魔の森に着くと早速目当ての薬草を探す。この間、採取した光った薬草が効果的だとオーブナーは言っていた。
そもそも肉食のフェンリルが薬草を食べるのだろうか。
僕は茂みの中を手でかき分け薬草を探す。普通の草の中に、キラキラと光を放つ草を見つけて手に取る。
「たぶんこの辺にあると……あったよ!」
薬草を取って二人に見せると驚いた顔でこちらを見ていた。
「本当に存在するんだな」
いまだに薬草がどこにあるのかはっきりとはわからない。
ただ、適当に探すと視界にキラキラと光が集まるところには、大体薬草が生えている。
「キラキラしているところにたくさん生えているよ」
僕は光が集まっているところを中心に指を差すが、二人は首を傾げていた。どうやら二人には見えていないようだ。
だから、ちゃんと証明するために一緒に草をかき分ける。
「俺には一緒にしか見えないんだよな」
「ああ、それは俺も同じだ。抜いた途端に少し光っているような気がする程度だ」
こんなに輝いているのに、気づかないってことは僕が特殊なんだろうか。
「じゃあ、リックはあまり離れないようにな。俺達は周囲に糸がないか探す」
僕はその場で薬草探しをして、オーブナーとロンリーコンは糸を吐く魔物を探すことになった。
どんな姿をした魔物かはわからないが、スパイダー系と言っていた。今度冒険者ギルドで魔物図鑑があるのか聞いてみよう。
「あっ、あそこにも薬草がある」
そんなことを思いながら、僕は必死にモススのために薬草を探す。いつのまにか僕よりも草が高くなり、僕の背丈を超えていた。
「オーブナーさん……?」
たくさんの薬草を採取した僕は辺りを見渡すが、二人の姿は消えていた。どうやら僕は森に取り残されたようだ。
ダンジョンで初めてフェンリルと会った時を思い出してしまう。
あの時も僕だけ置いていかれて死ぬ覚悟をした。
だが、今はモススが――。
そういえば、モススもこの場にはいなかった。
本当に僕一人が森に残されてしまった。
僕は来た道を必死に戻るが、一向に二人の姿は見えない。あの二人が僕を置いていくはずがない。
そう思ってもどんどんと不安になってしまう。
一度人に裏切られたら、そう簡単には信じられない。でも、オーブナーは僕達のことを受け止めてくれた。
妹の病気のことも治す手段を彼も調べてくれると言っていた。
だから僕も彼らのことを信じている。
僕は草をかき分けて二人を探す。どんどんと草の高さが高くなり、完璧に僕の姿は隠れてしまった。
「オーブナーさんどこに……うわっ!?」
草をかき分けていると、突然茶色のもしゃもしゃしたのが現れた。
向こうもびっくりしたのか、目が合うとピョンピョンと飛び跳ねている。
すぐにその場から離れて木に隠れている。ただ、お尻が少し出ているところが愛らしい。
どことなく前に住んでいたところにいた野良猫にそっくりだ。
「食事中に邪魔してごめんね」
僕は声をかけると両手をあげて振っている。これは別に気にしていないという意味なんだろうか。
申し訳ない気持ちになった僕は薬草を鞄から取り出して足元に置く。もしゃもしゃとした見た目で、モシャモシャと草を食べていたのだ。
僕が離れると急いで薬草に近寄り食べている。どうやら気に入ってもらえたようだ。
再び二人を探すために歩くと、いつのまにか背後にさっきの猫が付いてきていた。
ただ、僕とは一定の距離を保ち、僕が止まれば向こうもその場で止まっている。
「薬草あげるから一緒に歩こう」
一人でずっと歩くのは心細い。薬草を鞄から取り出し、手に持っていると猫は少しずつ近づき、手から薬草を食べている。
よく見たら大きな目の隣には小さな四つの目があった。
猫ってこんなに目があったのかな?
そんなことを思いながら、採取した半分の薬草をあげるとすぐに完食していた。
満足したのか食事を終えたら、その場で寝転び毛繕いをしている。
「僕も手伝ってあげようか?」
ゆっくりと猫に触れると、小さな目も見開き驚いた顔をしていた。
毛の感触は少し硬めで、モススの柔らかい毛とは違うようだ。
もふもふしている間に、少しずつ僕の気持ちも落ち着いてくる。
疲れたのかだんだん眠くなってきた。
♢
「おーい、リックどこだー?」
誰かが僕を呼んでいる気がして目を覚ました。気づいた時には僕は猫の腹を枕にして寝ていたようだ。
猫もどうしたら良いのかわからず困惑していたのだろう。
お礼を伝えるために再びもふもふとしていたら、気持ち良いのか目が横に伸びている。
「おい、リックこんなところで……今すぐ離れろ!」
オーブナーは僕を見つけると安心した顔をしていた。ただ、隣に猫がいることに気づいて剣を構えた。
ひょっとして猫嫌いなんだろうか。
「リックそいつはスパイダー系の上位種だ!」
どうやら二人が探していた糸を吐く魔物は猫のことだったらしい。
そもそも肉食のフェンリルが薬草を食べるのだろうか。
僕は茂みの中を手でかき分け薬草を探す。普通の草の中に、キラキラと光を放つ草を見つけて手に取る。
「たぶんこの辺にあると……あったよ!」
薬草を取って二人に見せると驚いた顔でこちらを見ていた。
「本当に存在するんだな」
いまだに薬草がどこにあるのかはっきりとはわからない。
ただ、適当に探すと視界にキラキラと光が集まるところには、大体薬草が生えている。
「キラキラしているところにたくさん生えているよ」
僕は光が集まっているところを中心に指を差すが、二人は首を傾げていた。どうやら二人には見えていないようだ。
だから、ちゃんと証明するために一緒に草をかき分ける。
「俺には一緒にしか見えないんだよな」
「ああ、それは俺も同じだ。抜いた途端に少し光っているような気がする程度だ」
こんなに輝いているのに、気づかないってことは僕が特殊なんだろうか。
「じゃあ、リックはあまり離れないようにな。俺達は周囲に糸がないか探す」
僕はその場で薬草探しをして、オーブナーとロンリーコンは糸を吐く魔物を探すことになった。
どんな姿をした魔物かはわからないが、スパイダー系と言っていた。今度冒険者ギルドで魔物図鑑があるのか聞いてみよう。
「あっ、あそこにも薬草がある」
そんなことを思いながら、僕は必死にモススのために薬草を探す。いつのまにか僕よりも草が高くなり、僕の背丈を超えていた。
「オーブナーさん……?」
たくさんの薬草を採取した僕は辺りを見渡すが、二人の姿は消えていた。どうやら僕は森に取り残されたようだ。
ダンジョンで初めてフェンリルと会った時を思い出してしまう。
あの時も僕だけ置いていかれて死ぬ覚悟をした。
だが、今はモススが――。
そういえば、モススもこの場にはいなかった。
本当に僕一人が森に残されてしまった。
僕は来た道を必死に戻るが、一向に二人の姿は見えない。あの二人が僕を置いていくはずがない。
そう思ってもどんどんと不安になってしまう。
一度人に裏切られたら、そう簡単には信じられない。でも、オーブナーは僕達のことを受け止めてくれた。
妹の病気のことも治す手段を彼も調べてくれると言っていた。
だから僕も彼らのことを信じている。
僕は草をかき分けて二人を探す。どんどんと草の高さが高くなり、完璧に僕の姿は隠れてしまった。
「オーブナーさんどこに……うわっ!?」
草をかき分けていると、突然茶色のもしゃもしゃしたのが現れた。
向こうもびっくりしたのか、目が合うとピョンピョンと飛び跳ねている。
すぐにその場から離れて木に隠れている。ただ、お尻が少し出ているところが愛らしい。
どことなく前に住んでいたところにいた野良猫にそっくりだ。
「食事中に邪魔してごめんね」
僕は声をかけると両手をあげて振っている。これは別に気にしていないという意味なんだろうか。
申し訳ない気持ちになった僕は薬草を鞄から取り出して足元に置く。もしゃもしゃとした見た目で、モシャモシャと草を食べていたのだ。
僕が離れると急いで薬草に近寄り食べている。どうやら気に入ってもらえたようだ。
再び二人を探すために歩くと、いつのまにか背後にさっきの猫が付いてきていた。
ただ、僕とは一定の距離を保ち、僕が止まれば向こうもその場で止まっている。
「薬草あげるから一緒に歩こう」
一人でずっと歩くのは心細い。薬草を鞄から取り出し、手に持っていると猫は少しずつ近づき、手から薬草を食べている。
よく見たら大きな目の隣には小さな四つの目があった。
猫ってこんなに目があったのかな?
そんなことを思いながら、採取した半分の薬草をあげるとすぐに完食していた。
満足したのか食事を終えたら、その場で寝転び毛繕いをしている。
「僕も手伝ってあげようか?」
ゆっくりと猫に触れると、小さな目も見開き驚いた顔をしていた。
毛の感触は少し硬めで、モススの柔らかい毛とは違うようだ。
もふもふしている間に、少しずつ僕の気持ちも落ち着いてくる。
疲れたのかだんだん眠くなってきた。
♢
「おーい、リックどこだー?」
誰かが僕を呼んでいる気がして目を覚ました。気づいた時には僕は猫の腹を枕にして寝ていたようだ。
猫もどうしたら良いのかわからず困惑していたのだろう。
お礼を伝えるために再びもふもふとしていたら、気持ち良いのか目が横に伸びている。
「おい、リックこんなところで……今すぐ離れろ!」
オーブナーは僕を見つけると安心した顔をしていた。ただ、隣に猫がいることに気づいて剣を構えた。
ひょっとして猫嫌いなんだろうか。
「リックそいつはスパイダー系の上位種だ!」
どうやら二人が探していた糸を吐く魔物は猫のことだったらしい。