薬草の採取を終えるとしばらくは家で過ごすことが増えた。公爵家の屋敷はとても広く、森に行かなくても毎日探検しているようだ。
そんな僕達は庭でお花を見ながら、みんなをもふもふしていた。
「タマ気持ち良いか?」
気づかないうちにタマは少し大きくなり、自然とポケットから顔が出るようになった。そんなタマも僕にもふもふされるのが好きらしい。
すでに毛繕いを終えたモススと毛玉は、庭に転がっている。
一方、マリアは近くの椅子でオーブナーにプレゼントする予定の替え服のサイズ調整をしている。優しいオーブナーに似合うように、少しお花を散らすと言っていた。
「よし、これで良いかな?」
毛繕いを終えたタマは嬉しそうに自分の体を擦っていた。すると体をブルブルと震わせる。
そんなに嬉しいのだろうか。
いや、その震えは何かおかしい……。
僕は温めるために急いでタマを手に乗せる。だが、僕の目がおかしいのか次第にタマがボヤけて見えてきた。
「あれ……タマが増えた? タマとタマタマ?」
そっくりな二匹は僕の顔を見ると手を上げている。
猫って子どもをすぐ産めるようになると聞いたことがある。知らないうちにどんどんと野良猫も増えていた。
子どもを産んだからなのか、大きさも以前のタマに戻っている。
これが猫の出産なんだろう。初めての出来事に僕は感動した。
タマとタマタマを胸ポケットに入れると、ちょうどサイズ感も良さそうだ。
僕はもふもふを終えるとマリアの元へ戻った。マリアも作業が終わったのか、手に替え服を持っていた。
下の方を中心に全体に散りばめられた花がオーブナーの優しさが伝わってくる。
僕達は早速屋敷にいるオーブナーを探した。
♢
どうやらオーブナーは母親である公爵夫人と話をしていたようだ。
「失礼します!」
「んっ? どうしたんだ?」
僕達が急に来たから何かあると思っているのだろう。僕達も早く渡したくて顔がニヤニヤとしている。
「今日はオーブナーさんにプレゼントを持ってきたんです!」
その言葉にオーブナーもどこか嬉しそうだ。僕とマリアで替え服の端を持って広げる。
「ジャーン! 替え服のプレゼントです!」
その瞬間、オーブナーは固まっていた。
「これっていつもお前達が着ているやつだよな?」
替え服はお手伝いをしている時にすでに見ている。その時にオーブナーも便利そうだから欲しいって言ったのが、プレゼントを渡すきっかけだ。
オーブナーは手に取ったものの、その場で戸惑っている。ひょっとしたら着方がわからないのだろうか。
隣にいる公爵夫人が、必死に笑いを堪えている。
「僕が手伝いましょうか?」
「ふふふ、せっかくだから着てあげなさいよ」
オーブナーは眉間にしわを寄せていた。大人になって人に手伝ってもらうのが恥ずかしいのか、顔を赤く染めている。
屈んだオーブナーの首元に紐を通して、お腹周りにある紐も後ろで縛る。これでしっかり着ることができるだろう。
「あはは、こんな息子初めてみたわ」
公爵夫人は大きな声を出して笑っていた。優しいオーブナーに似合う小さな花がさらにオーブナーの優しさを演出する。
「おう……ありがとな!」
オーブナーは僕達の頭を撫でるとそのままどこかへ行ってしまった。少し目がうるうるとしているように見えた。
「あの大きな体格とイカつい顔に花柄って……あはは、あなた達良いセンスを持っているわね」
どうやらオーブナーへのプレゼント計画は成功したらしい。
それにしても公爵夫人はずっとお腹を抱えて笑っていた。
そんな僕達は庭でお花を見ながら、みんなをもふもふしていた。
「タマ気持ち良いか?」
気づかないうちにタマは少し大きくなり、自然とポケットから顔が出るようになった。そんなタマも僕にもふもふされるのが好きらしい。
すでに毛繕いを終えたモススと毛玉は、庭に転がっている。
一方、マリアは近くの椅子でオーブナーにプレゼントする予定の替え服のサイズ調整をしている。優しいオーブナーに似合うように、少しお花を散らすと言っていた。
「よし、これで良いかな?」
毛繕いを終えたタマは嬉しそうに自分の体を擦っていた。すると体をブルブルと震わせる。
そんなに嬉しいのだろうか。
いや、その震えは何かおかしい……。
僕は温めるために急いでタマを手に乗せる。だが、僕の目がおかしいのか次第にタマがボヤけて見えてきた。
「あれ……タマが増えた? タマとタマタマ?」
そっくりな二匹は僕の顔を見ると手を上げている。
猫って子どもをすぐ産めるようになると聞いたことがある。知らないうちにどんどんと野良猫も増えていた。
子どもを産んだからなのか、大きさも以前のタマに戻っている。
これが猫の出産なんだろう。初めての出来事に僕は感動した。
タマとタマタマを胸ポケットに入れると、ちょうどサイズ感も良さそうだ。
僕はもふもふを終えるとマリアの元へ戻った。マリアも作業が終わったのか、手に替え服を持っていた。
下の方を中心に全体に散りばめられた花がオーブナーの優しさが伝わってくる。
僕達は早速屋敷にいるオーブナーを探した。
♢
どうやらオーブナーは母親である公爵夫人と話をしていたようだ。
「失礼します!」
「んっ? どうしたんだ?」
僕達が急に来たから何かあると思っているのだろう。僕達も早く渡したくて顔がニヤニヤとしている。
「今日はオーブナーさんにプレゼントを持ってきたんです!」
その言葉にオーブナーもどこか嬉しそうだ。僕とマリアで替え服の端を持って広げる。
「ジャーン! 替え服のプレゼントです!」
その瞬間、オーブナーは固まっていた。
「これっていつもお前達が着ているやつだよな?」
替え服はお手伝いをしている時にすでに見ている。その時にオーブナーも便利そうだから欲しいって言ったのが、プレゼントを渡すきっかけだ。
オーブナーは手に取ったものの、その場で戸惑っている。ひょっとしたら着方がわからないのだろうか。
隣にいる公爵夫人が、必死に笑いを堪えている。
「僕が手伝いましょうか?」
「ふふふ、せっかくだから着てあげなさいよ」
オーブナーは眉間にしわを寄せていた。大人になって人に手伝ってもらうのが恥ずかしいのか、顔を赤く染めている。
屈んだオーブナーの首元に紐を通して、お腹周りにある紐も後ろで縛る。これでしっかり着ることができるだろう。
「あはは、こんな息子初めてみたわ」
公爵夫人は大きな声を出して笑っていた。優しいオーブナーに似合う小さな花がさらにオーブナーの優しさを演出する。
「おう……ありがとな!」
オーブナーは僕達の頭を撫でるとそのままどこかへ行ってしまった。少し目がうるうるとしているように見えた。
「あの大きな体格とイカつい顔に花柄って……あはは、あなた達良いセンスを持っているわね」
どうやらオーブナーへのプレゼント計画は成功したらしい。
それにしても公爵夫人はずっとお腹を抱えて笑っていた。