======== この物語はあくまでもフィクションです =========
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
==EITOエンジェルズとは、EITOの後方支援部隊である。==========
午後11時。Base bookに奇妙な挑戦状が載った。
「EITOの諸君。防げるものならふせいでみろ。」
『病院祝詞』
―ぶろーん・らっとより
午前0時。Base Bookにパラ・リヴァイアサンから、挑戦状が届いた。
『過密化子分』
画面の下の方に、次の英文が見えた。
" final answer in tokyo dome 1:00 P.M."
午前8時半。伝子のマンション。
伝子と高遠のスマホが同時になった。
伝子の方は、ひかるからだった。
高遠の方は、青木からだった。
高遠は自分のPCの電源を入れ、確認した。
「昨日の午後11時の方は、ダークレインボウじゃないよ。」と青木が言い、「アナグラムの積りだろうけど、『病院祝詞』は、『病院乗っ取り』、詰まり、病院ジャックだよ。だから、時間を書いていない。どこかも分からない。パラ・リヴァイアサンはジンクスなのか知らないけど、配信は午前0時と決まってるし。」
「『過密化子分()かみつかごぶん』』は『文化三日後』、詰まり、今日、11月6日だ、時間と場所指定なんて初めてだ、」と、高遠は呟いた。
「分かった。出動する。」伝子は電話を切り、支度に行った。
高遠も電話を切り、台所の非常口を開けた。
そして、午前9時。
EITO用のPCが起動した時、高遠は理事官に言った。
「たった今、オスプレイが来て台所から出動しました。」
「え?」
「なぎさちゃんに合図送ったみたいです。僕も気づかない内に。」
「分かった。到着次第、会議する。高遠君も待機してくれ。ジャックされた病院がないか、警視庁から照会しているが、どこも繋がらない。」
「理事官。病院は一部を除いて9時からです。」
「そうだった。」
午前10時。やすらぎほのかホテル東京。
社長の小田がロビーのテレビのニュースを観て驚き、依田と慶子を呼んだ。
「依田君。病院ロビーのガラス越しに見えているのは、物部さんじゃないのかね?」
「俊介。先輩に連絡を。」
「SATが待機って言ってるな。慶子は先輩に。俺は久保田管理官に報せる。」
2人が、慌ただしく動いたので、小田は自らフロントに入った。
午前10時。警視庁。テロ対策室。
久保田管理官がスマホで依田の連絡を受けた。
「何だって?」
午前10時。EITO東京本部。
伝子は、会議を中断して、慶子からのLinenのテレビ電話に出た。
「何だって?物部が?」
「先輩。本庄病院にウチと同じ『緊急ヘリポート口』作ったんですよね?」
「ああ。ヨーダのアイディアで、院長も喜んでいた。」
「今、俊介が久保田管理官に、そのことを伝えています。」
「分かった。じゃ、病院ジャック事件の方はSATに任せよう。」
伝子が電話を切ると、渡が「本庄病院にいる物部氏を確認しました。」と言い、草薙が「アンバサダー。山並から連絡が来ました。大型動物を収納するケージが4個が盗まれました。警察発表はまだです。それと、岩手、秋田、青森、山形で出没していたクマが猟銃で撃たれ、連れ去られました。目撃者が大勢います。敵の仕業ではないか、と言って来ています。」
「作戦に投入する気だ。理事官。」と夏目警視正は振り返った。
「よし、陸自に応援を要請しよう。」と、理事官は言い、司令室に戻った。
「おねえさま。クマだけとは思えません。何か思いきったことをやってくるのではないかと思います。」と、なぎさは言った。
「同感です、おねえさま。爆発物処理班を待機させましょう。」と言い、あつこは電話をかけた。
須藤医官は、「明日は、臨時の健康診断をする。皆、生きて帰って来い。」と檄を飛ばした。
皆、直って敬礼をした。
敵は、今日、その日を指摘してきた。しかも場所と時間を指定して。『本気の』最終決戦だ。
東京ドームは、何者かによって、今日のライブイベントが中止されていて、前売り券購入者にはメールが送られていた。
ドームの周囲には、警視庁警邏と警備会社に当日券来訪者の整理を既に依頼してある。
午後1時。東京ドーム。
予想通り、強硬突破したトレーラーが入場してきた。
そして、クマが放たれた。
上空で待機していたMAITOが消火弾をクマに落した。逃げ惑うクマ達を、EITOガーディアンズがウォーターガンで撃った。撃ち続けた。
ウォーターガンは、消火栓があれば消防活動も出来るが、普段は圧縮したウォーターガンとして、敵をけん制するために使う。
4頭のクマは追い詰められ、1箇所に集められた。すかさず、陸自隊員が麻酔銃を撃った。
自衛隊隊員は、警察官同様、滅多に拳銃は撃てない。
各地の『クマ被害対策』として、自衛隊が出動したが、『後方支援』だけか、と、何も知らないマスコミが批判しているが、自衛隊の能力を誇示しないのは、『敵に衆知することが危険』だからである。
要人の来日予定があっても移動順路を教えろ、とマスコミは言う。
『知る権利』など存在しないのだ。「命を守る義務』が優先されるのは当然であり、『公然とスパイ行為』は罰せられるべきだ、と伝子は思う。
クマは捕えられ、直ちにケージに入れてトレーラーの運転手も捕獲・・・いなかったので、陸自はトレーラーを移動させた。MAITOも引き揚げた。
「見事な前座ショーだったな。」と白覆面白装束の忍者達のリーダーが言った。
「給料が足りないのかな?体育館の職員さん。」と、リーダーに向き直った、なぎさが言った。
「ご明察だ。『副隊長』さん。」
「いや。隊長だ。」
「分かった。かかれ!!」
ドームのあちこちから現れた、白い覆面白装束の忍者が集まってきた。
エマージェンシーガールズはバトルスティックとバトルトッドで白兵戦に望みながら、爆破装置のスイッチのようなものを彼らが携行しているのに気づいていた。
だが、伝子は、直接触れない事以外指示しなかった。
皆、出掛けに言われた天童の言葉を思い出していた。
「動揺させるのも兵法の1つと心得れば、冷静に対処出来る。君たちは選ばれた戦士だ。誇りを持って闘いなさい。」
1時間半後。白覆面は全員倒し、リーダー以外は皆手寝ていた。
リーダーは、いきなり後方に、立ったままの姿勢で倒れた。
「おい。どうした?」白覆面は脱げていた。
「やっぱり勝てなかった、アンタらにも、病にも。がんにされていたんだ、組織に。邪魔者の方はどうした?戦力を分散したのか?」
「いや、SATに任せたそうだ。多分、解決する。あんた、『枝』じゃ無かったのか。」
「俺がパラ・リヴァイアサンだ。そうか。これで心残りはないな。素晴らしいリーダーさ、隊長大文字伝子。」
「逝くなら、冥土の土産に言っておく。あんたのアナグラムはよく出来ていた。『邪魔者』と違ってな。」
「亭主が言ったのか。じゃ、お返しに次の相手のことを教えてやろう。『ブルー・メデューサ』、女だ。それ以上は知らない。遭ったことないんだ。」
「それだけでも助かる。お前も事情があったのだろう。だから・・・。」
伝子は、言葉を繋げることが出来なかった。こときれていた。
伝子の支えていた後頭部から、血が滲み出ていた。
伝子が立ち上がると、皆に首を振った。
五郎がハンカチを渡した。
飯星が119番した。
「こんな再会なんてしたく無かった。」
柊が呟き、涙を流した。夏目リサーチのチェックで、体育館の不審人物が、柊の幼なじみの警察官濱口警部補の関係者だと判明していた。パラ・リヴァイアサンは、濱口警部補だった。
伝子は、ハンカチで手を拭うと、パラ・リヴァイアサンに敬礼した。
なぎさ達も、それに習った。
伝子は、敬礼から直ると、自ら長波ホイッスルを吹いた。
長波ホイッスルとは、EITOの通信機器の1つで、犬笛に似たサイレント・ホイッスルだ。主に『作戦終了』の合図をオスプレイ経由で、待機している警察の『片づけ隊』に合図を送る。
空を見上げると雲行きが怪しかった。
『片づけ隊』が到着した。
「おねえさま。起爆スイッチは皆ダミーでした。爆破物は無かった。」と、あつこが報告した。
救急車も到着して、パラ・リヴァイアサンを運び去った。
愛宕、西部、橋爪はストレッチャーに向けて手を合わした。
「先輩。パラ・リヴァイアサンは?」
愛宕の問いに、「がん、だった。組織に、がんにされた。時限装置だ。」と応えた。
「何て酷い・・・。」橋爪は憤った。
『片づけ隊』が引き揚げた後、雨が降り出した。
オスプレイの中で、ジョーンズが「涙雨ですね、隊長。」と伝子に言った。
「いい言葉、知ってるな。なぎさに教わったのか?ベッドで。」
皆は泣き笑いをした。
午後3時。本庄病院。
依田の手引きは、病院ジャックはSATが活躍、全員投降した。
午後5時。薬を貰い出てきた物部を、依田、慶子、福本、祥子、南原、文子、服部、コウ、山城、蘭、そして、辰巳と泰子と、満百合を抱いた栞が出迎えた。
皆が口々に「お帰りなさい。お疲れ様でした。」と言った。
午後7時。伝子のマンション。
山村、綾子、藤井が加わって、『おせち』の試食会が行われた。
「マスターも災難だったわね。」と、山村が言い、「安心した途端に発作が出たそうですが、湿布も痛み止めも貰ったから、もう大丈夫って言ってました。」と高遠が応えた。
「今度はオンナ幹部。今分かっているのは、それだけ。ああ。体育館の職員は、録音を頼まれただけだった。濱口警部補も多くは頼め無かったのだろう。
関係者だと判明していた。パラ・リヴァイアサンは、濱口警部補だった。
伝子は、柊に休暇を取らせるように理事官に進言した。
「来年こそ、いい年になりますように。」と言って、山村が手を合せた。
「いい年になりますように。」と、皆、唱和し、手を合せた。
―完―
※今回の出演
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
橘なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。ロバートと婚約してから、姓を戻している。
久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕[白藤]みちる・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。あつこと警察学校同期。警視庁丸髷署からのEITO出向。警部補。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。
橋爪警部補・・・『片づけ隊』を手伝っている。
西部警部補・・・『片づけ隊』を手伝っている。
斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目房之助警視正・・・EITO東京本部副司令官。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
中島[増田]はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。見合いしたMAITOの中島と事実婚をしていたが結婚した。
馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
高崎[馬越]友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
伊知地満子一曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高坂[飯星]満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁警部。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
柊安江・・・元マラソンランナー、元やり投げ選手。EITOに就職。
新庄珠恵・・・元結城たまき警部。結婚と、『身バレ』の可能性から、名字だけでなく、下の名前も改名。警視庁は退職して、EITOに再就職。
河野事務官・・・警視庁からのEITO出向。
原田正三・・・元新宿署刑事。警視庁警部。警視庁からEITO出向。
藤井康子・・・伝子マンションの区切り隣に住む。元料理教室経営者。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士。
山村美佐男・・・みゆき出版社社長。
山並郁夫・・・闇サイトハンターと名乗っている。EITO協力者。
中山ひかる・・・愛宕の、元お隣さん。大学生。アナグラムが得意。
青木新一・・・高校の時、伝子達と知り合う。SNSに詳しい。
久保田嘉三・・・警視庁管理官。テロ対策室勤務だが、交渉人をすることもある。
物部一朗太・・・伝子の大学翻訳部同輩。喫茶店アテロゴ経営。実質的にDDメンバーえお仕切っている。
物部[逢坂]・・・伝子の大学翻訳部同輩。童話作家をしていたが、今は引退して物部と再婚している。
依田俊介・・・伝子の大学翻訳部後輩。元宅配便ドライバー。今は、やすらぎほのかホテル東京支配人。
依田[小田]慶子。・・・小田社長姪で。小田の秘書をしていたが、依田と結婚後、副支配人をしている。
小田祐二・・・やすらぎほのかホテル社長。
福本英二・・・伝子の大学翻訳部後輩。プロ劇団退団後、アマチュア劇団を主宰しながら、建築事務所に勤めている。
福本[鈴木]祥子・・・福本と同じプロ劇団にいたが、退団。福本のアマチュア劇団を手伝うが、今は出産後、育児に専念している。
南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。高校の国語教師をしていたが、今は妻と学習塾を経営している。
南原[大田原]文子・・・父の経営していた学習塾を引き継いだが、南原を婿養子にはしなかった。
山城[南原]蘭・・・南原の妹。非常勤の美容師。
山城順・・・伝子の中学の書道部後輩。愛宕と同窓生。今は、海自の非常勤職員をしている。
服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。シンガーソングライターだが、今は音楽塾を開いている。
服部[麻宮]コウ・・・服部と結婚して、音楽塾を手伝っている。夫と共に作った曲でCDも出している。
辰巳一郎・・・喫茶店アテロゴのウェイター。
辰巳泰子・・・喫茶店アテロゴのウエイトレス。

