「マリアどうする?」
「私はお兄ちゃんの意見に合わせるよ。ただ、せっかく作ったハンカチーフを誰かに使ってもらえると嬉しいかな」
僕達は王都に行くかの話し合いをしている。昨日オーブナーにハンカチーフを渡したら、王都に行かないかと誘われた。
オーブナーは元々公爵家出身の騎士だったらしく、その伝手で僕達を庇護下に置けないかと考えているらしい。
Aランク冒険者に命を狙われていることを考えると、王都に近づくことは避けた方が良いのだろう。
ただ、マリアの希望も叶えたいのが正直なところだ。せっかく作ったハンカチーフを僕のせいで売らないってことはしたくない。
僕に合わせると言いながらも、本当は王都に行きたいのだろう。
いつまで生きられるかわからないが、初めて自分から何かをしたいと言ってきた。
そのマリアの気持ちを僕は大事にしたいと思った。
「せっかくだから王都に行こう! マリアが作ったハンカチーフをみんなで売ろうよ」
「えっ? いいの?」
僕が頷くとモススと毛玉もその意見には賛成のようだ。
幸いオーブナーがある程度のことは対処してくれると言っていた。だから、僕達はそれに乗っかるだけだ。
僕達は家族だ。
誰かのためにみんなで協力するのが本当の家族。
だから、家族のやりたいことは僕達のやりたいことだ。
僕達は王都に行くことに決めた。
♢
「おい、なんか子ども達が王都に行くって言っていたぞ?」
「ああ、俺もオーブナーから聞いた」
俺はやっと癒しの存在を見つけた。いつも頭には魔物を乗せて、満面の笑みを周囲に振り撒いているそんな少年だ。
そんな癒しがこの街を離れて王都に行くと言っていた。病気の妹のやりたいことを叶えてあげたいという理由らしい。
あの小さな体で妹思いなのを知ると、さらに俺はリックに惹かれた。
俺に愛を向けなくても良い。
俺は頑張る男の子を応援したいのだ。
だから、リックみたいな子は俺にとって癒しの存在だ。
むしろ俺のことが好きだと言われたら幻滅してしまう。
そもそも俺がこんなに頑張る男の子が好きになったのは、自分の才能のせいだ。
昔からなんでもできた俺は何かに執着することもなく、頑張ったこともない。
だからそういう子がいたら、今も心のどこかで憧れているのだろう。
「それでショタッコンはどうするんだ?」
「はぁん? そんなの聞かなくてもわかるだろ」
「ああ、俺達は――」
「天使様に付いて行く!」
「リックに付いて行く!」
ロンリーコンと言葉が重なったようだ。Sランク冒険者になったら特にやることもない。
金や強さはもういらない。
あとは己の欲求を満たしてくれる存在を、ただひたすらと応援するだけだ。
どうせオーブナーも付いて行くことになるだろうから、人が多い方が楽しいだろう。
「じゃあ、俺は今日もリックの観察に行ってくる」
「ああ、俺も天使様と仲良くなってくるわ」
俺達の人生にはまだまだ魅力的な世界が待っている。
「私はお兄ちゃんの意見に合わせるよ。ただ、せっかく作ったハンカチーフを誰かに使ってもらえると嬉しいかな」
僕達は王都に行くかの話し合いをしている。昨日オーブナーにハンカチーフを渡したら、王都に行かないかと誘われた。
オーブナーは元々公爵家出身の騎士だったらしく、その伝手で僕達を庇護下に置けないかと考えているらしい。
Aランク冒険者に命を狙われていることを考えると、王都に近づくことは避けた方が良いのだろう。
ただ、マリアの希望も叶えたいのが正直なところだ。せっかく作ったハンカチーフを僕のせいで売らないってことはしたくない。
僕に合わせると言いながらも、本当は王都に行きたいのだろう。
いつまで生きられるかわからないが、初めて自分から何かをしたいと言ってきた。
そのマリアの気持ちを僕は大事にしたいと思った。
「せっかくだから王都に行こう! マリアが作ったハンカチーフをみんなで売ろうよ」
「えっ? いいの?」
僕が頷くとモススと毛玉もその意見には賛成のようだ。
幸いオーブナーがある程度のことは対処してくれると言っていた。だから、僕達はそれに乗っかるだけだ。
僕達は家族だ。
誰かのためにみんなで協力するのが本当の家族。
だから、家族のやりたいことは僕達のやりたいことだ。
僕達は王都に行くことに決めた。
♢
「おい、なんか子ども達が王都に行くって言っていたぞ?」
「ああ、俺もオーブナーから聞いた」
俺はやっと癒しの存在を見つけた。いつも頭には魔物を乗せて、満面の笑みを周囲に振り撒いているそんな少年だ。
そんな癒しがこの街を離れて王都に行くと言っていた。病気の妹のやりたいことを叶えてあげたいという理由らしい。
あの小さな体で妹思いなのを知ると、さらに俺はリックに惹かれた。
俺に愛を向けなくても良い。
俺は頑張る男の子を応援したいのだ。
だから、リックみたいな子は俺にとって癒しの存在だ。
むしろ俺のことが好きだと言われたら幻滅してしまう。
そもそも俺がこんなに頑張る男の子が好きになったのは、自分の才能のせいだ。
昔からなんでもできた俺は何かに執着することもなく、頑張ったこともない。
だからそういう子がいたら、今も心のどこかで憧れているのだろう。
「それでショタッコンはどうするんだ?」
「はぁん? そんなの聞かなくてもわかるだろ」
「ああ、俺達は――」
「天使様に付いて行く!」
「リックに付いて行く!」
ロンリーコンと言葉が重なったようだ。Sランク冒険者になったら特にやることもない。
金や強さはもういらない。
あとは己の欲求を満たしてくれる存在を、ただひたすらと応援するだけだ。
どうせオーブナーも付いて行くことになるだろうから、人が多い方が楽しいだろう。
「じゃあ、俺は今日もリックの観察に行ってくる」
「ああ、俺も天使様と仲良くなってくるわ」
俺達の人生にはまだまだ魅力的な世界が待っている。