======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー(平和への案内人)または行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ(アナザー・インテリジェンス)と呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。
斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。警察とEITOのパイプ役もするが、『交渉人』が必要な場合は、柴田管理官と交替で交渉人も行う。
久保田誠警部補・・・警視庁警部補。あつこの夫。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。
橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』
を手伝うこともある。
西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』
を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
河野事務官・・・警視庁から出向の事務官。警察、自衛隊、都庁などの連絡も受け持つ。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
江南(えなみ)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
西部(早乙女)愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO準隊員。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
新里あやめ警視・・・警視庁テロ対策室勤務。あつこの後任として、村越警視正の補佐を行っている。
原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
藤井康子・・・伝子の仕切り隣の住人。モールで料理教室を開いている。EITO準隊員待遇。
麻生島太郎・・・移民党副総裁。副総理。
遠山新八・・・遠山組組長。伝子に惚れ込んで、EITOの協力者になっている。テキヤだけでは経営が苦しいので、久保田管理官の紹介で、区役所のゴミ収集や、し尿くみ取りなども行っている。趣味は野球。
安住信次・・・海上保安庁の一等海上保安正。
北村和樹・・・海上保安庁職員。
名越撤兵・・・MAITOのC班班長。
=================================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午前0時すぎ。Redにドリフト・アイスの声明が上がった。
[お見合いパーティー第八回
日時:明日。
場所:
参加者:有限会社ドリフト・アイス有志の男性。
EITO東京本部の男性及び女性。
来賓:麻生島副総裁。
主宰:ドリフト・アイス
]
午前9時。EITO本部。会議室。
「書き忘れかな?あぶりだしかな?」と、原田が思わず呟き、慌てて口を押えた。
「原田。今夜、ダブル不倫しようか?」と、伝子は、目を輝かせて言った。
「きっと、『追伸』があるのよ、おねえさま。何かが原因で、慌てて投稿したとか。」と、なぎさは原田を庇って言った。
「私も、そう思う。でなければ、『皆が知ってる行事』の時間や場所とか。」と、あつこが言った。
「それは、あり得るな。草薙、明日の『イベント』を調べてみろ。」と、理事官は言った。
「了解しました。」とだけ、草薙は応えた。
数分後、草薙は答を出した。
「明日、7月27日の土曜日は、隅田川花火大会と新宿エイサーまつりがあります。花火大会は、19時及び19時半から、エイサーは、12時からです。」
「確か、エイサー付近では1度闘ったな。新宿歩行者天国か。」と、伝子は言った。
「では、分担を決めよう。麻生島さんには、総理から連絡が行っているはずだ。早乙女準隊員と工藤隊員には報せておいた。」
「コンティニューの『歯抜け』データの一つかもな。気を抜かずに行こう。
コンテニューとは、かつて伝子達EITOが闘ったダークレインボーの『幹』、即ち幹部だったが、亡くなる前に、虱潰しに調べたEITOの情報を『間引き』して組織本部に送った、詰まり、本部を裏切った幹部である。
なぎさは、お互いに『惹かれ合って』いたので、コンティニューの名前を聞く度に心が痛んだ。伝子は、それを知っているから、コンティニューに限っては、本名で話さない。
翌日。午前9時。麻生島邸。
麻生島は、延びている青年達を見て言った。
「総理がバイト君だと言っていたが、敵も人材不足なのかな?」と、早乙女に言った。
「ネットで募集するそうです。前金後金、各2万円。でも、初めから後金は払う予定はないと思いますが。」
横から応えた工藤に、「前に捕まったバイト君が白状したのかね。前金貰っても、逮捕されたら、元が取れないな。」と、麻生島は笑い、2人も釣られて笑った。
午前11時。警視庁。
隅田川花火大会の準備を、花火会社が始めた頃、隅田川を挟んで、走り回っている男達がいた。近隣の住人から警察に通報が入ったのと、久保田管理官の個人のスマホに電話が入ったのは、ほぼ同時期だった。
「どうした?遠山・・・何?分かった。EITOに連絡する。」
午前11時すぎ。EITO東京本部。司令室。
久保田管理官から連絡が入って、流石の斉藤理事官も動揺を隠せなかった。
花火大会の準備の応援に行っていた遠山組組員全員が、連絡取れない状態だったのだが、会場に向かう途中で拉致され、腹にダイナマイトを巻かれてしまったらしい。時限装置ではなく、リモコンで爆破する仕掛けらしい。会場近くで開放された彼らは、走らないとスイッチを押すと脅され、走っている最中だと、一番若い組員(社員)から連絡が入った、と言っているらしい。
「草薙さん。電波遮断装置は、今、どこに?」「オスプレイ2号機に積んであります。」
「渡さん、遠山組のDDバッジは?」「古いバージョンのものですから、エリアしか特定出来ません。」
「スイッチを押すように組員に報せる手段がないな。渡さん、ヘリを出して下さい。河野さん、海上保安庁に連絡を。それと、理事官。MAITOに応援要請を。新宿に向かって貰って。」
午前11時半。オスプレイ2号機の中。
「分かったわ。おねえさま。もうすぐ現場だわ。この装置のスイッチを押せばいいのね。どれくらいの時間もつの?」あつこが機内マイクで伝子に尋ねた。
「1時間が限界らしい。久保田管理官がケータイキャリア各社に電波障害の連絡を入れて貰った。お前達は、走っている組員を見つけ次第、川に投げ込め。武器は何でもいい。素手でもいい。とにかく爆発困難にするんだ。」
「了解。」と、あつこは短く応えた。
午前11時すぎ。新宿。歩行者天国。
EITOから中止要請はしたが、新宿エイサー実行委員会は同意しなかった。
そこで、『準備が手間取っている』という名目で30分だけ延期された。
なぎさ達が到着すると、西口方面からも東口方面からも、入場禁止のポールや、警察官・警備員のバリケードを破って、集団が拳銃を持ったり、爆竹を持ったりして侵入してきていた。
歩行者天国の中心部辺りで、なぎさ達エマージェンシーガールズと、集団は対峙した。
「少ないな。可愛い女の子は16人か18人の編成とか思っていたが・・・。」
敵のリーダーがしゃべり出した時、なぎさのインカムに聞き慣れた声が聞こえた。
名越の声だ。「待った?副隊長。」「ああ、おんなを持たせると痛い目に遭うよ。でも、その前に『イタメモノ』があるんだが。」「聞いている。」「待避!!」なぎさは、インカムで聞いている隊員に向けて号令をかけた。
エマージェンシーガールズは、道路の脇や路地に逃げ込んだ。
MAITOのオスプレイが数機、急降下した。そして、辺り一面、『小型消火弾』を、どんどん落して行き、10分すると、また去って行った。
エマージェンシーガールズは、一斉にペッパーガン、ウォーターガン、フリーズがんで集団を攻撃した。
ペッパーガンとは、胡椒などの台所調味料を調合した丸薬を弾にしたものを撃つ銃で、ウォーターガンとは、飛び出すとグミ状になる水を撃つ銃、そして、フリーズガンとは、飛び出すと液体窒素が冷凍する水に変化する銃だ。
EITOガーディアンズが、ホバーバイク隊として登場した。ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』で、EITOが採用、改造して戦闘または運搬に使用している。
今回は、着脱可能な『さすまた』を装備している。
ホバーバイク隊とエマージェンシーガールズは、あっという間に『掃除』した。
なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た、簡易通信機で、通常の大人の耳では聞こえない。
今回は、警官隊と機動隊が到着、片っ端から、護送車に押し込み、出発した。
0時45分。
各ゲートは『開門』し、宴は始まった。遅延は、久保田管理官が取ってくれるだろう。ホバーバイクに相乗り、または、オスプレイから延びたロープにぶら下がって、なぎさ達は退散した。
遡って、0時。
隅田川花火大会第一会場、第二会場近くを走っていた遠山組組員(社員)の9人は、隅田川に投げ込まれ、海上保安庁の安住と北村の指揮の下、ゴムボート経由で、『監視取締艇』というタイプの『船艇』に救出されていた。
花火大会準備の応援は無くなったが、海自からヘリで到着した自衛隊員2名が応援に入った。
花火を見る観客は、ほんの数時間しか花火を見ないが、暑い中万全の準備をする職人達の仕事は、20時間以上の労働だ。
どこやらの国は、何でもかんでも『自国が発祥だ』と、ハッタリをかますが、日本人の精密で根気のいる作業は出来ない。それこそが、民族性だろう、と、指令室で伝子は思った。
午後8時。伝子のマンション。
高遠と伝子、そして綾子と藤井は、テレビで花火大会の中継を見入っていた。
「綺麗だね。」と伝子が言うと、高遠は、「うん。綺麗な奥さんだ。」と応えた。
綾子と藤井は、聞こえない振りをした。
―完―
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダー(平和への案内人)または行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのエーアイ(アナザー・インテリジェンス)と呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中だが・・・。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。通称『片づけ隊』班長をしている。
斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
久保田嘉三管理官・・・EITO前司令官。警察とEITOのパイプ役もするが、『交渉人』が必要な場合は、柴田管理官と交替で交渉人も行う。
久保田誠警部補・・・警視庁警部補。あつこの夫。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。
橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』
を手伝うこともある。
西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』
を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
河野事務官・・・警視庁から出向の事務官。警察、自衛隊、都庁などの連絡も受け持つ。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
江南(えなみ)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
西部(早乙女)愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO準隊員。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
新里あやめ警視・・・警視庁テロ対策室勤務。あつこの後任として、村越警視正の補佐を行っている。
原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
藤井康子・・・伝子の仕切り隣の住人。モールで料理教室を開いている。EITO準隊員待遇。
麻生島太郎・・・移民党副総裁。副総理。
遠山新八・・・遠山組組長。伝子に惚れ込んで、EITOの協力者になっている。テキヤだけでは経営が苦しいので、久保田管理官の紹介で、区役所のゴミ収集や、し尿くみ取りなども行っている。趣味は野球。
安住信次・・・海上保安庁の一等海上保安正。
北村和樹・・・海上保安庁職員。
名越撤兵・・・MAITOのC班班長。
=================================================
==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午前0時すぎ。Redにドリフト・アイスの声明が上がった。
[お見合いパーティー第八回
日時:明日。
場所:
参加者:有限会社ドリフト・アイス有志の男性。
EITO東京本部の男性及び女性。
来賓:麻生島副総裁。
主宰:ドリフト・アイス
]
午前9時。EITO本部。会議室。
「書き忘れかな?あぶりだしかな?」と、原田が思わず呟き、慌てて口を押えた。
「原田。今夜、ダブル不倫しようか?」と、伝子は、目を輝かせて言った。
「きっと、『追伸』があるのよ、おねえさま。何かが原因で、慌てて投稿したとか。」と、なぎさは原田を庇って言った。
「私も、そう思う。でなければ、『皆が知ってる行事』の時間や場所とか。」と、あつこが言った。
「それは、あり得るな。草薙、明日の『イベント』を調べてみろ。」と、理事官は言った。
「了解しました。」とだけ、草薙は応えた。
数分後、草薙は答を出した。
「明日、7月27日の土曜日は、隅田川花火大会と新宿エイサーまつりがあります。花火大会は、19時及び19時半から、エイサーは、12時からです。」
「確か、エイサー付近では1度闘ったな。新宿歩行者天国か。」と、伝子は言った。
「では、分担を決めよう。麻生島さんには、総理から連絡が行っているはずだ。早乙女準隊員と工藤隊員には報せておいた。」
「コンティニューの『歯抜け』データの一つかもな。気を抜かずに行こう。
コンテニューとは、かつて伝子達EITOが闘ったダークレインボーの『幹』、即ち幹部だったが、亡くなる前に、虱潰しに調べたEITOの情報を『間引き』して組織本部に送った、詰まり、本部を裏切った幹部である。
なぎさは、お互いに『惹かれ合って』いたので、コンティニューの名前を聞く度に心が痛んだ。伝子は、それを知っているから、コンティニューに限っては、本名で話さない。
翌日。午前9時。麻生島邸。
麻生島は、延びている青年達を見て言った。
「総理がバイト君だと言っていたが、敵も人材不足なのかな?」と、早乙女に言った。
「ネットで募集するそうです。前金後金、各2万円。でも、初めから後金は払う予定はないと思いますが。」
横から応えた工藤に、「前に捕まったバイト君が白状したのかね。前金貰っても、逮捕されたら、元が取れないな。」と、麻生島は笑い、2人も釣られて笑った。
午前11時。警視庁。
隅田川花火大会の準備を、花火会社が始めた頃、隅田川を挟んで、走り回っている男達がいた。近隣の住人から警察に通報が入ったのと、久保田管理官の個人のスマホに電話が入ったのは、ほぼ同時期だった。
「どうした?遠山・・・何?分かった。EITOに連絡する。」
午前11時すぎ。EITO東京本部。司令室。
久保田管理官から連絡が入って、流石の斉藤理事官も動揺を隠せなかった。
花火大会の準備の応援に行っていた遠山組組員全員が、連絡取れない状態だったのだが、会場に向かう途中で拉致され、腹にダイナマイトを巻かれてしまったらしい。時限装置ではなく、リモコンで爆破する仕掛けらしい。会場近くで開放された彼らは、走らないとスイッチを押すと脅され、走っている最中だと、一番若い組員(社員)から連絡が入った、と言っているらしい。
「草薙さん。電波遮断装置は、今、どこに?」「オスプレイ2号機に積んであります。」
「渡さん、遠山組のDDバッジは?」「古いバージョンのものですから、エリアしか特定出来ません。」
「スイッチを押すように組員に報せる手段がないな。渡さん、ヘリを出して下さい。河野さん、海上保安庁に連絡を。それと、理事官。MAITOに応援要請を。新宿に向かって貰って。」
午前11時半。オスプレイ2号機の中。
「分かったわ。おねえさま。もうすぐ現場だわ。この装置のスイッチを押せばいいのね。どれくらいの時間もつの?」あつこが機内マイクで伝子に尋ねた。
「1時間が限界らしい。久保田管理官がケータイキャリア各社に電波障害の連絡を入れて貰った。お前達は、走っている組員を見つけ次第、川に投げ込め。武器は何でもいい。素手でもいい。とにかく爆発困難にするんだ。」
「了解。」と、あつこは短く応えた。
午前11時すぎ。新宿。歩行者天国。
EITOから中止要請はしたが、新宿エイサー実行委員会は同意しなかった。
そこで、『準備が手間取っている』という名目で30分だけ延期された。
なぎさ達が到着すると、西口方面からも東口方面からも、入場禁止のポールや、警察官・警備員のバリケードを破って、集団が拳銃を持ったり、爆竹を持ったりして侵入してきていた。
歩行者天国の中心部辺りで、なぎさ達エマージェンシーガールズと、集団は対峙した。
「少ないな。可愛い女の子は16人か18人の編成とか思っていたが・・・。」
敵のリーダーがしゃべり出した時、なぎさのインカムに聞き慣れた声が聞こえた。
名越の声だ。「待った?副隊長。」「ああ、おんなを持たせると痛い目に遭うよ。でも、その前に『イタメモノ』があるんだが。」「聞いている。」「待避!!」なぎさは、インカムで聞いている隊員に向けて号令をかけた。
エマージェンシーガールズは、道路の脇や路地に逃げ込んだ。
MAITOのオスプレイが数機、急降下した。そして、辺り一面、『小型消火弾』を、どんどん落して行き、10分すると、また去って行った。
エマージェンシーガールズは、一斉にペッパーガン、ウォーターガン、フリーズがんで集団を攻撃した。
ペッパーガンとは、胡椒などの台所調味料を調合した丸薬を弾にしたものを撃つ銃で、ウォーターガンとは、飛び出すとグミ状になる水を撃つ銃、そして、フリーズガンとは、飛び出すと液体窒素が冷凍する水に変化する銃だ。
EITOガーディアンズが、ホバーバイク隊として登場した。ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』で、EITOが採用、改造して戦闘または運搬に使用している。
今回は、着脱可能な『さすまた』を装備している。
ホバーバイク隊とエマージェンシーガールズは、あっという間に『掃除』した。
なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た、簡易通信機で、通常の大人の耳では聞こえない。
今回は、警官隊と機動隊が到着、片っ端から、護送車に押し込み、出発した。
0時45分。
各ゲートは『開門』し、宴は始まった。遅延は、久保田管理官が取ってくれるだろう。ホバーバイクに相乗り、または、オスプレイから延びたロープにぶら下がって、なぎさ達は退散した。
遡って、0時。
隅田川花火大会第一会場、第二会場近くを走っていた遠山組組員(社員)の9人は、隅田川に投げ込まれ、海上保安庁の安住と北村の指揮の下、ゴムボート経由で、『監視取締艇』というタイプの『船艇』に救出されていた。
花火大会準備の応援は無くなったが、海自からヘリで到着した自衛隊員2名が応援に入った。
花火を見る観客は、ほんの数時間しか花火を見ないが、暑い中万全の準備をする職人達の仕事は、20時間以上の労働だ。
どこやらの国は、何でもかんでも『自国が発祥だ』と、ハッタリをかますが、日本人の精密で根気のいる作業は出来ない。それこそが、民族性だろう、と、指令室で伝子は思った。
午後8時。伝子のマンション。
高遠と伝子、そして綾子と藤井は、テレビで花火大会の中継を見入っていた。
「綺麗だね。」と伝子が言うと、高遠は、「うん。綺麗な奥さんだ。」と応えた。
綾子と藤井は、聞こえない振りをした。
―完―