「んー、重いよ!」
僕は鞄にたくさん詰め込んだ荷物を持って森の中を歩いていた。中にはコボルトを倒した時に出たモサモサした毛玉と採取依頼の薬草、そして男が脱げ捨てた服が入っている。
流石に全裸で街に戻っては警備隊に捕まってしまうと思い、服を持っていくことにした。
また、コボルトの死体は森に置いてある。鞄に入れることもできないし、討伐証明がどこなのかもわからないため、一旦森に放置することにした。
それでも入っている中身が少ないと思ったが、まさかの毛玉が思ったよりも重かった。
ふわふわとしているわけでもなく、全体がモサモサとしているのが原因なんだろうか。
周囲は少しずつ暗くなり、早く帰らないと真っ暗になり帰れなくなりそうだ。
「んっ、リックはなんでこんなところにいるんだ?」
声をかけられた方を振り向くと、そこには宿屋の店主であるオーブナーがいた。
「オーブナーさーん!」
僕は知っている人に会えたことが、あまりにも嬉しくて飛びつくように抱きついた。
「ぐふっ!?」
どうやら勢いをつけ過ぎたようだ。オーブナーは息が漏れ出ていた。
そういえば、僕の敏捷って43もあるから、勢いをつけて飛びつくと、その分衝撃が増したのだろう。
「それで魔の森で何してるんだ?」
「いや、採取依頼に――」
「採取依頼だって? 俺は外で元気に遊んで来いって言ったよな」
なぜかオーブナーは怒っていた。僕は離れようとしたが、すでに僕の腕を掴んで逃げられなくなっている。
記憶の中を遡ると、確かにオーブナーは"外で遊んでこい"と言っていた。
「いや、ここも外――」
「そんな言い訳は聞かないぞ!」
僕はそのまま抱えられながら街に戻ることになった。
重かった鞄もオーブナーに取っては軽いのか、軽々しく持ち上げていた。
そのオーブナーはずっと"軽過ぎる……何を食べさせようか"ってぶつぶつと何か言っていた。
♢
「おい、ミリアこれはどういうことなんだ?」
「オーブナー様!?」
僕はそのまま冒険者ギルドに連れて行かれた。オーブナーに僕が冒険者ギルドに登録しており、冒険者だと伝えると眉間に皺を寄せていた。
顔が直視できないほど怒っているのだ。僕は別に悪いことをしているつもりもない。
ただ、採取依頼を受けただけだ。
「こいつ、採取を受けるために魔の森にいたぞ」
「魔の森ですか!?」
ギルドスタッフも僕の顔を見て驚いている。だが少し考えて思い出したかのように手を叩いていた。
「ロンリーコンさんとショタッコンさんがすぐに追いかけて行きましたが――」
「あの子ども好きのSランク冒険者達か。むしろそっちの方が危ないじゃねーか!」
きっと男二人組のことを言っているのだろう。一人は全裸で走って行ったが、確かに危ない人だった。
それにしても彼らがSランク冒険者だとは思いもしなかった。
ただ、突然現れた男と全裸の男。記憶に残っているのはそれだけだ。
「おい、ならリックはなぜ一人でいたんだ?」
存在感を薄くしていたはずだが、オーブナーは僕の頬を潰している。そんなに頬で遊ばれたら、話したいことも話せない。
ギルドスタッフも戸惑っている。
僕は隙を見てオーブナーの腕から逃げると、鞄から証拠品を取り出す。どこか寂しそうな顔をしているが、頬をぐりぐりされたら誰だって痛い。
「あの人達、服を脱いでどこかに行きましたよ」
鞄から取り出したのは、どちらかが着ていた服だ。街に入って問題にならないように、持ってきたがオーブナーに連れていかれたため、会うことはなかった。
「ほぉ、お前はあいつに襲われそうに――」
「ううん。なんか一緒に来てた人にハァハァ言って追いかけて行きましたよ?」
正直にあったことを伝えると、なぜか冒険者ギルド内は驚きの声で溢れかえっていた。それだけびっくりすることが起きたのだろうか。
念の為にオーブナーは僕の体に傷がないか確認したが、何もなくて安心したのだろう。
オーブナーに会う前に回復ポーションを飲んでいるからな。
やっとオーブナーは朝のような穏やかな顔に戻っていた。
「あとはちゃんと採取依頼の薬草も持ってきましたよ!」
鞄からたくさん持ってきた薬草達を取り出した。キラキラと光っていた薬草は、なぜか鞄の中でも光っていた。
そしてテーブルに置いた状態でも光っている。
薄暗い森の中だから光っていると思っていたが、元々光っている薬草なんだろう。
「おい、ここのギルドは子どもにこんな高級で難易度が高い薬草を取りに行かせるのか?」
ギルドスタッフは僕と薬草、そしてオーブナーを交互に見て頭を下げた。
「私達の説明不足でしたああああ!」
どうやら僕は採取依頼と異なる薬草を持ってきてしまったようだ。
きっと採取依頼に失敗したのだろう。
ああ……今後のレンタル武器のお金はどうしようか。
僕は鞄にたくさん詰め込んだ荷物を持って森の中を歩いていた。中にはコボルトを倒した時に出たモサモサした毛玉と採取依頼の薬草、そして男が脱げ捨てた服が入っている。
流石に全裸で街に戻っては警備隊に捕まってしまうと思い、服を持っていくことにした。
また、コボルトの死体は森に置いてある。鞄に入れることもできないし、討伐証明がどこなのかもわからないため、一旦森に放置することにした。
それでも入っている中身が少ないと思ったが、まさかの毛玉が思ったよりも重かった。
ふわふわとしているわけでもなく、全体がモサモサとしているのが原因なんだろうか。
周囲は少しずつ暗くなり、早く帰らないと真っ暗になり帰れなくなりそうだ。
「んっ、リックはなんでこんなところにいるんだ?」
声をかけられた方を振り向くと、そこには宿屋の店主であるオーブナーがいた。
「オーブナーさーん!」
僕は知っている人に会えたことが、あまりにも嬉しくて飛びつくように抱きついた。
「ぐふっ!?」
どうやら勢いをつけ過ぎたようだ。オーブナーは息が漏れ出ていた。
そういえば、僕の敏捷って43もあるから、勢いをつけて飛びつくと、その分衝撃が増したのだろう。
「それで魔の森で何してるんだ?」
「いや、採取依頼に――」
「採取依頼だって? 俺は外で元気に遊んで来いって言ったよな」
なぜかオーブナーは怒っていた。僕は離れようとしたが、すでに僕の腕を掴んで逃げられなくなっている。
記憶の中を遡ると、確かにオーブナーは"外で遊んでこい"と言っていた。
「いや、ここも外――」
「そんな言い訳は聞かないぞ!」
僕はそのまま抱えられながら街に戻ることになった。
重かった鞄もオーブナーに取っては軽いのか、軽々しく持ち上げていた。
そのオーブナーはずっと"軽過ぎる……何を食べさせようか"ってぶつぶつと何か言っていた。
♢
「おい、ミリアこれはどういうことなんだ?」
「オーブナー様!?」
僕はそのまま冒険者ギルドに連れて行かれた。オーブナーに僕が冒険者ギルドに登録しており、冒険者だと伝えると眉間に皺を寄せていた。
顔が直視できないほど怒っているのだ。僕は別に悪いことをしているつもりもない。
ただ、採取依頼を受けただけだ。
「こいつ、採取を受けるために魔の森にいたぞ」
「魔の森ですか!?」
ギルドスタッフも僕の顔を見て驚いている。だが少し考えて思い出したかのように手を叩いていた。
「ロンリーコンさんとショタッコンさんがすぐに追いかけて行きましたが――」
「あの子ども好きのSランク冒険者達か。むしろそっちの方が危ないじゃねーか!」
きっと男二人組のことを言っているのだろう。一人は全裸で走って行ったが、確かに危ない人だった。
それにしても彼らがSランク冒険者だとは思いもしなかった。
ただ、突然現れた男と全裸の男。記憶に残っているのはそれだけだ。
「おい、ならリックはなぜ一人でいたんだ?」
存在感を薄くしていたはずだが、オーブナーは僕の頬を潰している。そんなに頬で遊ばれたら、話したいことも話せない。
ギルドスタッフも戸惑っている。
僕は隙を見てオーブナーの腕から逃げると、鞄から証拠品を取り出す。どこか寂しそうな顔をしているが、頬をぐりぐりされたら誰だって痛い。
「あの人達、服を脱いでどこかに行きましたよ」
鞄から取り出したのは、どちらかが着ていた服だ。街に入って問題にならないように、持ってきたがオーブナーに連れていかれたため、会うことはなかった。
「ほぉ、お前はあいつに襲われそうに――」
「ううん。なんか一緒に来てた人にハァハァ言って追いかけて行きましたよ?」
正直にあったことを伝えると、なぜか冒険者ギルド内は驚きの声で溢れかえっていた。それだけびっくりすることが起きたのだろうか。
念の為にオーブナーは僕の体に傷がないか確認したが、何もなくて安心したのだろう。
オーブナーに会う前に回復ポーションを飲んでいるからな。
やっとオーブナーは朝のような穏やかな顔に戻っていた。
「あとはちゃんと採取依頼の薬草も持ってきましたよ!」
鞄からたくさん持ってきた薬草達を取り出した。キラキラと光っていた薬草は、なぜか鞄の中でも光っていた。
そしてテーブルに置いた状態でも光っている。
薄暗い森の中だから光っていると思っていたが、元々光っている薬草なんだろう。
「おい、ここのギルドは子どもにこんな高級で難易度が高い薬草を取りに行かせるのか?」
ギルドスタッフは僕と薬草、そしてオーブナーを交互に見て頭を下げた。
「私達の説明不足でしたああああ!」
どうやら僕は採取依頼と異なる薬草を持ってきてしまったようだ。
きっと採取依頼に失敗したのだろう。
ああ……今後のレンタル武器のお金はどうしようか。