公爵家の人達が誰もいないため、パーティー会場に居づらくなった僕達は庭がある外に出ることにした。
公爵家の人達が心配すると思い、給仕している人に庭にいると伝えてもらうように声をかける。
きっと僕がいないとまたどこかへ行ったと驚くからね。
僕はマリアにも庭にいるワシを見せようと思ったのだ。
外に出ると涼しい風が暖かくなった体を冷やしていく。
「すごい綺麗だね」
初めて見た大きな庭にマリアも喜んでいた。夜の庭は魔道具の光と月明かりで綺麗に花が輝いていた。
そんな中光と共に大きな影が忍び寄る。
『久しぶりだな』
声をかけてきたのは白い体に黒の模様が特徴のワシ・セイジュウだ。
「ワシ……さん?」
マリアは思っていたワシと違ったのか、首を傾げていた。確かに同じフェンリルのモススとはどこか違う見た目をしている。
『ワシに何か用か?』
「妹にももふもふのワシさんを紹介しようと思って遊びに来たよ!」
マリアはワシに近づき挨拶をした。特に気にしていないのか、地面に横たわり尻尾をバタバタと動かしている。
ひょっとしてもふもふして欲しいのだろうか。
「今日ももふもふしていいですか?」
『勝手にしろ』
言葉はどこか素っ気ないが、尻尾が今の気持ちを表しているのだろう。大きく振り回して花が飛び散るほどだ。
僕はワシの首元に触れもふもふする。マリアも触ってみたいのか、近くに寄ってきて一緒にもふもふを楽しむ。
「これが聖獣の毛並みなんですね」
「ワシさんすごいもふもふだよね」
ダンジョンで会ったフェンリルよりは少し柔らかめな触り心地だ。一番ふわふわしているのは断然モススだろう。
ワシも気持ち良いのか、喉を鳴らしてゴロゴロと言っている。
「そういえば、ソフィア殿下大丈夫かな?」
『ソフィアがどうかしたのか?』
「んー、何か悩み事があるらしいよ」
『あやつは自分の気持ちを押し殺すからな。昔はワシによく泣きついていたぞ』
ワシの話では、ソフィアは小さい頃から泣き虫だったらしい。その度にオーブナーが泣かしていたと勘違いされていたと。
そんな仲の良い二人に何があったのだろう。
そして、オーブナーは昔から怖い顔をしていたのだろうか。
もふもふしながら話していると、マリアは不思議そうな顔で僕を見ていた。
「お兄ちゃんってワシさんと話せるの?」
「ん? マリアには聞こえないの?」
僕の言葉に頷く。みんなに聞こえていると思っていたワシの声はどうやら僕にしか聞こえていないらしい。
側から見たら僕が頭のおかしい人に見えるだろう。実際にワシに確認すると、波長が合う者のみ声が聞こえるらしい。
今まで王族の中にも、会話ができた存在はいない。
そもそも気まぐれな性格のため、城のどこかにいるが会うことはほとんどないらしい。
そんなワシに会えたのも、僕の幸運が関係しているのかもしれない。
僕達はもふもふ堪能し終わる頃には足音が近づいて来た。
気まぐれなワシは立ち上がり城を軽々しく登っていく。
城から落ちないのか不思議に思ったが、ワシの手が引っ付いているように見える。
「皆さん遅い――」
公爵家の人達が来たと思い振り返ると、そこには一番会いたくない人物が立っていた。
公爵家の人達が心配すると思い、給仕している人に庭にいると伝えてもらうように声をかける。
きっと僕がいないとまたどこかへ行ったと驚くからね。
僕はマリアにも庭にいるワシを見せようと思ったのだ。
外に出ると涼しい風が暖かくなった体を冷やしていく。
「すごい綺麗だね」
初めて見た大きな庭にマリアも喜んでいた。夜の庭は魔道具の光と月明かりで綺麗に花が輝いていた。
そんな中光と共に大きな影が忍び寄る。
『久しぶりだな』
声をかけてきたのは白い体に黒の模様が特徴のワシ・セイジュウだ。
「ワシ……さん?」
マリアは思っていたワシと違ったのか、首を傾げていた。確かに同じフェンリルのモススとはどこか違う見た目をしている。
『ワシに何か用か?』
「妹にももふもふのワシさんを紹介しようと思って遊びに来たよ!」
マリアはワシに近づき挨拶をした。特に気にしていないのか、地面に横たわり尻尾をバタバタと動かしている。
ひょっとしてもふもふして欲しいのだろうか。
「今日ももふもふしていいですか?」
『勝手にしろ』
言葉はどこか素っ気ないが、尻尾が今の気持ちを表しているのだろう。大きく振り回して花が飛び散るほどだ。
僕はワシの首元に触れもふもふする。マリアも触ってみたいのか、近くに寄ってきて一緒にもふもふを楽しむ。
「これが聖獣の毛並みなんですね」
「ワシさんすごいもふもふだよね」
ダンジョンで会ったフェンリルよりは少し柔らかめな触り心地だ。一番ふわふわしているのは断然モススだろう。
ワシも気持ち良いのか、喉を鳴らしてゴロゴロと言っている。
「そういえば、ソフィア殿下大丈夫かな?」
『ソフィアがどうかしたのか?』
「んー、何か悩み事があるらしいよ」
『あやつは自分の気持ちを押し殺すからな。昔はワシによく泣きついていたぞ』
ワシの話では、ソフィアは小さい頃から泣き虫だったらしい。その度にオーブナーが泣かしていたと勘違いされていたと。
そんな仲の良い二人に何があったのだろう。
そして、オーブナーは昔から怖い顔をしていたのだろうか。
もふもふしながら話していると、マリアは不思議そうな顔で僕を見ていた。
「お兄ちゃんってワシさんと話せるの?」
「ん? マリアには聞こえないの?」
僕の言葉に頷く。みんなに聞こえていると思っていたワシの声はどうやら僕にしか聞こえていないらしい。
側から見たら僕が頭のおかしい人に見えるだろう。実際にワシに確認すると、波長が合う者のみ声が聞こえるらしい。
今まで王族の中にも、会話ができた存在はいない。
そもそも気まぐれな性格のため、城のどこかにいるが会うことはほとんどないらしい。
そんなワシに会えたのも、僕の幸運が関係しているのかもしれない。
僕達はもふもふ堪能し終わる頃には足音が近づいて来た。
気まぐれなワシは立ち上がり城を軽々しく登っていく。
城から落ちないのか不思議に思ったが、ワシの手が引っ付いているように見える。
「皆さん遅い――」
公爵家の人達が来たと思い振り返ると、そこには一番会いたくない人物が立っていた。