「やめろよ!」
公園から声が聞こえた。駆け寄ってみると何か揉めている。
「こいつさー、いっつもどっか行くんだよな!」
「わざわざ遊んでやるって言ってんのに」
「ノリ悪いよなー」
俺より数歳下の男の子達が喧嘩をしているようだ。喧嘩と言っても一人に対して三人。これは良くない。
「こら、何やってんだよ。」
全員がこっちをみる。そして、三人はバツが悪そうに去っていった。
「大丈夫?立てる?」
押されてこけたのか、地面に座り込んでいる子に声をかけた。
「ありがと。」
格好悪いところを見られたと思ったのか少しそっけない言い方だった。背中に少し土がついているのを払ってやると、男の子は今度はしっかりお辞儀をして、お礼を言った。
「ありがとう。お礼したいから、着いてきて。」
俺は声をかけたくらいなのに、お礼までしてもらうのは流石に悪い。
「いや…」
「いいから。」
無理矢理手を取られる。どんどん歩く男の子を見て、まぁいいか…と思いそのまま着いていった。

着いた先は大きめの病院だった。

「ここなの?」
男の子に聞くとコクンと頷く。そのまま着いていくと病室の前に着いた。
「お姉ちゃん、入るね。」
男の子は扉を開ける。
俺はその瞬間驚いた。広い病室。病室だけど殺風景ではなく、ぬいぐるみや花で色とりどり。そしてベッドに座る女の子。その子は想像もしたことがないくらい可愛かった。