部屋にかかっている壁時計は十五時四十分を指しており、スポーツドリンクを飲んだ時に見た十二時十五分から約三時間三十分が経過していた。

夢を思い出せばほんの十分程度だった気がするのに現実では随分と長い時間寝ていたようだ。

すっかりぬるくなって水になってしまった額にある袋を顔の横に置いて起き上がる。
寝る前ほどだる気、吐き気、頭痛は酷くなく起き上がるのも飲み物を飲むのも辛くはなかった。

一応熱を測っておくと三十七・三度と一番高かった三十八・二度より下がっている。

体温計をケースに入れて元の場所に戻そうとしたとき部屋のドアがノックされ、お母さんが入ってきた。

「起きてたの。熱どう?」

私の手に持っている体温計を見て熱を測ったのだと悟ったのか、ベッドの横に立って聞く。

「七度三分。下がってきてる」
「そう。飲み物は減ってるみたいだけどご飯は食べれる?」
「お粥なら」

「わかった。リビングおいで」と先に部屋を出るお母さんが看護師で良かった。

熱を引かない、治すのは栄養のある飲食物を摂ることと適度な睡眠。

まだしっかりと食べるのは難しくとも、何か食べなければ治るものも治らない。