冥土隊へと加入した私は、ロラン率いる紫狼騎士団と共にリユニオンから王都へ戻っていた。
冥土隊は一つの馬車に乗り込んでいるけど、アリアだけはロランと同じ豪勢な馬車に乗っている。
ルーナ達の傷は癒えたけどブレアだけはまだ怪我が完治していなかった。
「ちぇっ……馬車の揺れが傷に響くぜ……おい、エマ! もっと丁寧に運転できねーのかよ!!」
「無茶言いなさんな」
馬車の御者をするエマに、無茶な文句をつけてら。
相変わらず変わってないなー、ブレアは。
身体も五年前と変わらずちっこいままだし。
「それより、ブレア魔法具壊し過ぎだよーっ! 直す大変さ考えて欲しいんだけどーっ!!」
「うっせ、バーカ! 四帝の一人と闘り合ったんだからしゃーねーだろが!!」
魔法具って何だろ?
ブレアのボロボロの金槌のことかな?
「大体ヒメナ、てめぇ何で戻って来たんだよ!? アリアの気持ちを知りもしないでよ!! バーカ!!」
「知った上で戻って来たんだよ! アリアを守るためにねっ!!」
「アリアを守るだぁ? 利き腕もないお前が!?」
そんな私をブレアは鼻で笑った。
生意気で、鼻につくとこも五年前と何も変わってないや。
「ブレア、実際ヒメナは強いわよ。多分……私達の誰より。アリアをアッシュに攫われなかったのもヒメナのお陰だし」
「!?」
ルーナが言ったことにブレアは驚き、目を見開く。
自分が敵わなかったアッシュを私が退けたのに驚いたのかな?
「まぁ一応五年間修業してたから……そのおかげかな」
「私達だって三年半訓練をしたりぃ、ここ一年半は戦闘に参加したりしてたけどぉ。どんな修行をしたのぉ?」
ベラに聞かれて修行の内容を思い出す。
「うーん、マナ操作や兄弟子との組手とか、後は師匠に闘技教えられたりとかかな」
冬は毎日滝で水行をさせられたり、空気だけ吸えるようにして三日間土の中に埋められたり、一週間闘気を纏って生活し続けさせられてたりしたけど、それは黙っとこっと。
何か引かれそうだし、思い出したくもないし。
「ヒメナの魔法は何なんだい? 闘技を使っている所は見たけどさ」
「あ~……実は私、水晶儀をしても、魔水晶が反応しなかったんだ」
御者をしているベラが振り返って聞いて来る。
この馬車には冥土隊しかいない。
言っても大丈夫だろう。
「つまり、魔法を持ってないんだ。だから闘技しか使えないんだよ」
「嘘だーっ!! そんなことありえないよーっ!!」
人間で魔法を使えない者なんていない。
フローラはそんな私の話を聞いて、何やら変な武器を取り出し、それを私に向けて引き金を引いた。
【解析】
「ほぇ!?」
私はフローラのマナに撃たれる。
体にダメージはない。
「げげげっ!! マジで魔法持ってないじゃん、ヒメナ!! ありえないんだけどーっ!!」
「今ので何か分かったの?」
変な武器で撃たれただけで、ダメージもないし何されたんだろ?
「たっはっはー! ボクの魔法は【解析】!! マナで触れた対象のモノの性質がある程度わかるんだーっ!! 人間に使えばマナ量の数値化ができたり、持ってる魔法が分かるんだよーっ!!」
フローラの魔法は、ヴェデレさんと似たような魔法ってことかな?
「その私を撃った武器は?」
「これはボクが作った魔法具っ!! マナ銃って呼んでるんだけど、魔石を通して使い手のマナを撃てるのっ! だから、ボクが使えば遠距離の相手でも【解析】出来るって訳!!」
ほぇ〜、すごいや。
そんなことが出来るんだ。
フローラって本当に頭良いんだなー。
「皆の武器もその魔法具ってやつなの?」
「そうだよっ! ヒメナの分も作ろうか!?」
魔法具か〜……。
私は片手だから武器なんて扱えないし、左手にはルグレの形見の手甲を付けてるし……欲しいモノなんて……。
「あっ!」
あった、欲しいモノ……。
無くしてから、ずっと欲しいと願ったけど、手に入らなかったモノ。
失ってからもう、随分経つモノ……。
「……ねぇ、フローラ。私の右手の義手って作れるかな?」
アッシュに切り落とされた右肘から先、それがあればどれだけ良いか。
私には魔法も右手も無い。それだけで戦闘でかなりのハンデになる。
その一つでも無くせるものなら無くしたい。
「ん〜……やれるかわからないけど、やってみるよ! ブレアの魔法具直した後になるけどねっ!!」
「ホント!?」
「後で左手の長さ測らせてっ! ボクも色々試したいことあったから丁度いいしねっ!! 時間はちっとかかるけどっ!!」
「うんっ! ありがとう!!」
もしフローラが右手の義手が作れるなら、私にとってこれ以上嬉しいことはない。
フローラには迷惑かけちゃうけど、ごめんね。
冥土隊は一つの馬車に乗り込んでいるけど、アリアだけはロランと同じ豪勢な馬車に乗っている。
ルーナ達の傷は癒えたけどブレアだけはまだ怪我が完治していなかった。
「ちぇっ……馬車の揺れが傷に響くぜ……おい、エマ! もっと丁寧に運転できねーのかよ!!」
「無茶言いなさんな」
馬車の御者をするエマに、無茶な文句をつけてら。
相変わらず変わってないなー、ブレアは。
身体も五年前と変わらずちっこいままだし。
「それより、ブレア魔法具壊し過ぎだよーっ! 直す大変さ考えて欲しいんだけどーっ!!」
「うっせ、バーカ! 四帝の一人と闘り合ったんだからしゃーねーだろが!!」
魔法具って何だろ?
ブレアのボロボロの金槌のことかな?
「大体ヒメナ、てめぇ何で戻って来たんだよ!? アリアの気持ちを知りもしないでよ!! バーカ!!」
「知った上で戻って来たんだよ! アリアを守るためにねっ!!」
「アリアを守るだぁ? 利き腕もないお前が!?」
そんな私をブレアは鼻で笑った。
生意気で、鼻につくとこも五年前と何も変わってないや。
「ブレア、実際ヒメナは強いわよ。多分……私達の誰より。アリアをアッシュに攫われなかったのもヒメナのお陰だし」
「!?」
ルーナが言ったことにブレアは驚き、目を見開く。
自分が敵わなかったアッシュを私が退けたのに驚いたのかな?
「まぁ一応五年間修業してたから……そのおかげかな」
「私達だって三年半訓練をしたりぃ、ここ一年半は戦闘に参加したりしてたけどぉ。どんな修行をしたのぉ?」
ベラに聞かれて修行の内容を思い出す。
「うーん、マナ操作や兄弟子との組手とか、後は師匠に闘技教えられたりとかかな」
冬は毎日滝で水行をさせられたり、空気だけ吸えるようにして三日間土の中に埋められたり、一週間闘気を纏って生活し続けさせられてたりしたけど、それは黙っとこっと。
何か引かれそうだし、思い出したくもないし。
「ヒメナの魔法は何なんだい? 闘技を使っている所は見たけどさ」
「あ~……実は私、水晶儀をしても、魔水晶が反応しなかったんだ」
御者をしているベラが振り返って聞いて来る。
この馬車には冥土隊しかいない。
言っても大丈夫だろう。
「つまり、魔法を持ってないんだ。だから闘技しか使えないんだよ」
「嘘だーっ!! そんなことありえないよーっ!!」
人間で魔法を使えない者なんていない。
フローラはそんな私の話を聞いて、何やら変な武器を取り出し、それを私に向けて引き金を引いた。
【解析】
「ほぇ!?」
私はフローラのマナに撃たれる。
体にダメージはない。
「げげげっ!! マジで魔法持ってないじゃん、ヒメナ!! ありえないんだけどーっ!!」
「今ので何か分かったの?」
変な武器で撃たれただけで、ダメージもないし何されたんだろ?
「たっはっはー! ボクの魔法は【解析】!! マナで触れた対象のモノの性質がある程度わかるんだーっ!! 人間に使えばマナ量の数値化ができたり、持ってる魔法が分かるんだよーっ!!」
フローラの魔法は、ヴェデレさんと似たような魔法ってことかな?
「その私を撃った武器は?」
「これはボクが作った魔法具っ!! マナ銃って呼んでるんだけど、魔石を通して使い手のマナを撃てるのっ! だから、ボクが使えば遠距離の相手でも【解析】出来るって訳!!」
ほぇ〜、すごいや。
そんなことが出来るんだ。
フローラって本当に頭良いんだなー。
「皆の武器もその魔法具ってやつなの?」
「そうだよっ! ヒメナの分も作ろうか!?」
魔法具か〜……。
私は片手だから武器なんて扱えないし、左手にはルグレの形見の手甲を付けてるし……欲しいモノなんて……。
「あっ!」
あった、欲しいモノ……。
無くしてから、ずっと欲しいと願ったけど、手に入らなかったモノ。
失ってからもう、随分経つモノ……。
「……ねぇ、フローラ。私の右手の義手って作れるかな?」
アッシュに切り落とされた右肘から先、それがあればどれだけ良いか。
私には魔法も右手も無い。それだけで戦闘でかなりのハンデになる。
その一つでも無くせるものなら無くしたい。
「ん〜……やれるかわからないけど、やってみるよ! ブレアの魔法具直した後になるけどねっ!!」
「ホント!?」
「後で左手の長さ測らせてっ! ボクも色々試したいことあったから丁度いいしねっ!! 時間はちっとかかるけどっ!!」
「うんっ! ありがとう!!」
もしフローラが右手の義手が作れるなら、私にとってこれ以上嬉しいことはない。
フローラには迷惑かけちゃうけど、ごめんね。