私も遥陽に抱きしめられたい。
そんなことを思ったけど、直接本人に言えるはずもなく。恥ずかしさに負けて押し黙る。
『じゃあそろそろ電話終わりにしようか』
「うん。そうだね」
あれからしばらくくだらない話をしていたらあっという間に日付が変わる時間になっていた。
遥陽と話していると時間が過ぎるのが早い。
時計を見て、少し気持ちが沈む。
ああ、もうこんな時間。次遥陽に会えるの、夏祭りか……。1週間、長いな……。
『それじゃあ、おやすみ。初優』
「……うん。おやすみ、遥陽」
名残惜しいけど、私は電話を切る。
途端に寂しさが湧き上がってきて、スマホを放り投げた。このモヤモヤした気持ちはどうしたら無くなるんだろ……。
遥陽に迷惑かけちゃうから、夏祭り前に会いたいなんて言えないし……。
前まではなんの躊躇いもなく会いたいって言えてたのに。急にどうしちゃったんだろう、私。