「それで、よし」

里緒奈は自分の鞄を持って靴を履く。
いつの間にか他の子は外で待っていて、家を出るのは里緒奈が最後だった。

「じゃあ……槭、また会いにくるね。来れたら東京にも来て。その時はちゃんと連絡してよ?部屋綺麗にしとく」
「うん……またね、里緒奈」

私達は無言で抱きしめ合った。

「陽太、色々ガンバ」
「はいはい。気をつけてな」
「君も悲しみに暮れる未来が来ないように気をつけなよ」
「うるせーよ」

悲しむってなんで?と、私には意味がよくわからない会話をして里緒奈達は手を振り、扉が閉まった。