「早速だが、警察署に銃を探しに行くメンバーを選出したい」
ダニエルが複雑な表情を浮かべている。
先程も聞いたが、外には凶暴な野生動物がいるらしいので難易度が高いミッションになりそうだ。
「当然、俺は決まりだろう。だが、探索と防衛を同時に行うのは難しいので、あと2人ほどいるとありがたい」
当然のようにチャールズが名乗りを上げた。
元軍人らしいので、こういうときは本当に頼りになる。
「私も行くわよ」
続いてエマが立候補した。
「女性を連れて行けるわけないだろう。遊びじゃないんだぞ!」
「チャールズ、あなた……女は皆弱いと思っているのかしら?」
「当たり前だ!さすがに危険すぎる!」
「よく考えてみて、医者とエンジニアはチームに必須だし、ダニエルは指揮を執らないといけないし、ベラはまだ子供。消去法でも私とアダムしかいないじゃない?」
自分の名前が出て、その任務の重さを改めて痛感する。
そうか……生きるために戦わないといけないのか……。
「それはそうかもしれないが……さすがに女性はダメだろ……」
「軍にだって女性はいるでしょ?あ~さては女性を守る自信が無いのか~?お前弱そうだもんな~」
「な、何を……くっ……女性の一人や二人ぐらい楽勝だよ!」
「ダニエル~。探索はチャールズ、エマ、アダムの3人に決定しました!早速行ってきます」
嬉しそうにエマが言う。
すごく危険なはずなのに、なぜこの人はこんなに楽しそうなんだろう……?
それにしても、チャールズさん……あなたチョロすぎでは……?
そして……俺の意見は全く聞いてくれないの?
色々とツッコミどころが満載だ。
――
警察署までは車で向かっている。
幸いな事に使える車両がいくつか残っているとのこと。それも残りの燃料次第だが……。
道中は予想以上に野生動物を見かける。
以前は町中で見かけることは無かったが、今は人の気配がしないので山から降りたのだろう。
幸いな事に車には近づいてこないようなので、目的地の警察署まではすぐに辿り着けた。
「よし着いたぞ。ここからは車を使えないから十分に気を付けてくれ」
警察署の入り口は壊されており、動物が荒したような形跡もある。
いつ、どこから襲われるか分からない恐怖の中、探索をしなければならないのだ。
チャールズ、エマ、俺の順で隊列を組んだ。
案の定、エマが前を歩きたいような事を言っていたが、チャールズは無視して進んでいった。
地下の武器庫まで辿り着いたが、当然のように扉は厳重に鍵が掛かっており、開けることができない。
「よし、俺がこじ開けるから2人で警戒をしていてくれ」
そう言って、チャールズは事前に用意していたバールで鍵の破壊を始めた。
「最近の軍って、泥棒みたいな事もやるのね……」
この人、なんか色々面倒くさいな……。
「気が散るから、2人で見回りをしてきてくれないか。でも無理はダメだぞ」
「了解。アダム行くよ」
エマはそう言うと、鉄パイプを振り回しながら来た道を戻っていく。
俺もおいていかれないように、慌てて付いていく。
入り口の広間まで戻ったとき、見たことの無いほど大きな肉食獣がいた。
すぐにこちらに気付くと、唸り声を上げながら少しづつ距離を詰めようとしてくる……これはヤバイ!
「アダム!これを持ってろ!」
エマは持っていた鉄パイプをこちらに投げてよこすと……なんと素手で獣と向き合った。
「エマ!危険だよ……一旦退こう!」
俺はそう伝えたのだが、エマは黙って戦闘態勢に入っている。
やむを得ないので俺は鉄パイプを構えて、いざという状況に備える。
「うがあああ」
獣は大きな雄叫びを上げて、2足で立ち上がった。
で、でかい!3メートルくらいはあるだろう……。
大きく振りかぶった爪攻撃をエマは軽々と躱す。
これは当たれば即死だろう……。
エマはその後も突進と爪攻撃を次々と躱すと、獣の背後に回り込んだ。
獣が後を振り返った瞬間、エマの強烈な回し蹴りが獣の頭部に直撃した。
「バキッ!」
と大きな音が響き、獣がガクリと崩れ落ちた。
獣が動かないことを確認し、エマと2人でゆっくりと近づいた。
獣は白目を向いており、頭部は出血で膨らんでいた。
触ってみると頭蓋骨が砕けており、回し蹴り一発で即死だったようだ。
凄い……凄すぎる……。
武器も使わずにこんな獣を倒せるものだろうか……。
「もっと楽しめるかと思ったけど……案外大したこと無かったわね」
「いや、あんな攻撃……一発でも食らったら即死でしたよ……」
「あんなノロい攻撃なんて当たらないわよ。当たらなければどうということはないの!」
「エマさん、あなた何者なんですか?」
「普通の女の子で~す」
普通の女の子は肉食獣と素手で戦わないんだよ……。
この人と話していると調子が狂うな。
「おーい、鍵空いたぞ~」
武器庫からチャールズの声が聞こえる。
急いで戻ると大量の武器と弾薬が用意されていた。
「すごい量だろ、レーザー銃も少しあるし、これで当面はなんとかなるな」
「そうですね……早いところ車まで運びましょう」
「うお、なんだこれ!」
エマが倒した獣にチャールズが気付いた。
「あ、それ……エマが回し蹴り一発で倒したんですよ……」
「え?嘘だろ?これ……【ナビレ】だぞ……うわあ、頭蓋骨砕けてるじゃん……」
【ナビレ】というのは最強の肉食獣と言われている。
体が大きく、肉が厚いので銃でもなかなか倒すことができないことで知られている。
「まあ、それほど大したこと無かったわよ。動きが止まって見えるくらいだったし」
「エマ……お前一体何者なんだ?」
「普通の女の子で~す」
それ、さっき俺も聞きました。
助けてもらって何ですが……ちょっとイラッとしますよね。
ダニエルが複雑な表情を浮かべている。
先程も聞いたが、外には凶暴な野生動物がいるらしいので難易度が高いミッションになりそうだ。
「当然、俺は決まりだろう。だが、探索と防衛を同時に行うのは難しいので、あと2人ほどいるとありがたい」
当然のようにチャールズが名乗りを上げた。
元軍人らしいので、こういうときは本当に頼りになる。
「私も行くわよ」
続いてエマが立候補した。
「女性を連れて行けるわけないだろう。遊びじゃないんだぞ!」
「チャールズ、あなた……女は皆弱いと思っているのかしら?」
「当たり前だ!さすがに危険すぎる!」
「よく考えてみて、医者とエンジニアはチームに必須だし、ダニエルは指揮を執らないといけないし、ベラはまだ子供。消去法でも私とアダムしかいないじゃない?」
自分の名前が出て、その任務の重さを改めて痛感する。
そうか……生きるために戦わないといけないのか……。
「それはそうかもしれないが……さすがに女性はダメだろ……」
「軍にだって女性はいるでしょ?あ~さては女性を守る自信が無いのか~?お前弱そうだもんな~」
「な、何を……くっ……女性の一人や二人ぐらい楽勝だよ!」
「ダニエル~。探索はチャールズ、エマ、アダムの3人に決定しました!早速行ってきます」
嬉しそうにエマが言う。
すごく危険なはずなのに、なぜこの人はこんなに楽しそうなんだろう……?
それにしても、チャールズさん……あなたチョロすぎでは……?
そして……俺の意見は全く聞いてくれないの?
色々とツッコミどころが満載だ。
――
警察署までは車で向かっている。
幸いな事に使える車両がいくつか残っているとのこと。それも残りの燃料次第だが……。
道中は予想以上に野生動物を見かける。
以前は町中で見かけることは無かったが、今は人の気配がしないので山から降りたのだろう。
幸いな事に車には近づいてこないようなので、目的地の警察署まではすぐに辿り着けた。
「よし着いたぞ。ここからは車を使えないから十分に気を付けてくれ」
警察署の入り口は壊されており、動物が荒したような形跡もある。
いつ、どこから襲われるか分からない恐怖の中、探索をしなければならないのだ。
チャールズ、エマ、俺の順で隊列を組んだ。
案の定、エマが前を歩きたいような事を言っていたが、チャールズは無視して進んでいった。
地下の武器庫まで辿り着いたが、当然のように扉は厳重に鍵が掛かっており、開けることができない。
「よし、俺がこじ開けるから2人で警戒をしていてくれ」
そう言って、チャールズは事前に用意していたバールで鍵の破壊を始めた。
「最近の軍って、泥棒みたいな事もやるのね……」
この人、なんか色々面倒くさいな……。
「気が散るから、2人で見回りをしてきてくれないか。でも無理はダメだぞ」
「了解。アダム行くよ」
エマはそう言うと、鉄パイプを振り回しながら来た道を戻っていく。
俺もおいていかれないように、慌てて付いていく。
入り口の広間まで戻ったとき、見たことの無いほど大きな肉食獣がいた。
すぐにこちらに気付くと、唸り声を上げながら少しづつ距離を詰めようとしてくる……これはヤバイ!
「アダム!これを持ってろ!」
エマは持っていた鉄パイプをこちらに投げてよこすと……なんと素手で獣と向き合った。
「エマ!危険だよ……一旦退こう!」
俺はそう伝えたのだが、エマは黙って戦闘態勢に入っている。
やむを得ないので俺は鉄パイプを構えて、いざという状況に備える。
「うがあああ」
獣は大きな雄叫びを上げて、2足で立ち上がった。
で、でかい!3メートルくらいはあるだろう……。
大きく振りかぶった爪攻撃をエマは軽々と躱す。
これは当たれば即死だろう……。
エマはその後も突進と爪攻撃を次々と躱すと、獣の背後に回り込んだ。
獣が後を振り返った瞬間、エマの強烈な回し蹴りが獣の頭部に直撃した。
「バキッ!」
と大きな音が響き、獣がガクリと崩れ落ちた。
獣が動かないことを確認し、エマと2人でゆっくりと近づいた。
獣は白目を向いており、頭部は出血で膨らんでいた。
触ってみると頭蓋骨が砕けており、回し蹴り一発で即死だったようだ。
凄い……凄すぎる……。
武器も使わずにこんな獣を倒せるものだろうか……。
「もっと楽しめるかと思ったけど……案外大したこと無かったわね」
「いや、あんな攻撃……一発でも食らったら即死でしたよ……」
「あんなノロい攻撃なんて当たらないわよ。当たらなければどうということはないの!」
「エマさん、あなた何者なんですか?」
「普通の女の子で~す」
普通の女の子は肉食獣と素手で戦わないんだよ……。
この人と話していると調子が狂うな。
「おーい、鍵空いたぞ~」
武器庫からチャールズの声が聞こえる。
急いで戻ると大量の武器と弾薬が用意されていた。
「すごい量だろ、レーザー銃も少しあるし、これで当面はなんとかなるな」
「そうですね……早いところ車まで運びましょう」
「うお、なんだこれ!」
エマが倒した獣にチャールズが気付いた。
「あ、それ……エマが回し蹴り一発で倒したんですよ……」
「え?嘘だろ?これ……【ナビレ】だぞ……うわあ、頭蓋骨砕けてるじゃん……」
【ナビレ】というのは最強の肉食獣と言われている。
体が大きく、肉が厚いので銃でもなかなか倒すことができないことで知られている。
「まあ、それほど大したこと無かったわよ。動きが止まって見えるくらいだったし」
「エマ……お前一体何者なんだ?」
「普通の女の子で~す」
それ、さっき俺も聞きました。
助けてもらって何ですが……ちょっとイラッとしますよね。