゥの臭いに慣れて臭さを感じないのかとずっと思っていたが、抱きついた時に全く臭いがしない。
しかも、さっきと同じ果実の匂いがすることに気づいた。
これはゴブゥのスキルの影響なんだろうか。今後色んな物を食べさせて試す必要がある。
ただ、言えることはこれでゴブゥが嫌われなくて済む。
家族が嫌われているところは、できるなら見たくはない。
「おーい、リックどこだー?」
『キュキュ!』
僕を探していたのか、ロンリーコンの声が聞こえてきた。
「ここだよー!」
僕の声に反応して森の奥がゴソゴソときこえてくる。きっとずっと探していたのだろう。
モススは僕を見つけると、僕とゴブゥを交互に見ている。迷ったあげく鳴きながら、羽をバタバタして僕に抱きついてきた。
『キュキュ!』
僕から離れたことを謝っているのだろう。モススにも悪いことをしてしまった。
「もう臭くないから大丈夫だよ」
寂しかったのか僕の体にスリスリとしている。まるで自分の匂いを僕につけようとしているのだろう。
ずっと探し回ってくれた二人にも謝らないといけないな。
「ご迷惑おかけしてすみま――」
「おいおい、モススいきなり……ああ、愛しのリックの全裸だ。もう死んでも後悔はない」
なぜかショタッコンがその場で倒れていた。
「ゴブゥ早く!」
必死に手を伸ばすが、川の流れが早くて手が届く気がしない。
『ゴブゥゴブゥ!』
ゴブゥも手を伸ばそうとするが、何を思ったのか戻してしまう。きっと僕に触れたら臭くなると思ったのだろうか。
「僕はゴブゥの臭いが好きだよ! あんなこと言ってごめん」
僕は流されながらもゴブゥに謝る。伝えたいことはすぐに伝えないといけない。後悔した時にはもう遅い。
ゴブゥは理解したのか僕の手を取ると、そのままくっついてきた。川の中にいてもゴブゥは相変わらず臭かった。
やはりあまりくっつくのはやめるべきだろうか。
あっ、そういえば川に入るのは初めてだ。
もちろん僕が泳げるはずもなく、ゴブゥと一緒に流されていく。
そんな僕を助ける者がいた。
さっきまで川の近くにいた大きなもふもふだ。彼は僕とゴブゥを捕まえると、陸に投げ捨てた。
それだけ川が臭くなるのが嫌だったのか。
彼はゴブゥを掴んだ手がよほど臭いのか、何度も土に手を擦っては結局諦めてどこかへ行ってしまった。
「ゲホッ! ゲホッ!」
水を吐き出そうとしてか咳が止まらない。そんな僕の背中を心配してゴブゥは撫でている。
本当に優しい子なんだろう。ゴブゥを傷つけたことに僕は涙が止まらない。
「ごめんね、僕があんなことを言ったから」
僕はゴブゥに抱きついた。もう臭いからって絶対に離さない。もう二度と会えないのは辛いのを知っている。
もふもふできないなら他の方法を探せば良い。一緒に良い匂いになる方法を探せばいい。僕は何度も何度もゴブゥに謝った。
川で溺れた僕達は鞄を置きっぱなしにしていたことを思い出す。
せっかく依頼で採取した薬草を取りに行くために戻ることにした。
思ったよりも川の周囲って足場が悪かったのか、着いた頃には服は泥だらけになっていた。
服を再び川につけて泥を落としていく。濡れた服は木に干して乾くのを待つことにした。
今日は天気が良いから服もすぐに乾くだろう。
お腹が減った僕は持っていた果実を食べることにした。休憩中にスキルを使ったため、果実を食べずに鞄に残っている。
真っ赤な見た目で、中が甘酸っぱい果実。
僕が食べようと口に咥えると、ゴブゥは僕の方を見ていた。
ガチャテイムしてから何も食べていないからか、お腹が減っているのだろうか。
僕は半分に割ってゴブゥと一緒に食べることにした。
森の中で静かに過ごす時間も悪くない。これからもそういう時間を取ってゴブゥのことを考える時間を作ろう。
いつか臭いが取れるかもしれない。
「服も乾いてきたから帰ろ――」
果実を食べ終わった僕はゴブゥの異変に気づく。
鼻がゴブゥの臭いに慣れて臭さを感じないのかとずっと思っていたが、抱きついた時に全く臭いがしない。
しかも、さっきと同じ果実の匂いがすることに気づいた。
これはゴブゥのスキルの影響なんだろうか。今後色んな物を食べさせて試す必要がある。
ただ、言えることはこれでゴブゥが嫌われなくて済む。
家族が嫌われているところは、できるなら見たくはない。
「おーい、リックどこだー?」
『キュキュ!』
僕を探していたのか、ロンリーコンの声が聞こえてきた。
「ここだよー!」
僕の声に反応して森の奥がゴソゴソときこえてくる。きっとずっと探していたのだろう。
モススは僕を見つけると、僕とゴブゥを交互に見ている。迷ったあげく鳴きながら、羽をバタバタして僕に抱きついてきた。
『キュキュ!』
僕から離れたことを謝っているのだろう。モススにも悪いことをしてしまった。
「もう臭くないから大丈夫だよ」
寂しかったのか僕の体にスリスリとしている。まるで自分の匂いを僕につけようとしているのだろう。
ずっと探し回ってくれた二人にも謝らないといけないな。
「ご迷惑おかけしてすみま――」
「おいおい、モススいきなり……ああ、愛しのリックの全裸だ。もう死んでも後悔はない」
なぜかショタッコンがその場で倒れていた。