君という夢を描いて

*

俺は自室に戻るなり、ベッドの上に脱力した状態で臥した。

実感がなさすぎて、逆に怖い。

刻一刻と迫る命のカウントダウン。

 梨歩もこんな不安と恐怖に苛まれながら今まで生きてきたのだろうか。でも、俺の知る限りの梨歩は、いつも笑顔だった。溌剌とした印象で、病とは無縁の、至って健康そのものなのだと思っていた。

いつどうなるかわからない恐怖。

生きている事自体が当たり前の日常だと信じて疑わなかった。その日常が、日常ではなくなる日がこんなにも早く訪れるとは思いもしなかった。

 死にたくない。

 もっと生きたい。

 当たり前の日常が壊れていく恐怖ほど、絶望を感じずにはいられなかった。



 死へのカウントダウン。


 誰がこんな未来を想像できただろうか。


 怪我が治ったら、真っ先に梨歩のもとへ駆けつけるのに。


 最悪足が動かなくなったとしても、命さえあればいくらでも会えるチャンスはある。



 それなのに、何て仕打ちなんだ。

 俺が一体何をした?


 なぜ、気付けなかった?


 自覚症状が何なのかすら、わからないなんて。


「くそ……ッ」


 悔しい。


 俺はまだ生きられる。


 こんなにも体は元気なのに。

 いや、ボロボロか。

 俺が気づいていなかっただけで。

 俺は俺自身の体の悲鳴にも気づけなかった。


 何故気づかなかったのか。


 何もかも手遅れだというのか。


「何でだよ……」

 もう明日が来なくなるかもしれないと思うと、急に目の前が真っ暗になったような気がした。

「……梨歩」