僕はゴブリンに嬉しくて抱きつく。ツルツルする体は前と変わらない。

 そしてめちゃくちゃ臭いのも変わらない。

 ゴブリンの特徴と言ったらこの臭いだ。少し癖になるようなこの臭いが懐かしく感じる。

「ずっと会いたかったよ!」

 もふもふできないため、代わりにスリスリする。いつの間にかモススもSランク冒険者の二人の元へ逃げていた。

「おい、リック大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ!」

 僕がゴブリンと共に近づくと、少しずつ二人は後退していく。そんなにゴブリンは臭いのだろうか。

 モススも心配しているのか、目を光らせてこっちを見ている。

 単純に僕がテイムしているから、臭いを感じない気もする。

「みんなも見たことあるゴブリンですよ!」

 ゴブリンを持ち上げると、二人は走って逃げていく。

 ゴブリンってそんなに強い魔物だったのか?

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[ステータス]
【名前】 なし
【種族】 ゴブリン(カメムシ)
【制限】 無制限
【筋力】 13
【耐久】 35
【敏捷】 76
【魔力】 105
【幸運】 25
【固有スキル】 パーフェクトパフューム

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 突然出てきたステータスを僕は確認していく。

 あれ?

 名前がついていないってことは、あの時のゴブリンとは違う個体なんだろうか。

「君の名前はゴブゥだけどいいかな?」

 名前がなかったため、前のゴブリンと同じ名前をつけることにした。今回のゴブリンは制限がないため、ずっと一緒に入れるのだろう。

 ただ、ずっと一緒にいると僕は友達がいなくなりそうだ。

「臭いを消すにはどうしたらいいですか?」

 僕は遠くにいる二人に聞くと、口を揃えて答えた。

「そいつはどうにもならない!」

 どうやらゴブリンの臭さは体から染み付いているのだろう。困っている僕をゴブゥは優しく撫でてくれた。

 ただ、僕の頭も臭くなったようだ。





 僕はゴブゥを連れて、マンドラゴラがいるところまで戻った。あそこにある土はすごく柔らかかったため、土を使えば臭いが消えないかと思ったのだ。

 土浴って言葉も聞いたことがある。

 きっと聞いたことがあるはず……だよね?

「確かにこの辺の土だった――」

『マンマンドラ……』

 マンドラゴラは僕に気づいたのか、勝手に土の中からニョキニョキと出てきた。だが、どこか様子が違う。

『ママママ……ドラアアアアアアアアアア!』

 大きな声で叫びながら勢いよく走って逃げていく。高速に動く手足が勢いを物語っている。

 ちょうどマンドラゴラがいた穴は良さそうな深さだ。あとは横に少しずつ掘ればゴブゥは入れそうだ。

「よいしょ! よいしょ!」

 土を掘ったところにゴブゥを入れる。土の中は冷んやりしているのか、少し寒そうにしていていた。

 しばらく土をかけたりして、土浴の時間を楽しむ。 

 僕の手は温かいのか、ゴブゥはずっとスリスリしていた。

 そのせいか僕の手はさらに臭くなってしまった。

 土浴が終わり臭いが取れたのか確認する。

 これで取れなければ違う方法を探さないといけないだろう。

「くんくん……くちゃ!?」

 どうやらまだまだゴブゥの臭いは取れてないようだ。