綺麗なドレスを着飾った女性が優雅に部屋に入って来た。その歩き方一つ取っても気品に溢れている。
「オーブナーさんの妹さんですか?」
「はぁん!?」
「ならお姉さんですかね?」
見た目からしてオーブナーとそこまで年齢は変わらないだろう。僕の話を聞いて女性は口に手を当てて優しく微笑む。
オーブナーの顔を見ると、さっきのように眉間にシワを寄せていた。
あっ、これは怒っているやつだ。
「そんなに怒らないの! 相変わらず表現が苦手なのね」
女性はオーブナーに近づくと、眉間をぐりぐりと押している。そんなことをしたら怒るはず……。
だが、オーブナーは何も言わずに黙っていた。
「ふふふ、私はこの人の母親ですよ」
母親ってあの母親?
もし、オーブナーの母親なら何か魔法でも使っているのだろうか。
部屋の空間を広げることができるぐらいだから、見た目を若返らせることぐらい簡単かもしれない。
「すごい魔法もあるんですね」
「いや、どこから見てもシワだらけのおばさ――」
話が終わる前にオーブナーは床とキスをしていた。オーブナーの怒らせたら怖いところは、母親譲りなんだろう。
そんな怖い女性ではあるが、マリアの目は輝いていた。やはり女の子はキラキラとしたドレスに興味があるのだろう。
いつもキラキラした服を着させられなくて、申し訳ない気持ちになってしまう。
「あらあら、そんなに悲しい顔をしないで。あなた達みたいな子は笑顔が一番よ」
オーブナーの母親は僕の頬を優しく撫でて微笑む。久しぶりに大人の女性に優しくされ、どこか甘えたい気持ちが出てきてしまう。
「ふふふ、あなただけ独り占めしていたのね」
いつのまにか僕は頭を突き出していた。
母親に撫でられたのは何歳頃だったろうか。
モススはいつもこんな気持ちになっていたのか。
そんな僕を見て、マリアも同じような動きをしている。
「はぁ、撫でるぐらい俺がいつでも――」
「あなたのその手で撫でられたら、頭が飛んでいっちゃうじゃないの」
どうやらオーブナーの力は頭を簡単に吹き飛ばすことができるらしい。今度頭を触られそうになったら、全力で逃げないといけない。
「それであなた達に用事があって来たけど、よかったらかしら?」
オーブナーの母親であるミリアムは、事前にハンカチーフの話を聞いていた。
マリアが作ったハンカチーフを今回見に来たそうだ。
鞄からハンカチーフを出して並べていく。その種類は様々で形や柄、糸の種類とたくさんの物を用意している。
王都に来るまでにも、馬車の中でずっと作っていたのだ。
その中でも惹きつけられるのは、やはりモススからもらった白い謎の物体から作ったハンカチーフだ。
ハンカチーフとしては、手は綺麗になりにくいが、純白で綺麗に輝くその生地がミリアムを魅了していた。
「これは高値がつくだろ?」
「そうね。むしろハンカチーフにするのは勿体無いぐらいよ」
ミリアムの言葉にマリアは暗い顔をするが、すぐに訂正する。
どうやらハンカチーフよりは、ドレスなどにした方が人を魅了させると言っていた。
ただドレスを作るにはまだまだ糸が足りないのが現状。
モススがどこからか持ってきた白い謎の物体を多く手に入れないとドレスは作れないだろう。
「ドレスを作ってみたいな」
それでもマリアはドレスを作りたいのだろう。ボソッと小さく呟く声が僕の耳に聞こえてきた。
「ぜひ、ドレスを作らせてください! それまでには糸を集めてきます!」
ここはあの謎の白い物体を探してくるしかない。確信はないがモススとなら見つけられる気がした。
妹がやりたいことをやらせてあげるのが、僕の役目だと思っている。
「なら今度のパーティーまでにドレスを用意してもらおうかしらね」
すでにパーティーで着るドレスは用意しているらしい。だから、そこまで気にしなくても良いとミリアムは言っていた。
ドレスを作るための道具や職人は、公爵家で用意してくることになった。
マリアにとっての初めての挑戦だ。
キラキラと光る生き生きとした目を見て、僕も嬉しい気持ちになった。
「オーブナーさんの妹さんですか?」
「はぁん!?」
「ならお姉さんですかね?」
見た目からしてオーブナーとそこまで年齢は変わらないだろう。僕の話を聞いて女性は口に手を当てて優しく微笑む。
オーブナーの顔を見ると、さっきのように眉間にシワを寄せていた。
あっ、これは怒っているやつだ。
「そんなに怒らないの! 相変わらず表現が苦手なのね」
女性はオーブナーに近づくと、眉間をぐりぐりと押している。そんなことをしたら怒るはず……。
だが、オーブナーは何も言わずに黙っていた。
「ふふふ、私はこの人の母親ですよ」
母親ってあの母親?
もし、オーブナーの母親なら何か魔法でも使っているのだろうか。
部屋の空間を広げることができるぐらいだから、見た目を若返らせることぐらい簡単かもしれない。
「すごい魔法もあるんですね」
「いや、どこから見てもシワだらけのおばさ――」
話が終わる前にオーブナーは床とキスをしていた。オーブナーの怒らせたら怖いところは、母親譲りなんだろう。
そんな怖い女性ではあるが、マリアの目は輝いていた。やはり女の子はキラキラとしたドレスに興味があるのだろう。
いつもキラキラした服を着させられなくて、申し訳ない気持ちになってしまう。
「あらあら、そんなに悲しい顔をしないで。あなた達みたいな子は笑顔が一番よ」
オーブナーの母親は僕の頬を優しく撫でて微笑む。久しぶりに大人の女性に優しくされ、どこか甘えたい気持ちが出てきてしまう。
「ふふふ、あなただけ独り占めしていたのね」
いつのまにか僕は頭を突き出していた。
母親に撫でられたのは何歳頃だったろうか。
モススはいつもこんな気持ちになっていたのか。
そんな僕を見て、マリアも同じような動きをしている。
「はぁ、撫でるぐらい俺がいつでも――」
「あなたのその手で撫でられたら、頭が飛んでいっちゃうじゃないの」
どうやらオーブナーの力は頭を簡単に吹き飛ばすことができるらしい。今度頭を触られそうになったら、全力で逃げないといけない。
「それであなた達に用事があって来たけど、よかったらかしら?」
オーブナーの母親であるミリアムは、事前にハンカチーフの話を聞いていた。
マリアが作ったハンカチーフを今回見に来たそうだ。
鞄からハンカチーフを出して並べていく。その種類は様々で形や柄、糸の種類とたくさんの物を用意している。
王都に来るまでにも、馬車の中でずっと作っていたのだ。
その中でも惹きつけられるのは、やはりモススからもらった白い謎の物体から作ったハンカチーフだ。
ハンカチーフとしては、手は綺麗になりにくいが、純白で綺麗に輝くその生地がミリアムを魅了していた。
「これは高値がつくだろ?」
「そうね。むしろハンカチーフにするのは勿体無いぐらいよ」
ミリアムの言葉にマリアは暗い顔をするが、すぐに訂正する。
どうやらハンカチーフよりは、ドレスなどにした方が人を魅了させると言っていた。
ただドレスを作るにはまだまだ糸が足りないのが現状。
モススがどこからか持ってきた白い謎の物体を多く手に入れないとドレスは作れないだろう。
「ドレスを作ってみたいな」
それでもマリアはドレスを作りたいのだろう。ボソッと小さく呟く声が僕の耳に聞こえてきた。
「ぜひ、ドレスを作らせてください! それまでには糸を集めてきます!」
ここはあの謎の白い物体を探してくるしかない。確信はないがモススとなら見つけられる気がした。
妹がやりたいことをやらせてあげるのが、僕の役目だと思っている。
「なら今度のパーティーまでにドレスを用意してもらおうかしらね」
すでにパーティーで着るドレスは用意しているらしい。だから、そこまで気にしなくても良いとミリアムは言っていた。
ドレスを作るための道具や職人は、公爵家で用意してくることになった。
マリアにとっての初めての挑戦だ。
キラキラと光る生き生きとした目を見て、僕も嬉しい気持ちになった。