受付嬢に挨拶を済ませて、採取依頼を受けることにした。今回も王都ではあまり受ける人がいない薬草の採取だ。

 決して光る上位薬草を採取するわけではない。

「そういえばリックってステータスを確認しているか?」

 確かステータスを確認したのは名前を変えた時だ。あの時は少し強くなったことに驚いた。

 ただ、数値が上がっても魔物と戦えるようになるわけではない。

 実際に駆け出し冒険者が戦うコボルト相手に苦戦していた。

 きっとあれからステータスは変わらないだろう。

「金を払うから俺らにも見せてもらってもいいか?」

 オーブナーは僕の実力を判断するためにも、ステータスを見ておきたいらしい。

 ひょっとしたら一人で薬草採取に行っても良い許可が降りるかもしれない。

 お金も自分で払わなくてもいいなら、ありがたくここはステータスの確認をすることにした。

 僕はギルドスタッフが持ってきた板に手を当て、ステータスを確認する。

「なんだこれ……」

 目の前に出てきたステータスを見て僕は驚く。

「俺達も見ていいか?」

「はい」

 僕は手だけ板に乗せた状態で体をずらす。基本的にステータスは他の人には見えないようになっているため、体をずらして覗くようにしないと他の人は見えない。

「どれどれ……なんだこれは!?」

 それは僕も言いたい。オーブナーは口が開いた状態で時が止まっている。

 ロンリーコンやショタッコンも僕のステータスを見て驚いていた。

「リックは神の子(・・・)だったのか」

 ショタッコンなんて僕を見て祈り始めたのだ。

 これが今の僕のステータスだ。

――――――――――――――――――――

[ステータス]
【名前】 リック
【種族】 人間
【制限】 限界突破
【筋力】 16
【耐久】 75
【敏捷】 78
【魔力】 118
【幸運】 151
【固有スキル】 ガチャテイム
【スキル】 毛繕い

――――――――――――――――――――

 普通のCランク冒険者なら二桁中盤ぐらいが当たり前だ。

 Aランクとかになる頃には三桁になると言われている。

 そんな中、僕のステータスは【魔力】と【幸運】がAランク冒険者並のステータスだ。

「俺こんなに幸運が高いやつ見たことないぞ」

 Sランク冒険者のロンリーコンでも、これだけ幸運の高さを見たことがないらしい。

 ショタッコンが"神の子"って言ったのは、この幸運の高さのことを言っているのだろう。

 そもそもステータスという概念が何かわからない。昔から強さを数値で見る文化があったそうだが、実力は数値では計り知れないのが現状だ。

「オーブナーさんやお二人に出会えたのもこの幸運のおかげですね」

 確かに僕はモススと出会ってから運が良くなった気がする。

 良い人達に恵まれたのが、一番幸運だったと言える。

「くっ……」

 オーブナーはまたどこか遠くを見て鼻をすすっている。ずっと風邪気味で大丈夫なのだろうか。

 薬草採取に行かずに体を休めた方が良い気がする。

「ははは、朝から泣かせにくるなー」

「俺はずっと神の子であるリックと巡り会うために生きてきたんだ」

「おいおい、そこまでいくと気持ち悪いぞ」

「お前だってマリアちゃんを――」

「あの子は天使様です」

 今日も大人達は僕よりも元気なようです。

 それよりも他の冒険者達に引かれているのは気のせいでしょうか。