驚いて顔を上げると、遥陽さんが私を見つめていて、思いっきり目が合った。
真っ直ぐな視線にドキッとする。
こんなふうに見つめてくれたのはいつぶりだろう。
「初優ちゃんがいなかったら、今の俺はないよ。初優ちゃんと出会って毎日が輝いている。恋をして、大切な人に出会って。高校最後の春に、出会えたのが初優ちゃんなんだ。だからもっと初優ちゃんには自信を持って欲しい。こんなにも……人を幸せにしているんだって」
「……遥陽さん……」
ギュッと握られた手はとても暖かい。
こんな私でも、遥陽さんを幸せにできているのかな。だとしたらとても嬉しい。
私にとっての幸せが、遥陽さんの幸せでもあるから。こうしてちゃんと伝えてくれるところ、大好き。
「ねぇ、初優ちゃん」
「はい」
2人で見つめあって数秒の沈黙。
その後に声を出したのは遥陽さんだった。2人きりの甘い空間で、ギュッと手を握られている。