マリアとモススは僕のずっと前を走っている。走っても走っても、僕は追いつけないでいた。息を吸っても吸いきれず呼吸が止まりそうだ。
「バフッ!?」
息苦しさに目を覚ますと、顔の上でモススは羽をバタバタとしていた。なぜ、顔の上でやっているのだろうか。
そして、置いていかれていたのが夢の中でよかった。
「お兄ちゃん大丈夫?」
そんなモススをマリアが退けている。
「マリアは大丈夫?」
マリアは頷いていた。特に怪我はなく僕は安心した。僕の体もいつのまにか痛みもなく、いつも通りだ。
「リック起きたか?」
扉が開く音が聞こえると、オーブナー達が入ってきた。それに続いてゾロゾロと人がたくさん入ってきた。
ほとんどが公爵家の人以外で、知らない人ばかりだ。
「えーっと……」
「サゲスーム次期公爵が貴族裁判にかけられることが決まってな」
どうやら昨日のことを聞くために、城から人が訪れたらしい。
僕は昨日の出来事を話した。突然ナイフで襲われたこと。
そして、その原因が過去にダンジョンで起こった出来事が関係していることを。
聴取していた人は僕の体が普通に動くことに驚いていたが、その時に手に入れたエリクサーの話をするともっと驚いていた。
やはり珍しいポーションという認識は合っているようだ。
僕もいまだにエリクサーを求めている。フェンリルに会ってお礼を伝えることもだが、マリアの病気を治すためにも必要になる。
話し終えると僕達とオーブナーだけが部屋に残り、他の人達は出て行く。まだまだ聴取が必要らしい。
オーブナーの話では、今回の出来事が大きな問題になっていると言っていた。
その一つが僕にワシが懐いていたこと。
ワシは王家の中で崇められ、王族の象徴となる生物だと言われている。ただ、そのワシは王族に懐くことはない。
過去にソフィアが無理やりワシを引っ張って連れてきただけでも、城の中がパニックになった。
そんなワシが懐いたのが、ただの平民である僕ということでさらに注目されている。
二つ目はマリアがソフィア殿下のドレスを作って庇護下にあるということだ。
公にされてはいないが、ソフィア殿下の庇護下にマリアの工房がある。そもそも工房もないが、勝手にソフィア殿下が工房を作ることに決定したらしい。
よって工房主のマリアはソフィア殿下に守られているということだ。
マリアが詳しく聞いたのも今さっきらしい。ただ、問題なのはマリアが工房を作らないといけないということだ。
その辺は公爵家とソフィア殿下が色々と用意してくれることになった。
これで僕達が再び襲われる心配がないことになる。やっと安心して生活ができるとわかっただけで、全身の力が抜けてしまう。
「それでお前達に話があるんだが、元々いた街に戻るか?」
オーブナーがずっと聞きたそうにしていたのは、僕達があの家に戻るかどうかってことらしい。
僕はマリアの顔を見ると、すでに彼女も決まっているようだ。
「王都にいます!」
僕達の声は重なった。あの時に家は売り払い、名前を一緒に置いてきたと思っている。だから別に戻る気もない。
むしろマリアのことを考えると、せっかくやりたいことが見つかって工房も持てるチャンスを尚更捨てるわけにはいかない。
「そうか……わかった」
何かを思ったのかオーブナーはそれだけ伝えると部屋から出ていった。
まだ疲れが残っている僕は再びモススを抱えて、共にベッドに潜る。今度はしっかり胸に抱えて寝るのを忘れない。
おい、また顔の上に乗ろうとするな。
「バフッ!?」
息苦しさに目を覚ますと、顔の上でモススは羽をバタバタとしていた。なぜ、顔の上でやっているのだろうか。
そして、置いていかれていたのが夢の中でよかった。
「お兄ちゃん大丈夫?」
そんなモススをマリアが退けている。
「マリアは大丈夫?」
マリアは頷いていた。特に怪我はなく僕は安心した。僕の体もいつのまにか痛みもなく、いつも通りだ。
「リック起きたか?」
扉が開く音が聞こえると、オーブナー達が入ってきた。それに続いてゾロゾロと人がたくさん入ってきた。
ほとんどが公爵家の人以外で、知らない人ばかりだ。
「えーっと……」
「サゲスーム次期公爵が貴族裁判にかけられることが決まってな」
どうやら昨日のことを聞くために、城から人が訪れたらしい。
僕は昨日の出来事を話した。突然ナイフで襲われたこと。
そして、その原因が過去にダンジョンで起こった出来事が関係していることを。
聴取していた人は僕の体が普通に動くことに驚いていたが、その時に手に入れたエリクサーの話をするともっと驚いていた。
やはり珍しいポーションという認識は合っているようだ。
僕もいまだにエリクサーを求めている。フェンリルに会ってお礼を伝えることもだが、マリアの病気を治すためにも必要になる。
話し終えると僕達とオーブナーだけが部屋に残り、他の人達は出て行く。まだまだ聴取が必要らしい。
オーブナーの話では、今回の出来事が大きな問題になっていると言っていた。
その一つが僕にワシが懐いていたこと。
ワシは王家の中で崇められ、王族の象徴となる生物だと言われている。ただ、そのワシは王族に懐くことはない。
過去にソフィアが無理やりワシを引っ張って連れてきただけでも、城の中がパニックになった。
そんなワシが懐いたのが、ただの平民である僕ということでさらに注目されている。
二つ目はマリアがソフィア殿下のドレスを作って庇護下にあるということだ。
公にされてはいないが、ソフィア殿下の庇護下にマリアの工房がある。そもそも工房もないが、勝手にソフィア殿下が工房を作ることに決定したらしい。
よって工房主のマリアはソフィア殿下に守られているということだ。
マリアが詳しく聞いたのも今さっきらしい。ただ、問題なのはマリアが工房を作らないといけないということだ。
その辺は公爵家とソフィア殿下が色々と用意してくれることになった。
これで僕達が再び襲われる心配がないことになる。やっと安心して生活ができるとわかっただけで、全身の力が抜けてしまう。
「それでお前達に話があるんだが、元々いた街に戻るか?」
オーブナーがずっと聞きたそうにしていたのは、僕達があの家に戻るかどうかってことらしい。
僕はマリアの顔を見ると、すでに彼女も決まっているようだ。
「王都にいます!」
僕達の声は重なった。あの時に家は売り払い、名前を一緒に置いてきたと思っている。だから別に戻る気もない。
むしろマリアのことを考えると、せっかくやりたいことが見つかって工房も持てるチャンスを尚更捨てるわけにはいかない。
「そうか……わかった」
何かを思ったのかオーブナーはそれだけ伝えると部屋から出ていった。
まだ疲れが残っている僕は再びモススを抱えて、共にベッドに潜る。今度はしっかり胸に抱えて寝るのを忘れない。
おい、また顔の上に乗ろうとするな。