あれから日にちは過ぎ、二人は立派なポーター……いや、冒険者となっていた。
ロンは基本的にスキル【収集】を使って魔物が来たら外套で身を隠し、その間にニアが敵の足元を切りつけて、姿勢を崩す方法が一番安全に魔物を狩ることができた。
そして最後に俺が匠の短剣でとどめを刺して魔物を倒す。良いとこ取りで申し訳ない気持ちもあるが、匠の短剣は俺しか装備できないため必然的に俺がとどめを刺さないと良い魔石が手に入らないのだ。
一番安全で効率よく魔石を回収するには適した方法だ。
「先にじいじのところに行ってるよ」
べったりとしていたロンとニアは、少しずつ俺から離れるようになり、メジストの錬金術店には二人で行けるようになった。
少し寂しい気持ちはあるが、まだまだ他のところにはべったりくっついているため、丁度いいぐらいだろう。
そういえばお金を以前よりも稼げるようになったため、証券口座でルドルフの鍛冶屋とブリジットのスキル屋を購入しているが、配当のタイミングは未だに掴めないでいる。
どちらも購入したらすぐ貰えるのではなく、一定の間隔で貰えるという特徴があった。
あれ以来スキル玉をもらっていないため、そろそろ空から降ってきても良いと思うが中々落ちてこないのが現状だ。
俺は身支度を整えると二人を追うように、メジストの錬金術店に向かった。
いつも通り向かうと、天気が悪いのか次第に空は薄暗くなっていた。今日はマンドラゴラを狩るつもりだったが、雨が降る日に川へ向かうと危ないため、今日の予定は変更になるだろう。
そんなことを思っているといつの間にかメジストの錬金術店についていた。
「メジスト――」
俺が扉を開けた瞬間に目が開けられないほどの閃光が目の前を走った。
「メジストめ! また浮気して隠し子でも作ったのか!」
突然の出来事に俺は呆然としていた。ロンとニアは怯えており、メジストは何者かに襟元を引っ張られていたのだ。
「モッ……モーリンさん!?」
そこにいたのは物凄く怖い顔をしたモーリンがいた。以前パーティーにいた時に見たオーガという魔物に似ており、いつもの優しい顔はどこかにいっていた。
「にいちゃー!」
「お兄ちゃん!」
俺が来たことに気づいたのか、ロンとニアは走って俺に泣きついてきた。流石に俺もあの顔を見たら泣きそうになってしまう。
「お兄ちゃん?」
「ちょうど良いところに来たのじゃ! ウォーよ、モーリンに説明してくれ」
メジストは俺に説明を求めてきたが、俺は現状の状態が把握できなかった。
そのためとりあえず抱きかかえている、新しい家族を紹介することにした。
「お久しぶりです。こっちが弟のロンでこっちが妹ニアです」
二人はモーリンに怯えながらも頷いていた。二人とも良い子に育ってきている。
「弟と妹だと?」
「だから言ったのじゃ! あの子はわしの家族ではない」
どうやらモーリンが何か誤解をしているようだった。
「じいじは家族じゃないの?」
「じいじはじいじだよ?」
そんなことを知らないロンとニアは家族じゃないと言われて落ち込んでいた。
「言い逃れするために自分の隠してた孫を見放すとはどういうつもりじゃ」
モーリンは怒りが頂点に達したのか、空から雷がメジストを目掛けて落ちてきた。そういえば、手紙を届けに行った時に雷が落ちたのも、ひょっとしたらモーリンの仕業だったのかもしれない。
「ふぅ、なんで私はこんなやつと結婚したのじゃ?」
どこかスッキリしたのかモーリンはいつもの様子に戻っていた。俺は黒焦げになったメジストに優しく手を合わせた。
「それでどういう関係なのじゃ?」
「実は――」
俺が二人の出会いを簡単に説明すると、モーリンが勘違いをしていたことを子供達に謝っていた。
「二人とも驚かしてすまないね」
モーリンは鞄から何か取り出して二人に渡していた。見た目からして飴玉だろう。
「スキル玉?」
「これは何の魔法が出るのかな?」
二人は飴を食べたことないのか、スキル玉と勘違いしていた。
「あやつらはこんな幼い子にスキル玉をあげてたのかい?」
「二人ともお礼を言って!」
モーリンはどことなく機嫌が悪くなっていたため、あとは子供達に任せることにした。子供の可愛さに勝てる人はいないだろう。
「ばあば! ありがとう!」
「ばあばはじいじの家族なら私とも家族だよね?」
「うっ……」
モーリンはどことなく胸を押さえていた。二人とももう一押しだ。俺は心の中で応援していた。
「ひょっとしてオラに会いにきてくれたの?」
「私にもばあばができたんだね」
さすがロンとニアだ。とどめを刺す勢いで可愛さを振り撒いていた。よくやったと褒めてあげたいぐらいだ。
「あー、なんだこの可愛い子達は! ばあばが何でも買ってあげるからね」
ついにモーリンは子供達にやられたようだ。
「オラはスキル玉が欲しい!」
「私ももっと強くなりたい!」
「あん!?」
俺は二人に見えないようにそっと目を隠した。メジストを見るモーリンの目が再びオーガ……いや、悪魔のような顔をしていた。
ロンは基本的にスキル【収集】を使って魔物が来たら外套で身を隠し、その間にニアが敵の足元を切りつけて、姿勢を崩す方法が一番安全に魔物を狩ることができた。
そして最後に俺が匠の短剣でとどめを刺して魔物を倒す。良いとこ取りで申し訳ない気持ちもあるが、匠の短剣は俺しか装備できないため必然的に俺がとどめを刺さないと良い魔石が手に入らないのだ。
一番安全で効率よく魔石を回収するには適した方法だ。
「先にじいじのところに行ってるよ」
べったりとしていたロンとニアは、少しずつ俺から離れるようになり、メジストの錬金術店には二人で行けるようになった。
少し寂しい気持ちはあるが、まだまだ他のところにはべったりくっついているため、丁度いいぐらいだろう。
そういえばお金を以前よりも稼げるようになったため、証券口座でルドルフの鍛冶屋とブリジットのスキル屋を購入しているが、配当のタイミングは未だに掴めないでいる。
どちらも購入したらすぐ貰えるのではなく、一定の間隔で貰えるという特徴があった。
あれ以来スキル玉をもらっていないため、そろそろ空から降ってきても良いと思うが中々落ちてこないのが現状だ。
俺は身支度を整えると二人を追うように、メジストの錬金術店に向かった。
いつも通り向かうと、天気が悪いのか次第に空は薄暗くなっていた。今日はマンドラゴラを狩るつもりだったが、雨が降る日に川へ向かうと危ないため、今日の予定は変更になるだろう。
そんなことを思っているといつの間にかメジストの錬金術店についていた。
「メジスト――」
俺が扉を開けた瞬間に目が開けられないほどの閃光が目の前を走った。
「メジストめ! また浮気して隠し子でも作ったのか!」
突然の出来事に俺は呆然としていた。ロンとニアは怯えており、メジストは何者かに襟元を引っ張られていたのだ。
「モッ……モーリンさん!?」
そこにいたのは物凄く怖い顔をしたモーリンがいた。以前パーティーにいた時に見たオーガという魔物に似ており、いつもの優しい顔はどこかにいっていた。
「にいちゃー!」
「お兄ちゃん!」
俺が来たことに気づいたのか、ロンとニアは走って俺に泣きついてきた。流石に俺もあの顔を見たら泣きそうになってしまう。
「お兄ちゃん?」
「ちょうど良いところに来たのじゃ! ウォーよ、モーリンに説明してくれ」
メジストは俺に説明を求めてきたが、俺は現状の状態が把握できなかった。
そのためとりあえず抱きかかえている、新しい家族を紹介することにした。
「お久しぶりです。こっちが弟のロンでこっちが妹ニアです」
二人はモーリンに怯えながらも頷いていた。二人とも良い子に育ってきている。
「弟と妹だと?」
「だから言ったのじゃ! あの子はわしの家族ではない」
どうやらモーリンが何か誤解をしているようだった。
「じいじは家族じゃないの?」
「じいじはじいじだよ?」
そんなことを知らないロンとニアは家族じゃないと言われて落ち込んでいた。
「言い逃れするために自分の隠してた孫を見放すとはどういうつもりじゃ」
モーリンは怒りが頂点に達したのか、空から雷がメジストを目掛けて落ちてきた。そういえば、手紙を届けに行った時に雷が落ちたのも、ひょっとしたらモーリンの仕業だったのかもしれない。
「ふぅ、なんで私はこんなやつと結婚したのじゃ?」
どこかスッキリしたのかモーリンはいつもの様子に戻っていた。俺は黒焦げになったメジストに優しく手を合わせた。
「それでどういう関係なのじゃ?」
「実は――」
俺が二人の出会いを簡単に説明すると、モーリンが勘違いをしていたことを子供達に謝っていた。
「二人とも驚かしてすまないね」
モーリンは鞄から何か取り出して二人に渡していた。見た目からして飴玉だろう。
「スキル玉?」
「これは何の魔法が出るのかな?」
二人は飴を食べたことないのか、スキル玉と勘違いしていた。
「あやつらはこんな幼い子にスキル玉をあげてたのかい?」
「二人ともお礼を言って!」
モーリンはどことなく機嫌が悪くなっていたため、あとは子供達に任せることにした。子供の可愛さに勝てる人はいないだろう。
「ばあば! ありがとう!」
「ばあばはじいじの家族なら私とも家族だよね?」
「うっ……」
モーリンはどことなく胸を押さえていた。二人とももう一押しだ。俺は心の中で応援していた。
「ひょっとしてオラに会いにきてくれたの?」
「私にもばあばができたんだね」
さすがロンとニアだ。とどめを刺す勢いで可愛さを振り撒いていた。よくやったと褒めてあげたいぐらいだ。
「あー、なんだこの可愛い子達は! ばあばが何でも買ってあげるからね」
ついにモーリンは子供達にやられたようだ。
「オラはスキル玉が欲しい!」
「私ももっと強くなりたい!」
「あん!?」
俺は二人に見えないようにそっと目を隠した。メジストを見るモーリンの目が再びオーガ……いや、悪魔のような顔をしていた。