「皇子丸くん。可愛い名前だね。美夜は大好きだよ。美夜はね、夜に生まれたんだよ。だから、美しい夜。ロマンチックだと思わない?」
もう、5年前。幼馴染だった美夜は死んだ。2人は高校生だった。美夜は、膵炎だったんだ。余命宣告をされて。くつがえすよって、元気だったのに。あの竹藪でよく遊んだ。近かったから、いつもそこで走り回っていて…。でも、死んでしまった。美夜、今どこで、何をしていますか。

「どこかでお会いしましたか。」

僕は、倉持 皇子丸は、生まれ変わりを信じたい。
「すいません。持ってきたかったのです。ですが、月夜様。あなたは、膵炎という病気をご存知ですか。」
「それが…どうされましたか。」
「患っていらっしゃるのですか。また。」
「また…?」
「美しい夜に、生まれましたか―。」
「美夜。美夜を知っているんですか。」
「幼馴染でした。」
「…持ってきていないのですよね。お帰りください。さようなら。私は家庭を築けません。」
「…でも。」
「帰ってください。」
皇子丸は、帰っていった。