僕は次の方法を探すために、近くにいたマンドラゴラを引き抜く。いつの間にかロンリーコンやショタッコンもいなくなったため、頼れる人がいないのだ。

『マン……ドラアアアアアアアアアア!』

 やはりマンドラゴラは臭いに敏感なんだろう。叫びながらジタバタしている。

「ヨウヨウ、ニオイノケシカタオシエテクレ」

『マンマン、ハヤクカワニイケ! ドラ……ドラアアアアアアアアアア!』

 どうやら川にいけば臭いが取れるのかも知らない。マンドラゴラにお礼を伝えて土の中に戻して埋めてあげる。

 今度は川に向かうことにした。

『マンマン、アナガチガウドラアアアアアアアアアア! ココノアナクサイドラアアアアア!』

 土の中でマンドラゴラは叫んでいたが、その声が聞こえるものは誰一人としていなかった。





 森の中で川を探すために歩いていると、近くを通る魔物や動物に遭遇した。ただ、においに敏感なのか走って逃げていく。

 緑色の見た目をした背丈が同じぐらいの人間にも会ったが、すぐに走って逃げていった。武器を持って走ってきたのは、何か理由があったのだろうか。

 ただ、魔物に襲われる心配がないため、探索には向いているのかもしれない。

「あっ、水の音がするよ!」

 どこからか水の流れる音が聞こえてきた。きっと川が近くにあるはずだ。

 木をかき分けて森の中を進んでいくと、大きなもふもふしたやつと目が合った。体を洗っていたのかゴシゴシと擦っている。

「もっ……もふもふ!?」

 僕は急いでもふもふに近寄る。だが、大きなもふもふは顔を歪めて川の中に入る。そのままどこかへ行ってしまった。

 特徴的な長い尻尾がゆらゆらと川に流れていく。

 それだけゴブゥの臭いが強烈なんだろう。ずっとゴブゥといたらもふもふもできなくなってしまいそうだ。

「もう誰ももふもふさせてくれないのかな」

 せっかく会えたのに悲しくなってきた。そんな僕を慰めようと、一生懸命ゴブゥは僕の頭撫でてくれる。

 それでもやっぱり臭いのだ。ゴブゥの手が臭すぎる。

「もう、ゴブゥのせいなんだからね! もっといい匂いを出してくれたら、僕はみんなに嫌われずに済むのに……」

 ゴブゥに八つ当たりしても仕方ない。それでもゴブゥは自分のことを理解しているのだろう。

 僕の腕から飛び降りて、トボトボと寂しそうに川を歩いていく。

 ゴブゥは水が嫌いなのか、恐る恐る手をつけて川に入っていく。必死に川に体を浸けてゴシゴシと擦っている。

 体についた臭いを取るために、何度も何度も体が傷ついても止めようとしない。

 それだけ僕と一緒にいたいのだろうか。

「もう、いいよ! そこまでしなくても――」

『ゴブゥ!』

 もふもふできないのは辛い。でも大事な家族が傷つく姿はもっと見たくない。

 ゴブゥを止めようと追いかけるが、気づいた時にはゴブゥは川に流されていく。

 あの鳴き声は溺れている声だった。