だってこの気持ち、まだ恋と自信を持って呼べるとは思えなかったから。


確かに私はデートした遥陽さんに恋心のようなものを一瞬抱いた。この人のそばにいたいと思ったし、もっと遥陽さんのことを知りたいとも思った。


だけど……。私はまだ、この気持ちに気づきたくないとも思っていた。



「あ、そろそろ始業式始まるね」


「ほんとだ」



紗夜と新しい教室で話していると始業式の始まる前のチャイムが鳴り響く。


高校2年生。


これからいったいどんな生活を送るのだろうか。不安とワクワクの気持ちを抱えたまま、私は始業式に挑んだ。


***


バタバタとした始業式から数日後の日曜日。


私と遥陽さんとでいつものようにメッセージでやり取りをしていた。


ダラダラとベットに横になりながらスマホを見つめていると、


『ねぇ、今から電話してもいい?』


そんなメッセージが遥陽さんから届いた。