異形のエミリー先生と、合成獣。
左右から私へと向けて襲い掛かって来た。
【闘魔の歌】
アリアは戦闘になるであろうと察知したのか、私に【闘魔の歌】で力を注ぐ。
ありがたい……マナが、力が溢れてくる!!
私は【瞬歩】で二体の攻撃を躱すと、すかさず私だけを追って来た。
アリアは狙わない……?
なら、まだやりやすい!!
合成獣の方はまだしも、異形のエミリー先生のゾンビは私よりはるかに格上だ。
備えるマナ量も、纏っている闘気も、今のポワンには届かないまでも、他の四帝達よりはるかに勝る。
そんな存在に、純粋にぶつかり合えば、負けるのは必至。
「まずは……こっちから!!」
とりあえず、数を減らす。
まず狙うなら三頭の合成獣からだ!!
【瞬歩】で合成獣に距離を詰め、【衝波】を繰り出そうとする――も、右の鳥の頭が反応し、私に向けて鋭く突いてきた。
紙一重で躱すと、次は左の猪の頭が牙を突き刺そうと首を伸ばしてくる。
猪の牙を半身で躱すと、今度は真ん中のライオンの頭が齧り付いて来た。
「くっ……!?」
思わず巨大なライオンの口を両手で止める。
そうだ、こいつ……頭三つなんだ!!
正面からは攻めづらい……!!
私が喰われないようライオンの口を抑えていると、背後から大剣でエミリー先生が襲い掛かって来る。
あの強さの闘気を纏った大剣は左手の手甲でも、右手の義手でも受け止めきれない……!!
大剣を振るわれた刹那、【瞬歩】で私はその場から脱出した。
危なかった……そう思ったその時――。
エミリー先生の左手の黒竜がこちらに顔を向けてブレスを吐いてくる。
不意を突かれた私は、そのブレスに直撃した。
「がっ……!?」
黒竜のブレスの直撃を受けた私は、吹き飛ばされる。
「……ヒメナ!?」
目が見えないアリアが、私の悲鳴を聞いて叫ぶ中、煙を上げながらも何とか立ち上がった。
油断して闘気を緩めていたら……死んでたかもしれない……!!
かなりのダメージを負い、状況は一体二と依然変わらない。
強力な二体の異形はじっくりと私を観察しながら、じわじわと距離を詰めてくる。
唯一救いなのは、アリアを襲わないことだ。
アリアを守りながらの闘いだったら、もっと厳しい戦いになっていただろう。
「さー、どうするー? 早く【終焉の歌】を歌わないとー。受信器が死んじゃうよー?」
ルシェルシュはどうやら【終焉の歌】というものをアリアに歌わせたいみたいだ。
だからアリアを狙わない。
「……駄目、アリア!! そいつの狙いが何なのかは分からないけど、乗ってやる必要なんてない!! 私が何とかするから!!」
「う……うん……」
そんな誘いに乗ってやるもんか。
私がアリアを守るし、エミリー先生にも安息を与えてあげるんだ。
アリアの【闘魔の歌】で強化された私ならきっと出来るはず!
「はああぁぁ!!」
私は合成獣に再度【瞬歩】で突撃すると、異形二体が、それに反応してすかさず攻撃をしてきた。
それに合わせて闘気を残して再び【瞬歩】をし、残像を残す。
闘技【残影】だ。
二体の異形が私の残像を攻撃する中、私が【瞬歩】で移動したのは老人のレインの目の前だ。
「ふぉっ!?」
急に眼前に私が現れレインが驚く中、次の闘技を放つ準備をし――。
「闘技【発勁】」
レインの丹田に【発勁】を叩きこんだ。
「ぶぇっ……!!」
マナの貯蔵庫である丹田に、私の闘気が混ざり倒れ込むレイン。
それと同時に合成獣も意識を手放した。
予想通りだ。
このお爺ちゃん自身に戦闘能力はほとんどない。
おそらく魔法は誰かや何かを操るモノで、闘気は纏えない。
黒竜セイブルの時もそうだったけど、自分は常に戦闘から離れて安全圏にいようとしていたのが何よりの証拠だ。
馬鹿正直に闘う必要はない。
元を叩けばいいんだ。
それはルシェルシュも同じ。
ルシェルシュさえ倒してしまえば、エミリー先生を解放できるはず。
あいつの魔法は【死霊】で、生きる屍として蘇生させて使役する能力なんだから。
そう考え、ルシェルシュへと次の狙いを移した私は、【瞬歩】を使ってルシェルシュの間合いへと一瞬で入った。
「良い判断だけどー、ざんねーん」
気付けば【瞬歩】で近づいていた異形なエミリー先生。
左から大剣を私に向けて振りかぶっていた。
死んでいるのに……闘技も使えるの!?
動揺していた私は、振られた大剣をすんでの所で躱す。
袈裟斬りのあまりの威力に地面は割れるようにヒビが入った。
私は一息つくために、跳んで距離を取る。
「……っ……!! ……いいの? ここってあんたの大事な場所じゃないの? こんな派手に闘って大丈夫?」
「構わないよー。そんなことより僕の興味は【終焉の歌】にあるからねー」
あくまで【終焉の歌】ってのに拘るわけね……。
一体どんな魔技だって言うのよ……!?
名前からして物騒だ……アリアに歌わす訳にはいかない!!
「そんなに使いたくないならさー、使わざるを得なくさせてあげるよー」
ルシェルシュは指を弾く。
それに呼応するかのように、異形のエミリー先生の闘気は力強さを増した。
「嘘でしょ……?」
ポワンに迫る程の闘気……。
さっきまでの闘気と……桁が違う。
「元剣帝の魔法は【倍化】だよー。闘気や攻撃の威力、そういったモノを倍化させるんだー」
そういえば……先生は最期の死に際自分に剣を突き刺してマナを何倍にもさせてた……。
闘気を倍化させれるなんて反則だよ……。
こんなの、どうすればいいの……?
「ヒメナ……」
私が異形のエミリー先生の闘気に絶望する中――アリアは私を心配する声を上げた。
左右から私へと向けて襲い掛かって来た。
【闘魔の歌】
アリアは戦闘になるであろうと察知したのか、私に【闘魔の歌】で力を注ぐ。
ありがたい……マナが、力が溢れてくる!!
私は【瞬歩】で二体の攻撃を躱すと、すかさず私だけを追って来た。
アリアは狙わない……?
なら、まだやりやすい!!
合成獣の方はまだしも、異形のエミリー先生のゾンビは私よりはるかに格上だ。
備えるマナ量も、纏っている闘気も、今のポワンには届かないまでも、他の四帝達よりはるかに勝る。
そんな存在に、純粋にぶつかり合えば、負けるのは必至。
「まずは……こっちから!!」
とりあえず、数を減らす。
まず狙うなら三頭の合成獣からだ!!
【瞬歩】で合成獣に距離を詰め、【衝波】を繰り出そうとする――も、右の鳥の頭が反応し、私に向けて鋭く突いてきた。
紙一重で躱すと、次は左の猪の頭が牙を突き刺そうと首を伸ばしてくる。
猪の牙を半身で躱すと、今度は真ん中のライオンの頭が齧り付いて来た。
「くっ……!?」
思わず巨大なライオンの口を両手で止める。
そうだ、こいつ……頭三つなんだ!!
正面からは攻めづらい……!!
私が喰われないようライオンの口を抑えていると、背後から大剣でエミリー先生が襲い掛かって来る。
あの強さの闘気を纏った大剣は左手の手甲でも、右手の義手でも受け止めきれない……!!
大剣を振るわれた刹那、【瞬歩】で私はその場から脱出した。
危なかった……そう思ったその時――。
エミリー先生の左手の黒竜がこちらに顔を向けてブレスを吐いてくる。
不意を突かれた私は、そのブレスに直撃した。
「がっ……!?」
黒竜のブレスの直撃を受けた私は、吹き飛ばされる。
「……ヒメナ!?」
目が見えないアリアが、私の悲鳴を聞いて叫ぶ中、煙を上げながらも何とか立ち上がった。
油断して闘気を緩めていたら……死んでたかもしれない……!!
かなりのダメージを負い、状況は一体二と依然変わらない。
強力な二体の異形はじっくりと私を観察しながら、じわじわと距離を詰めてくる。
唯一救いなのは、アリアを襲わないことだ。
アリアを守りながらの闘いだったら、もっと厳しい戦いになっていただろう。
「さー、どうするー? 早く【終焉の歌】を歌わないとー。受信器が死んじゃうよー?」
ルシェルシュはどうやら【終焉の歌】というものをアリアに歌わせたいみたいだ。
だからアリアを狙わない。
「……駄目、アリア!! そいつの狙いが何なのかは分からないけど、乗ってやる必要なんてない!! 私が何とかするから!!」
「う……うん……」
そんな誘いに乗ってやるもんか。
私がアリアを守るし、エミリー先生にも安息を与えてあげるんだ。
アリアの【闘魔の歌】で強化された私ならきっと出来るはず!
「はああぁぁ!!」
私は合成獣に再度【瞬歩】で突撃すると、異形二体が、それに反応してすかさず攻撃をしてきた。
それに合わせて闘気を残して再び【瞬歩】をし、残像を残す。
闘技【残影】だ。
二体の異形が私の残像を攻撃する中、私が【瞬歩】で移動したのは老人のレインの目の前だ。
「ふぉっ!?」
急に眼前に私が現れレインが驚く中、次の闘技を放つ準備をし――。
「闘技【発勁】」
レインの丹田に【発勁】を叩きこんだ。
「ぶぇっ……!!」
マナの貯蔵庫である丹田に、私の闘気が混ざり倒れ込むレイン。
それと同時に合成獣も意識を手放した。
予想通りだ。
このお爺ちゃん自身に戦闘能力はほとんどない。
おそらく魔法は誰かや何かを操るモノで、闘気は纏えない。
黒竜セイブルの時もそうだったけど、自分は常に戦闘から離れて安全圏にいようとしていたのが何よりの証拠だ。
馬鹿正直に闘う必要はない。
元を叩けばいいんだ。
それはルシェルシュも同じ。
ルシェルシュさえ倒してしまえば、エミリー先生を解放できるはず。
あいつの魔法は【死霊】で、生きる屍として蘇生させて使役する能力なんだから。
そう考え、ルシェルシュへと次の狙いを移した私は、【瞬歩】を使ってルシェルシュの間合いへと一瞬で入った。
「良い判断だけどー、ざんねーん」
気付けば【瞬歩】で近づいていた異形なエミリー先生。
左から大剣を私に向けて振りかぶっていた。
死んでいるのに……闘技も使えるの!?
動揺していた私は、振られた大剣をすんでの所で躱す。
袈裟斬りのあまりの威力に地面は割れるようにヒビが入った。
私は一息つくために、跳んで距離を取る。
「……っ……!! ……いいの? ここってあんたの大事な場所じゃないの? こんな派手に闘って大丈夫?」
「構わないよー。そんなことより僕の興味は【終焉の歌】にあるからねー」
あくまで【終焉の歌】ってのに拘るわけね……。
一体どんな魔技だって言うのよ……!?
名前からして物騒だ……アリアに歌わす訳にはいかない!!
「そんなに使いたくないならさー、使わざるを得なくさせてあげるよー」
ルシェルシュは指を弾く。
それに呼応するかのように、異形のエミリー先生の闘気は力強さを増した。
「嘘でしょ……?」
ポワンに迫る程の闘気……。
さっきまでの闘気と……桁が違う。
「元剣帝の魔法は【倍化】だよー。闘気や攻撃の威力、そういったモノを倍化させるんだー」
そういえば……先生は最期の死に際自分に剣を突き刺してマナを何倍にもさせてた……。
闘気を倍化させれるなんて反則だよ……。
こんなの、どうすればいいの……?
「ヒメナ……」
私が異形のエミリー先生の闘気に絶望する中――アリアは私を心配する声を上げた。