私がはっと目を開けた時、目の前にあったのは、必死な形相で手を伸ばす柾。
 目が合った。柾が不敵に笑う。
 柾の手が、宙から私をかっさらう。
 柾の口が動いた。
 声は聞こえない。だけど分かった。


生きろ、
幸せに、なれ――。


 そして、抱きしめられて――

 ――次の瞬間、何も分からなくなった。