君という夢を描いて

「梨歩がいつも明るく元気に振る舞えるのは、その傷があるからなんだなと思って」
俺は続ける。
「傷は確かに生々しいし、結構ショッキングだった。でも、それを俺に打ち明けた梨歩はめちゃくちゃ格好よかった。コンプレックスを誰かに打ち明けるのってすごく勇気がいっただろうにって。だから、それは傷じゃなくて、梨歩の強さの証だと思う。それに……」

少し言い淀んで、俺は梨歩の傷に触れながら言った。
「ひゃ……!」

「これは、俺だけに見せてくれればいい。いや、そうしてほしい」
「え……」
「この先もずっと」
「涼ちゃん……」

彼女の体温を感じながら、俺はさらに胸の奥に迸(ほとばし)る熱い情動と理性の間(はざま)で葛藤を続けていたが、そろそろ限界だ。

俺は着ていたTシャツを脱ぎ、梨歩をさっきよりもきつく抱きしめる。

「好きだ」

好きだとはっきり伝えたのは、きっとこの時が初めてだ。梨歩と付き合う前は俺から告白はしたものの、好きだとは言えずにいた。

(まさか、あんな告白で付き合えるとは思ってもみなかったからな)

まあ、結果オーライということで今日まで関係を続けてきたわけなのだが、信じられないくらいスムーズな流れでこうなった。それは恐らく、彼女がとても素直で寛大だからだと思う。
きっと彼女の寛大さが、俺に勇気をくれたのだろう。俺のようなヘタレた男を受け容れるくらいの器の持ち主だ。そういう意味では、俺はもしかすると人を見る目があるのかもしれないな――とささやかに自賛してみる。

「あたしも。好きよ、涼ちゃん」
「梨歩」