「槭も、泣いていいんだぞ」
たった一言で、泣くもんかと張っていた糸が解けてしまう。
沢山の嬉しい出来事があった今日に泣いてばかりでは勿体ないけど、嬉し泣きならいいかなって自分を許したくなる。
皆が私や里緒奈の頭を撫でたり、抱きしめたり、言葉をくれたり、色んな方法で慰めてくれた。
せっかく集まった貴重な今日に泣きじゃくる私達を誰も責めはしない。
穏やかな時間を泣いて、笑って、騒いで。
きっとこういう時間が私の心を育んでいく。
色んなことで色んな感情を持って、それを体で表現して、心を豊かにしていく。
たった数時間。
その数時間がただ周りの流れに乗って過ごすだけの日々の何倍もの価値がある。
そして、思い出になっていく。
別れの時間はやってきて心を豊かにしてくれた彼らの声は、表情は記憶へ。
またそれぞれのあるべき場所に戻らなければいけない。
「俺、もう行かないと。母さんと飛行機で帰るから待たせるといけないし」
「私もそろそろかなぁ。明日は塾あるんだよね……だる」
「だるとか言わない。じゃあ、僕も帰ろうかな。あんま遅くまでいると迷惑だろうし」
「そうだねー」と散らかしていたものを片付け始める皆。
「家族当分帰ってこねぇからまだいてもいいけど?」
「うーん……陽太、ちょっとこっち来い」
「え、うん」
腕を引っ張られてこそこそ何かを話す高雅と陽。
「なんであんなところで話すの?」
隣でカードを数える里緒奈を手伝いながら呟く。
里緒奈には聞こえていたようで、どうしてか彼女は意味深な笑い方をした。
「……聞かれたくない話くらいあるんじゃない。あ、それとも寂しいのー?」
「寂しい……のかな。仲間はずれにされたときの感覚に似てる」
珍しく何も考えずに発した言葉に対して里緒奈は過剰な反応を見せる。
その反応に少し嬉しく思ってしまう。
「されたの、仲間はずれ」
「仲間はずれなのか実際は分からない。そんな感じのことをされたなぁって」
笑いながら"ああ、やっぱり"と思った。
仲間はずれというか、陽に対する執着が酷くなっているんだろう。
前までは幼馴染以外の人だからと思っていたのに、喪失感は幼馴染である高雅がそばにいる間にも感じている。
つまり、私は陽に周りの幼馴染以上の強い気持ちを持っている。
今まで一番としてきた他の幼馴染に相当な思いを抱いていたのにも拘らず、それをも超す思いを。
たった一言で、泣くもんかと張っていた糸が解けてしまう。
沢山の嬉しい出来事があった今日に泣いてばかりでは勿体ないけど、嬉し泣きならいいかなって自分を許したくなる。
皆が私や里緒奈の頭を撫でたり、抱きしめたり、言葉をくれたり、色んな方法で慰めてくれた。
せっかく集まった貴重な今日に泣きじゃくる私達を誰も責めはしない。
穏やかな時間を泣いて、笑って、騒いで。
きっとこういう時間が私の心を育んでいく。
色んなことで色んな感情を持って、それを体で表現して、心を豊かにしていく。
たった数時間。
その数時間がただ周りの流れに乗って過ごすだけの日々の何倍もの価値がある。
そして、思い出になっていく。
別れの時間はやってきて心を豊かにしてくれた彼らの声は、表情は記憶へ。
またそれぞれのあるべき場所に戻らなければいけない。
「俺、もう行かないと。母さんと飛行機で帰るから待たせるといけないし」
「私もそろそろかなぁ。明日は塾あるんだよね……だる」
「だるとか言わない。じゃあ、僕も帰ろうかな。あんま遅くまでいると迷惑だろうし」
「そうだねー」と散らかしていたものを片付け始める皆。
「家族当分帰ってこねぇからまだいてもいいけど?」
「うーん……陽太、ちょっとこっち来い」
「え、うん」
腕を引っ張られてこそこそ何かを話す高雅と陽。
「なんであんなところで話すの?」
隣でカードを数える里緒奈を手伝いながら呟く。
里緒奈には聞こえていたようで、どうしてか彼女は意味深な笑い方をした。
「……聞かれたくない話くらいあるんじゃない。あ、それとも寂しいのー?」
「寂しい……のかな。仲間はずれにされたときの感覚に似てる」
珍しく何も考えずに発した言葉に対して里緒奈は過剰な反応を見せる。
その反応に少し嬉しく思ってしまう。
「されたの、仲間はずれ」
「仲間はずれなのか実際は分からない。そんな感じのことをされたなぁって」
笑いながら"ああ、やっぱり"と思った。
仲間はずれというか、陽に対する執着が酷くなっているんだろう。
前までは幼馴染以外の人だからと思っていたのに、喪失感は幼馴染である高雅がそばにいる間にも感じている。
つまり、私は陽に周りの幼馴染以上の強い気持ちを持っている。
今まで一番としてきた他の幼馴染に相当な思いを抱いていたのにも拘らず、それをも超す思いを。