======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
橘なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。ロバートと婚約してから、姓を戻している。
久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕[白藤]みちる・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。あつこと警察学校同期。警視庁丸髷署からのEITO出向。警部補。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。
橋爪警部補・・・『片づけ隊』を手伝っている。
西部警部補・・・『片づけ隊』を手伝っている。
斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目房之助警視正・・・EITO東京本部副司令官。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
中島[増田]はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。見合いしたMAITOの中島と事実婚をしていたが結婚した。
馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
高崎[馬越]友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
伊知地満子一曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高坂[飯星]満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁警部。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
柊安江・・・元マラソンランナー、元やり投げ選手。EITOに就職。
新庄珠恵・・・元結城たまき警部。結婚と、『身バレ』の可能性から、名字だけでなく、下の名前も改名。警視庁は退職して、EITOに再就職。
藤井康子・・・伝子マンションの区切り隣に住む。元料理教室経営者。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士。
ロバート・ギルバート・・・アメリカ空軍から出向のオスプレイのパイトット。
ジョン・ジョーンズ・・・アメリカ空軍から出向のオスプレイのパイトット。
御池花子・・・東京都知事。
市橋早苗・・・内閣総理代臣。
守谷哲夫・・・SAT隊長。
天道[須藤]桃子・・・陸自から出向の医官。
高坂看護官・・・陸自から出向の看護官。
山並郁夫・・・闇サイトハンターと名乗っている。EITO協力者。
西部[早乙女]藍・・・元白バイ隊。今はEITO非正規職員。
工藤由香・・・元白バイ隊。今はEITO非正規職員。
=================================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午前1時。Base Bookにパラ・リヴァイアサンから、挑戦状が届いた。
『あのう いたこ ぶらっと』
画面の下の方に、次の英文が見えた。
"Remember 9.11"
午前9時。EITO東京本部。会議室。
マルチディスプレイに、今朝のパラ・リヴァイアサンのメッセージが映っている。
「ふざけやがって!!!!!!!」と、伊知地が言おうとすると、声に出して先に言ったのは、天道医官だった。
「伊知地。一曹になったんだから、はしたない言葉は止めろ。」と、空将なら言うかな。陸将経由で聞いた。昇進、おめでとう。」
皆、口々にお祝いを言った。「おめでとうございます。」
「さて、今回の挑戦状だが、いつものナゾナゾに加えて、もう1つクイズがありそうですね、理事官。」
「ああ。アナグラムは高遠君に任せるとして、英文の方は、『きゅうてんいちいち』事件のことだろう。しかし、エイラブ系の特攻だろ?我が国や我が国の警察を恨むのは『お門違い』というものだ。」
上の文も、『特攻』みたいですよ、理事官。」と、マルチディスプレイの端に高遠が映った。
「どういうことかね?」
「アナグラムの解は、『アラブ の 特攻隊』です。我々が普通エイラブと呼んでいますが、アラブのことです。パラ・リヴァイアサンが口にするってことは、ピスミラのことを指していると思われます。」
「じゃ、我々は傍観すればいいのかね?」「いえ。それなら、直接メッセージを送ったでしょう。詰まり・・・。」
「詰まり、我々とピスミラ、両方に挑戦したってことか、学。」と、伝子は、人前も憚らず自分の夫を呼び捨てにする。
EITOでは、お互いの呼び名を統一はしない。警察・自衛隊・民間の複合組織であり、オーナーが芦屋三美率いる芦屋グループだからだ。
「しかし、日付だけしか分からないのは・・・。」と、青山が首を傾げた。
「日付は分かりませんが、『あやかり』で『同時多発テロ』を企てる場所なら分かります。」と、ロバートが言い、「ツインタワーがあるんです。ニューヨークにあったATCとの距離の差は分からないが。草薙さん、『東京都立産業貿易センター』で探して見て下さい。」とジョーンズが言った。
数分後、草薙は「あっ!!」と叫び、検索結果をマルチディスプレイに出した。
「台東館と浜松町館があります。台東館は台東区花川戸、浜松町館は港区海岸1丁目。確かにツインタワーだ。イベントは・・・台東館が『たんす見本市』、浜松町館が『海外ビジネス見本市』。『たんす見本市』の方は9月11日のみ、『海外ビジネス見本市』の方は9月11日から開催です。」
「草薙さん、両者の『広い場所』は?」と、なぎさが尋ねた。
「浜松町館の方は、旧芝離宮恩賜庭園です。台東館の方ですが、川を挟んだ墨田区立隅田公園か、近隣ですと、台東区立墨田公園、北東方向にある台東リバーサイトスポーツセンターがあります。」
「墨田公園って2つあるんだ。実家の近くだけど、知らなかった。」と浜田が言った。
「台東区の方はリバーサイトスポーツセンターでいいだろう。ロバート、ジョーンズ。同時多発テロの時、国防総省も狙われたよね?」
2人は深く頷いた。
「防衛省は、現在は新宿区の市ヶ谷だ。」と、夏目警視正が言った。
「なぎさ、あつこ、みちる。班分けを頼む。」
そう言って、伝子は、総理のスマホに電話をかけた。
「念の為、早乙女・工藤にも働いて貰おう。皆、気を引き締めてかかろう。」と、理事官は言った。
「ピスミラの方は、どうなんだろう?『名義』を借りただけなんだろうか?9.11は便乗か?」と、珍しく高木が言った。
「俺も気になっている。公安から情報を貰おう。」と、筒井が言った。
会議は昼食を挟んで午後3時まで続いた。
それからは、医官の提案で健康診断になった。
飯星は、高坂と共に助手を勤めた。
午後6時。伝子のマンション。
「あら、もう帰ったの。婿殿に跨がる暇がないわ。」
「ウルサイ、色気ババア。ひとのオトコにちょっかい出すな。」
棒々鶏を作っている藤井がクスクス笑っている。
「同時多発テロは、EITOは慣れてるけど、『本家』の日に持って来るのは、悪趣味ね。ひょっとしたら、今度の『幹』は外国人?』」
藤井の問いに、「いや、日本人でしょ。それも若い。ひかる君達も言ってました。」と、高遠は応えた。
「何で?」「アナグラムが下手だから。英文が簡略だから。」
「ふうん。」
翌々日。9月11日。午前11時。木曜日。台東リバーサイトスポーツセンター。
なぎさのイヤリングに、金森から連絡が入った。
「副隊長。やはり、台東館に伝言が来ました。10分前です。今、中津興信所の人がメッセンジャーの尾行をスタートしました。」
「了解。」どうせ、闇サイトで募ったバイトだろう。手紙を渡してくるだけ。楽な仕事だ。
午前11時。旧芝離宮恩賜庭園。
あつこのイヤリングに、新庄からの報告が入った。
「副隊長。今、メッセンジャーが帰りました。バトル『会場』は旧芝離宮恩賜庭園です。」
「了解。こっちに合流しろ。結城、いや、新庄。無理するなよ。身重になったら、早くおねえさまに報告しろ。」「はい。」
午前11時。防衛省近く。
「今、SATの守谷さんとも確認しましたが、油断させる為、時間をずらす可能性があるのでは、と思います。」
みちるのイヤリングに伝子の声が響いた。
「了解。様子をみてくれ。念の為、陸自と空自も待機している。バトルになったら、指揮官なしで進め。」
「了解。おねえさま・・・何だ。」「好きです。」
「知ってる。」
午前11時。総理官邸。
「いつも済まないわねえ。あら、もう寝てる。秘書の身元は、調べ直さないとね。」
市橋総理の言葉に早乙女と工藤は、にっこり笑った。
午前11時。東京都庁。
黒覆面の男達が5人現れた。
「貴方たちはピスミラ?ダークレインボウ。どっちでもいいか。」
伝子は、あっと言う間に倒した。
久々のエマージェンシーガールズ姿に、「太った?」「食べ過ぎましたね。」と伝子と知事は会話した。
その時、伝子はインカムで渡からの通信を受けた。
「知事。どうやらダブルで狙われたようですね。向こうの庁舎の方で、警備員が不審人物を複数捕えたようです。」「まあ。」
午前11時半。台東リバーサイトスポーツセンター。
なぎさは、打ち合せを中断し、敵に相対した。
数十台の大型トレーラーから下りた連中は、機関銃で撃ち続けた。
だが、田坂、浜田、安藤、柊は弓矢隊として、その横側からマセラティで回り込んで矢を放った。
今回は、本郷の提案で矢の先端には、しびれ薬ではなく、睡眠薬が塗り込んであった。
機関銃隊が気づいて迎え撃つと、反対側から回り込んだ伊知地、財前、大空らがシューターとメダルカッターが炸裂した。
シューターとは、先端にしびれ薬が塗ってある、うろこ形の手裏剣だ。
メダルカッターとは、周りがプロペラ状の刃が付いているメダルだ。
闇サイトハンターこと山並郁夫の情報通りだった。何台もの車両を買い付ければ目立つ。
詰まり、人海戦術でくる筈だと、なぎさは読んだ。
金森が加わり、ブーメランを放った。
EITOがスタートした頃、伝子シスターズと金森のブーメラン攻撃はいつも威力を放っていた。伝子シスターズとは、伝子、なぎさ、あつこのことである。
一方。トレーラーは後から後からやってくる。
筒井は、EITOガーディアンズを率いて、トレーラーの邪魔に入った。
先ず、高木がペッパーガンで、トレーラーから降りようとする敵めがけてペッパーガンで撃った。ペッパーガンとは、胡椒や台所調味料で捏ねた胡椒丸を小型化した胡椒弾を撃つ銃で、目や鼻に入った敵は、しばし動けなくなる。
続いて、青山が水流ガンを用いてトレーラーの開閉口を封鎖した。
水流ガンとは、飛び出すとグミ状になる液が仕込まれた銃だ。
そして、馬場がフリーズガンでトレーラーの開閉口を封鎖した。
フリーズガンとは、液体窒素が飛び出して対象物を凍らせる水を放つ銃だ。
最後に、筒井は走行中のトレーラーの行く手にウォーターガンとフリーズガンでスリップしやすくした。
この様子を見ていた者があることは、後に原田が監視カメラ等の回収時に痕跡を見付けることになる。
トレーラー集団が右往左往している間に、白兵戦をしていた日向、馬越、大町に、オスプレイからロープで降りて来たエマージェンシーガールズ本体が合流し、敵も白兵戦に切り替えた。
午前11時半。旧芝離宮恩賜庭園。
あつこは辟易しながらも、仁礼、七尾、越後、葉月と共に、コスプレ軍団と闘っていた。
拳銃や機関銃は持っていないようなので、敢えてバトルスティックとバトルロッドでの白兵戦に臨んだ。
バトルスティックとは戦闘用のチタン製の棒で、バトルロッドは、バトルスティックの3段変形したものだ。
正午。防衛省前。
どこから、人質として連れてきた人々をトラックに乗せた連中が、門を潜ろうとしていた。
「ちょっと待ったあ!!いちたすいちはあ?」と、現れたエマージェンシーガールズ姿のみちるが尋ねた。
無反応だった。
「100円未満で一番高い値段は?」
誰も答えられなかった。
みちるは、増田から教わった『手旗信号』を周囲に送った。
やってきたトラック数台は、守谷達SATに取り押さえられた。
門を潜ったたら、自衛隊に任せる方針だった。
「ありがとう、増田。助かったよ。」
「副隊長。ラリアートする暇無かったじゃないですか。」と飯星が言った。
「済まん、済まん。」と、みちるが手刀を切ると、愛川、稲森、飯星、江南は笑った。
午後1時。台東リバーサイトスポーツセンター。
「副隊長。トレーラーの時限爆発物処理は、応急ですが、済みました。15台全部に仕掛けてありました。」と井関が、なぎさに報告をした。
「やはり、非情な面もあるか、『幹』』は。」筒井が嘆息した。
「あつこのチームの方は闇サイトで応募した女子。爆発物の点検をしたが、そちらは無かったようだ。」と、なぎさは筒井に言った。
「みちるの班も、伝子先輩の方も簡単に終ったらしい。配置に統一性がないな。」と、愛宕が言うと、案外『合議制』で決めた、とか。民主主義で。」と言って、橋爪警部補は笑った。
午後1時。旧芝離宮恩賜庭園。
「大股開きで、目のやり場に困りますね、副隊長。」と西部が言うと、「素人だからね。縄だけでいいかもよ。」と、あつこが呆れて言った。
午後1時。EITO東京本部。司令室。
「待機していた自衛隊は待機解除、通常任務に戻りました。」と、夏目警視正が言うと、「中津君に無理言って尾行させたが、メッセンジャーは全くの一般人だったらしい。世の中、金かな?」と、理事官はぼやいた。
午後5時。伝子のマンション。
「何?その、みちるちゃんの『なぞなぞ』。婿殿、教えて。
「いちたすいちはあ?、って言うのは、昔流行った写真撮影の時の合言葉。撮影される方は『ニッ』と言って口角を上げる。後の方は・・・99円が答え。人質らしき集団に日本人が混じっていたら分かります。お義母さん、那珂国の文化には『未満』がないんです。だから、100円、って間違って答えるか黙っている。」
そこに、藤井がやってきた。
「藤井さん、いちたすいちはあ?」と綾子が言うと、藤井は口角を上げて『ニ』と言ってVサインをした。
綾子は呆然としたが、大文字夫妻は笑っていた。
―完―
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
橘なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。ロバートと婚約してから、姓を戻している。
久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕[白藤]みちる・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。あつこと警察学校同期。警視庁丸髷署からのEITO出向。警部補。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。
橋爪警部補・・・『片づけ隊』を手伝っている。
西部警部補・・・『片づけ隊』を手伝っている。
斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目房之助警視正・・・EITO東京本部副司令官。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
中島[増田]はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。見合いしたMAITOの中島と事実婚をしていたが結婚した。
馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
高崎[馬越]友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
伊知地満子一曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
高坂[飯星]満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁警部。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
柊安江・・・元マラソンランナー、元やり投げ選手。EITOに就職。
新庄珠恵・・・元結城たまき警部。結婚と、『身バレ』の可能性から、名字だけでなく、下の名前も改名。警視庁は退職して、EITOに再就職。
藤井康子・・・伝子マンションの区切り隣に住む。元料理教室経営者。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士。
ロバート・ギルバート・・・アメリカ空軍から出向のオスプレイのパイトット。
ジョン・ジョーンズ・・・アメリカ空軍から出向のオスプレイのパイトット。
御池花子・・・東京都知事。
市橋早苗・・・内閣総理代臣。
守谷哲夫・・・SAT隊長。
天道[須藤]桃子・・・陸自から出向の医官。
高坂看護官・・・陸自から出向の看護官。
山並郁夫・・・闇サイトハンターと名乗っている。EITO協力者。
西部[早乙女]藍・・・元白バイ隊。今はEITO非正規職員。
工藤由香・・・元白バイ隊。今はEITO非正規職員。
=================================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午前1時。Base Bookにパラ・リヴァイアサンから、挑戦状が届いた。
『あのう いたこ ぶらっと』
画面の下の方に、次の英文が見えた。
"Remember 9.11"
午前9時。EITO東京本部。会議室。
マルチディスプレイに、今朝のパラ・リヴァイアサンのメッセージが映っている。
「ふざけやがって!!!!!!!」と、伊知地が言おうとすると、声に出して先に言ったのは、天道医官だった。
「伊知地。一曹になったんだから、はしたない言葉は止めろ。」と、空将なら言うかな。陸将経由で聞いた。昇進、おめでとう。」
皆、口々にお祝いを言った。「おめでとうございます。」
「さて、今回の挑戦状だが、いつものナゾナゾに加えて、もう1つクイズがありそうですね、理事官。」
「ああ。アナグラムは高遠君に任せるとして、英文の方は、『きゅうてんいちいち』事件のことだろう。しかし、エイラブ系の特攻だろ?我が国や我が国の警察を恨むのは『お門違い』というものだ。」
上の文も、『特攻』みたいですよ、理事官。」と、マルチディスプレイの端に高遠が映った。
「どういうことかね?」
「アナグラムの解は、『アラブ の 特攻隊』です。我々が普通エイラブと呼んでいますが、アラブのことです。パラ・リヴァイアサンが口にするってことは、ピスミラのことを指していると思われます。」
「じゃ、我々は傍観すればいいのかね?」「いえ。それなら、直接メッセージを送ったでしょう。詰まり・・・。」
「詰まり、我々とピスミラ、両方に挑戦したってことか、学。」と、伝子は、人前も憚らず自分の夫を呼び捨てにする。
EITOでは、お互いの呼び名を統一はしない。警察・自衛隊・民間の複合組織であり、オーナーが芦屋三美率いる芦屋グループだからだ。
「しかし、日付だけしか分からないのは・・・。」と、青山が首を傾げた。
「日付は分かりませんが、『あやかり』で『同時多発テロ』を企てる場所なら分かります。」と、ロバートが言い、「ツインタワーがあるんです。ニューヨークにあったATCとの距離の差は分からないが。草薙さん、『東京都立産業貿易センター』で探して見て下さい。」とジョーンズが言った。
数分後、草薙は「あっ!!」と叫び、検索結果をマルチディスプレイに出した。
「台東館と浜松町館があります。台東館は台東区花川戸、浜松町館は港区海岸1丁目。確かにツインタワーだ。イベントは・・・台東館が『たんす見本市』、浜松町館が『海外ビジネス見本市』。『たんす見本市』の方は9月11日のみ、『海外ビジネス見本市』の方は9月11日から開催です。」
「草薙さん、両者の『広い場所』は?」と、なぎさが尋ねた。
「浜松町館の方は、旧芝離宮恩賜庭園です。台東館の方ですが、川を挟んだ墨田区立隅田公園か、近隣ですと、台東区立墨田公園、北東方向にある台東リバーサイトスポーツセンターがあります。」
「墨田公園って2つあるんだ。実家の近くだけど、知らなかった。」と浜田が言った。
「台東区の方はリバーサイトスポーツセンターでいいだろう。ロバート、ジョーンズ。同時多発テロの時、国防総省も狙われたよね?」
2人は深く頷いた。
「防衛省は、現在は新宿区の市ヶ谷だ。」と、夏目警視正が言った。
「なぎさ、あつこ、みちる。班分けを頼む。」
そう言って、伝子は、総理のスマホに電話をかけた。
「念の為、早乙女・工藤にも働いて貰おう。皆、気を引き締めてかかろう。」と、理事官は言った。
「ピスミラの方は、どうなんだろう?『名義』を借りただけなんだろうか?9.11は便乗か?」と、珍しく高木が言った。
「俺も気になっている。公安から情報を貰おう。」と、筒井が言った。
会議は昼食を挟んで午後3時まで続いた。
それからは、医官の提案で健康診断になった。
飯星は、高坂と共に助手を勤めた。
午後6時。伝子のマンション。
「あら、もう帰ったの。婿殿に跨がる暇がないわ。」
「ウルサイ、色気ババア。ひとのオトコにちょっかい出すな。」
棒々鶏を作っている藤井がクスクス笑っている。
「同時多発テロは、EITOは慣れてるけど、『本家』の日に持って来るのは、悪趣味ね。ひょっとしたら、今度の『幹』は外国人?』」
藤井の問いに、「いや、日本人でしょ。それも若い。ひかる君達も言ってました。」と、高遠は応えた。
「何で?」「アナグラムが下手だから。英文が簡略だから。」
「ふうん。」
翌々日。9月11日。午前11時。木曜日。台東リバーサイトスポーツセンター。
なぎさのイヤリングに、金森から連絡が入った。
「副隊長。やはり、台東館に伝言が来ました。10分前です。今、中津興信所の人がメッセンジャーの尾行をスタートしました。」
「了解。」どうせ、闇サイトで募ったバイトだろう。手紙を渡してくるだけ。楽な仕事だ。
午前11時。旧芝離宮恩賜庭園。
あつこのイヤリングに、新庄からの報告が入った。
「副隊長。今、メッセンジャーが帰りました。バトル『会場』は旧芝離宮恩賜庭園です。」
「了解。こっちに合流しろ。結城、いや、新庄。無理するなよ。身重になったら、早くおねえさまに報告しろ。」「はい。」
午前11時。防衛省近く。
「今、SATの守谷さんとも確認しましたが、油断させる為、時間をずらす可能性があるのでは、と思います。」
みちるのイヤリングに伝子の声が響いた。
「了解。様子をみてくれ。念の為、陸自と空自も待機している。バトルになったら、指揮官なしで進め。」
「了解。おねえさま・・・何だ。」「好きです。」
「知ってる。」
午前11時。総理官邸。
「いつも済まないわねえ。あら、もう寝てる。秘書の身元は、調べ直さないとね。」
市橋総理の言葉に早乙女と工藤は、にっこり笑った。
午前11時。東京都庁。
黒覆面の男達が5人現れた。
「貴方たちはピスミラ?ダークレインボウ。どっちでもいいか。」
伝子は、あっと言う間に倒した。
久々のエマージェンシーガールズ姿に、「太った?」「食べ過ぎましたね。」と伝子と知事は会話した。
その時、伝子はインカムで渡からの通信を受けた。
「知事。どうやらダブルで狙われたようですね。向こうの庁舎の方で、警備員が不審人物を複数捕えたようです。」「まあ。」
午前11時半。台東リバーサイトスポーツセンター。
なぎさは、打ち合せを中断し、敵に相対した。
数十台の大型トレーラーから下りた連中は、機関銃で撃ち続けた。
だが、田坂、浜田、安藤、柊は弓矢隊として、その横側からマセラティで回り込んで矢を放った。
今回は、本郷の提案で矢の先端には、しびれ薬ではなく、睡眠薬が塗り込んであった。
機関銃隊が気づいて迎え撃つと、反対側から回り込んだ伊知地、財前、大空らがシューターとメダルカッターが炸裂した。
シューターとは、先端にしびれ薬が塗ってある、うろこ形の手裏剣だ。
メダルカッターとは、周りがプロペラ状の刃が付いているメダルだ。
闇サイトハンターこと山並郁夫の情報通りだった。何台もの車両を買い付ければ目立つ。
詰まり、人海戦術でくる筈だと、なぎさは読んだ。
金森が加わり、ブーメランを放った。
EITOがスタートした頃、伝子シスターズと金森のブーメラン攻撃はいつも威力を放っていた。伝子シスターズとは、伝子、なぎさ、あつこのことである。
一方。トレーラーは後から後からやってくる。
筒井は、EITOガーディアンズを率いて、トレーラーの邪魔に入った。
先ず、高木がペッパーガンで、トレーラーから降りようとする敵めがけてペッパーガンで撃った。ペッパーガンとは、胡椒や台所調味料で捏ねた胡椒丸を小型化した胡椒弾を撃つ銃で、目や鼻に入った敵は、しばし動けなくなる。
続いて、青山が水流ガンを用いてトレーラーの開閉口を封鎖した。
水流ガンとは、飛び出すとグミ状になる液が仕込まれた銃だ。
そして、馬場がフリーズガンでトレーラーの開閉口を封鎖した。
フリーズガンとは、液体窒素が飛び出して対象物を凍らせる水を放つ銃だ。
最後に、筒井は走行中のトレーラーの行く手にウォーターガンとフリーズガンでスリップしやすくした。
この様子を見ていた者があることは、後に原田が監視カメラ等の回収時に痕跡を見付けることになる。
トレーラー集団が右往左往している間に、白兵戦をしていた日向、馬越、大町に、オスプレイからロープで降りて来たエマージェンシーガールズ本体が合流し、敵も白兵戦に切り替えた。
午前11時半。旧芝離宮恩賜庭園。
あつこは辟易しながらも、仁礼、七尾、越後、葉月と共に、コスプレ軍団と闘っていた。
拳銃や機関銃は持っていないようなので、敢えてバトルスティックとバトルロッドでの白兵戦に臨んだ。
バトルスティックとは戦闘用のチタン製の棒で、バトルロッドは、バトルスティックの3段変形したものだ。
正午。防衛省前。
どこから、人質として連れてきた人々をトラックに乗せた連中が、門を潜ろうとしていた。
「ちょっと待ったあ!!いちたすいちはあ?」と、現れたエマージェンシーガールズ姿のみちるが尋ねた。
無反応だった。
「100円未満で一番高い値段は?」
誰も答えられなかった。
みちるは、増田から教わった『手旗信号』を周囲に送った。
やってきたトラック数台は、守谷達SATに取り押さえられた。
門を潜ったたら、自衛隊に任せる方針だった。
「ありがとう、増田。助かったよ。」
「副隊長。ラリアートする暇無かったじゃないですか。」と飯星が言った。
「済まん、済まん。」と、みちるが手刀を切ると、愛川、稲森、飯星、江南は笑った。
午後1時。台東リバーサイトスポーツセンター。
「副隊長。トレーラーの時限爆発物処理は、応急ですが、済みました。15台全部に仕掛けてありました。」と井関が、なぎさに報告をした。
「やはり、非情な面もあるか、『幹』』は。」筒井が嘆息した。
「あつこのチームの方は闇サイトで応募した女子。爆発物の点検をしたが、そちらは無かったようだ。」と、なぎさは筒井に言った。
「みちるの班も、伝子先輩の方も簡単に終ったらしい。配置に統一性がないな。」と、愛宕が言うと、案外『合議制』で決めた、とか。民主主義で。」と言って、橋爪警部補は笑った。
午後1時。旧芝離宮恩賜庭園。
「大股開きで、目のやり場に困りますね、副隊長。」と西部が言うと、「素人だからね。縄だけでいいかもよ。」と、あつこが呆れて言った。
午後1時。EITO東京本部。司令室。
「待機していた自衛隊は待機解除、通常任務に戻りました。」と、夏目警視正が言うと、「中津君に無理言って尾行させたが、メッセンジャーは全くの一般人だったらしい。世の中、金かな?」と、理事官はぼやいた。
午後5時。伝子のマンション。
「何?その、みちるちゃんの『なぞなぞ』。婿殿、教えて。
「いちたすいちはあ?、って言うのは、昔流行った写真撮影の時の合言葉。撮影される方は『ニッ』と言って口角を上げる。後の方は・・・99円が答え。人質らしき集団に日本人が混じっていたら分かります。お義母さん、那珂国の文化には『未満』がないんです。だから、100円、って間違って答えるか黙っている。」
そこに、藤井がやってきた。
「藤井さん、いちたすいちはあ?」と綾子が言うと、藤井は口角を上げて『ニ』と言ってVサインをした。
綾子は呆然としたが、大文字夫妻は笑っていた。
―完―

