「なんて綺麗な星なんだろう……」
宇宙船の小さな窓から眺めていたその星は青く輝いていた。星の周りにはうっすらと白い雲が掛かっており、生命活動に適した環境であることが伺える。
数多くの惑星を旅してきたが、これほど美しい星は見たことが無かったかもしれない。
俺はこの宇宙船でコードネーム【イチロー】と呼ばれている。
殺人ウィルスで滅亡した星から6人の仲間とともに脱出し、とある【特効薬】と安住の地を探している。
「この星で見つかるといいな……」
そんなことを考えながら地球人が着ているような服に着替えていると、白衣の少女が部屋にやってきた。
彼女はコードネーム【ハカセ】。
仲間の中では最年少だが頭脳明晰で、自分が知る限り宇宙一の科学者ではないかと思う。
この宇宙船も彼女が設計したものであり、彼女がいなければあの地獄のような星から脱出できていなかったに違いない。
「イチロー、まもなく出発だよ。準備はできてる?」
「いつでも出発できるよ。ハカセもいよいよ転送装置のお披露目だね。いつもより緊張している感じがするよ」
「そうかしら……。でも私の設計に間違いはないのです!絶対大丈夫だから安心してね」
そんな話をしながら、ハカセと共に転送室に向かう。
これまで惑星への上陸には小型宇宙船を使用していたが、現地人に侵略者をイメージさせるのかトラブルになることも多かった。
そこでハカセは物質を目的地に転送する装置を発明した。
今回の上陸ではその転送装置を使って目的地に上陸する方法を採用したため、ハカセにとっても重要な日となるのだ。
「イチロー君に敬礼!」
転送室に入ると他の5人に敬礼で迎えられた。
普段は家族のような付き合いだが、上陸前は特別に敬意を払う決まりとなっている。
上陸の先発隊はリスクが高いこともあるし、それだけ任務が重要だということもある。
「昨夜はしっかり眠れたかな?今回の調査も期待しているよ」
そう言って優しく声を掛けてきたのは我々7人のリーダー、コードネーム【ボス】だ。
作戦の立案から実行まで、細かく指示を出せる有能な人物だ。
髪が薄く、小太りの中年男性といった風貌なので【オヤジ】とも呼ばれている。
「イチロー君、くれぐれも無茶だけはしないようにね」
俺の手を力強く握ってきたのは船医のコードネーム【ナカマツ】だ。
彼は医師なので【特効薬】の研究を担当している。
だが、残念ながら研究に行き詰まっているため、旅先の惑星で得られる情報に期待している。
年齢的には老人なのだが……趣味で体を鍛えているので船内一のゴリマッチョだったりする。
「イチロー、できるだけ銃は使うなよ……。だが、使う時はためらうな!自分の安全を第一に考えるんだ。」
コードネーム【カトー】は元軍人だけあって、銃の扱いには少しうるさい。
長い髪をオールバックにしつつ、後ろで束ねているクールな男だ。
その高い戦闘力はこれまで数々のピンチを救ってきた。今回はその戦闘力に頼ることが無いようにしたいものだ。
「イチロー、分かってるよな?地球の美味いものをいっぱい持ち帰れよ。特に酒と肉だぞ!」
空気を読まない発言を繰り返すこの女性はコードネーム【サクラ】。
カトー氏と同じく戦闘担当だが、サクラ氏は近接戦闘に長けている。
圧倒的な強さを持つにも関わらず、宇宙一の美女でもある。
女性同士ということでハカセと仲がいいのだが、その口の悪さがハカセに伝染らないか心配されている。
発言からも分かるように酒豪で大食いなので、一緒に食事をする際は注意を要する。
「良いニュースと悪いニュースがあるんだが、どちらから聞きたい?」
オーバーアクションでクセのある話し方をするのはコードネーム【エディ】。
この船のメカニックを担当している。
方向音痴でトラブルに巻き込まれやすい性格のため、船内にいることが多いのだが、そのおかげでこれまでの長旅でも船のトラブルはほとんど起きていない。
「悪いニュースから聞こうかな…………」
「オーケイ、二度は言わない。よーく聞くんだ。食料庫にあったお菓子だが、さっきイチローが食べたもので最後だ」
「クソッタレ、なんて日だ!嘘だ!頼むから嘘だと言ってくれ!」
「まあ、そう熱くなるなよ。地球から持ち帰ればいいじゃないか。生きて帰ることができればな……」
「食生活を見直すいい機会なんじゃない?というか、イチロー……口調がエディみたいになってるわよ……」
頭を抱える俺にハカセが冷たく言い放つ。
「さて、良い方のニュースだが、転送装置のテストは非常に良好だ。テスト転送で使用したボールは5個のうち4個も転送に成功したからな」
「!……」
「ハカセの設計だから信用していいぜ……多分。時々機嫌が悪くなるみたいだがな……」
「ちょっと、出発前に余計な事を言わないで!イチロー、本当に大丈夫だからね!」
ハカセが必死に安全性をアピールしてくるが、その様子を見てエディ氏が大爆笑している……。
全く、この人ときたら……。
「ところでボス氏、転送先はどの辺りなんですか?」
「今回の転送先は日本国の東京都秋葉原というところだ。事前調査によると……地球人の風習では【行き先が決まっていない旅行をする際にはダーツという矢を投げて決める】らしいので、今回はその方法を採用してみたんだ」
そんな変な風習があるなんて……地球は退屈しなさそうだ。
「では、そろそろ行ってきます!」
「いってらっしゃーい!」
いよいよ出発だ。
皆に見送られながら転送台に乗ると、ハカセが青いボタンを押した。
その瞬間、目の前の景色がパッと変わり、俺は地球の大地に立っていた。
「おお、すごい。さすがハカセだ……」
ハカセの科学力に驚きながら、俺は秋葉原の景色を眺めていた。
今、この瞬間から地球でのミッションが開始されたのだ。
宇宙船の小さな窓から眺めていたその星は青く輝いていた。星の周りにはうっすらと白い雲が掛かっており、生命活動に適した環境であることが伺える。
数多くの惑星を旅してきたが、これほど美しい星は見たことが無かったかもしれない。
俺はこの宇宙船でコードネーム【イチロー】と呼ばれている。
殺人ウィルスで滅亡した星から6人の仲間とともに脱出し、とある【特効薬】と安住の地を探している。
「この星で見つかるといいな……」
そんなことを考えながら地球人が着ているような服に着替えていると、白衣の少女が部屋にやってきた。
彼女はコードネーム【ハカセ】。
仲間の中では最年少だが頭脳明晰で、自分が知る限り宇宙一の科学者ではないかと思う。
この宇宙船も彼女が設計したものであり、彼女がいなければあの地獄のような星から脱出できていなかったに違いない。
「イチロー、まもなく出発だよ。準備はできてる?」
「いつでも出発できるよ。ハカセもいよいよ転送装置のお披露目だね。いつもより緊張している感じがするよ」
「そうかしら……。でも私の設計に間違いはないのです!絶対大丈夫だから安心してね」
そんな話をしながら、ハカセと共に転送室に向かう。
これまで惑星への上陸には小型宇宙船を使用していたが、現地人に侵略者をイメージさせるのかトラブルになることも多かった。
そこでハカセは物質を目的地に転送する装置を発明した。
今回の上陸ではその転送装置を使って目的地に上陸する方法を採用したため、ハカセにとっても重要な日となるのだ。
「イチロー君に敬礼!」
転送室に入ると他の5人に敬礼で迎えられた。
普段は家族のような付き合いだが、上陸前は特別に敬意を払う決まりとなっている。
上陸の先発隊はリスクが高いこともあるし、それだけ任務が重要だということもある。
「昨夜はしっかり眠れたかな?今回の調査も期待しているよ」
そう言って優しく声を掛けてきたのは我々7人のリーダー、コードネーム【ボス】だ。
作戦の立案から実行まで、細かく指示を出せる有能な人物だ。
髪が薄く、小太りの中年男性といった風貌なので【オヤジ】とも呼ばれている。
「イチロー君、くれぐれも無茶だけはしないようにね」
俺の手を力強く握ってきたのは船医のコードネーム【ナカマツ】だ。
彼は医師なので【特効薬】の研究を担当している。
だが、残念ながら研究に行き詰まっているため、旅先の惑星で得られる情報に期待している。
年齢的には老人なのだが……趣味で体を鍛えているので船内一のゴリマッチョだったりする。
「イチロー、できるだけ銃は使うなよ……。だが、使う時はためらうな!自分の安全を第一に考えるんだ。」
コードネーム【カトー】は元軍人だけあって、銃の扱いには少しうるさい。
長い髪をオールバックにしつつ、後ろで束ねているクールな男だ。
その高い戦闘力はこれまで数々のピンチを救ってきた。今回はその戦闘力に頼ることが無いようにしたいものだ。
「イチロー、分かってるよな?地球の美味いものをいっぱい持ち帰れよ。特に酒と肉だぞ!」
空気を読まない発言を繰り返すこの女性はコードネーム【サクラ】。
カトー氏と同じく戦闘担当だが、サクラ氏は近接戦闘に長けている。
圧倒的な強さを持つにも関わらず、宇宙一の美女でもある。
女性同士ということでハカセと仲がいいのだが、その口の悪さがハカセに伝染らないか心配されている。
発言からも分かるように酒豪で大食いなので、一緒に食事をする際は注意を要する。
「良いニュースと悪いニュースがあるんだが、どちらから聞きたい?」
オーバーアクションでクセのある話し方をするのはコードネーム【エディ】。
この船のメカニックを担当している。
方向音痴でトラブルに巻き込まれやすい性格のため、船内にいることが多いのだが、そのおかげでこれまでの長旅でも船のトラブルはほとんど起きていない。
「悪いニュースから聞こうかな…………」
「オーケイ、二度は言わない。よーく聞くんだ。食料庫にあったお菓子だが、さっきイチローが食べたもので最後だ」
「クソッタレ、なんて日だ!嘘だ!頼むから嘘だと言ってくれ!」
「まあ、そう熱くなるなよ。地球から持ち帰ればいいじゃないか。生きて帰ることができればな……」
「食生活を見直すいい機会なんじゃない?というか、イチロー……口調がエディみたいになってるわよ……」
頭を抱える俺にハカセが冷たく言い放つ。
「さて、良い方のニュースだが、転送装置のテストは非常に良好だ。テスト転送で使用したボールは5個のうち4個も転送に成功したからな」
「!……」
「ハカセの設計だから信用していいぜ……多分。時々機嫌が悪くなるみたいだがな……」
「ちょっと、出発前に余計な事を言わないで!イチロー、本当に大丈夫だからね!」
ハカセが必死に安全性をアピールしてくるが、その様子を見てエディ氏が大爆笑している……。
全く、この人ときたら……。
「ところでボス氏、転送先はどの辺りなんですか?」
「今回の転送先は日本国の東京都秋葉原というところだ。事前調査によると……地球人の風習では【行き先が決まっていない旅行をする際にはダーツという矢を投げて決める】らしいので、今回はその方法を採用してみたんだ」
そんな変な風習があるなんて……地球は退屈しなさそうだ。
「では、そろそろ行ってきます!」
「いってらっしゃーい!」
いよいよ出発だ。
皆に見送られながら転送台に乗ると、ハカセが青いボタンを押した。
その瞬間、目の前の景色がパッと変わり、俺は地球の大地に立っていた。
「おお、すごい。さすがハカセだ……」
ハカセの科学力に驚きながら、俺は秋葉原の景色を眺めていた。
今、この瞬間から地球でのミッションが開始されたのだ。