静かな教室、今日は期末テスト最終日とだけあって、普段は騒がしい人たちも静かにしている。そのせいか、空気が重い。ただでさえこの場所は、僕にとって、居心地の悪い場所なのに、今日は余計に居心地が悪く感じる。
 僕の名前は、塩ノ谷 叶人(しおのや かなと)。独り寂しく朝の時間を過ごす、どこにでもいる高校1年生だ。
 僕には、友達なんていない。これは小学校の時からそうだ。独り寂しく休み時間を過ごし、誰とも話さず、家と学校を行ったり来たりする毎日。面白くもなければ、楽しくもない。ただつまらないだけ、ただ生きているだけ。そんな毎日。学校は正直行きたくない。僕は集団行動が苦手だからだ。集団生活が故に、周りと合わせなければならない。周りと合わせることはできるが、自分を押さえ込むのがただただ苦痛でしかなかった。こんな僕だ。友達なんて夢のまた夢。おそらくもう一生死ぬまで独りぼっちなんだろうな。

 そんなこんなでテストが終わり、クラスメイトはそれぞれ家に帰ってゆく。僕は人混みを避けるため、敢えてみんなが帰るのを待つ。そうすれば、静かに帰ることができる。いつもそうだ。どうせ卒業するまで友達はできない。そう思っていた。あの子に話しかけられるまでは……