「…ところで、小野さん」
原先生が口を開いた。
「やっぱり、まだ教室に行く気はない?」
「ない」
「…そっか」
私の「ない」の即答に慣れている原先生は、特に、気にする様子もなく、いつも通りパソコンをいじっていた。
先生もわかっているのだろう。私の気持ちが。
教室が嫌いだ。というか、学校にいる生徒たちが嫌いだ。
周りになんの気遣いや気配りもなく、自分たちがよければどうだっていいような自己中心的な考えを、いい子に偽装して振る舞っているような奴らしかいない。僕は私はそうじゃないって奴らだって、無駄だ。私みたいな、人を助ける人間が追い詰められていたとしても、やっぱり自分の身を守るために働くのだ。
なのにどうして、私のような自分を犠牲にしてまで人のために正義を尽くした人間が、逆につまみ出されなけらばいけない?
結局は多数決できまるのか?善も悪も。
これが、私のあの日の気持ちなのだ。そして、今も変わらない気持ち。私のプライド。
「…特に今日は、あんまり考えたくない」
「それは、今日の憂鬱な顔をしているのと何か繋がりが?」
「お察しの通りです」
原先生の観察力はすごいからなぁ、と一人で納得していると、お昼休みになった。
原先生と私はいつもお弁当で、食堂にはあまり行かない。生徒はほとんど食堂でお昼ご飯を済ますのだが、極力生徒たちと顔を合わせたくない私の策略である。そして、謎に原先生のお弁当のクオリティが高いのも、毎日のこと。
そんな風に少し休憩したら、また勉強を再開する。
そうやって、私の学校生活は成り立っている。
「…やったー!!今日のノルマ達成!」
「お疲れ様~」
原先生と学校にさよならをしたら、ここからだ。
私の夜は。
「帰宅ー」
ぱちんと電気がつくと、時計の針が8を指しているのが見えた。
お母さんがあと一時間ほどで帰ってくるから、先にご飯を食べようと思った。今日はカップラーメンでいいや、毎日じゃないし。
小野家のカップラーメンは充実している。大体オーソドックスなメンツは常に二つずつ常備してあるし、飽きたと思えば、期間限定のものや新発売のものを食べればいい。結局、今日はしょうゆ味にしたが。
その他に、昨晩の残り物と、前作って冷凍してあるちょうどいいサイズのおにぎりをあたためれば、あっという間に藍詩満足メニューの完成だ。
こうして一人で夕飯を用意するのも、それを一人で食べるのも、もういつの間にか当たり前になっていた。お母さんと私の二人で生活する毎日が、物心ついた頃には普通のことだったから。
原先生が口を開いた。
「やっぱり、まだ教室に行く気はない?」
「ない」
「…そっか」
私の「ない」の即答に慣れている原先生は、特に、気にする様子もなく、いつも通りパソコンをいじっていた。
先生もわかっているのだろう。私の気持ちが。
教室が嫌いだ。というか、学校にいる生徒たちが嫌いだ。
周りになんの気遣いや気配りもなく、自分たちがよければどうだっていいような自己中心的な考えを、いい子に偽装して振る舞っているような奴らしかいない。僕は私はそうじゃないって奴らだって、無駄だ。私みたいな、人を助ける人間が追い詰められていたとしても、やっぱり自分の身を守るために働くのだ。
なのにどうして、私のような自分を犠牲にしてまで人のために正義を尽くした人間が、逆につまみ出されなけらばいけない?
結局は多数決できまるのか?善も悪も。
これが、私のあの日の気持ちなのだ。そして、今も変わらない気持ち。私のプライド。
「…特に今日は、あんまり考えたくない」
「それは、今日の憂鬱な顔をしているのと何か繋がりが?」
「お察しの通りです」
原先生の観察力はすごいからなぁ、と一人で納得していると、お昼休みになった。
原先生と私はいつもお弁当で、食堂にはあまり行かない。生徒はほとんど食堂でお昼ご飯を済ますのだが、極力生徒たちと顔を合わせたくない私の策略である。そして、謎に原先生のお弁当のクオリティが高いのも、毎日のこと。
そんな風に少し休憩したら、また勉強を再開する。
そうやって、私の学校生活は成り立っている。
「…やったー!!今日のノルマ達成!」
「お疲れ様~」
原先生と学校にさよならをしたら、ここからだ。
私の夜は。
「帰宅ー」
ぱちんと電気がつくと、時計の針が8を指しているのが見えた。
お母さんがあと一時間ほどで帰ってくるから、先にご飯を食べようと思った。今日はカップラーメンでいいや、毎日じゃないし。
小野家のカップラーメンは充実している。大体オーソドックスなメンツは常に二つずつ常備してあるし、飽きたと思えば、期間限定のものや新発売のものを食べればいい。結局、今日はしょうゆ味にしたが。
その他に、昨晩の残り物と、前作って冷凍してあるちょうどいいサイズのおにぎりをあたためれば、あっという間に藍詩満足メニューの完成だ。
こうして一人で夕飯を用意するのも、それを一人で食べるのも、もういつの間にか当たり前になっていた。お母さんと私の二人で生活する毎日が、物心ついた頃には普通のことだったから。