その晩。私は逃がさないようにそっと少しだけ籠を開けて中に米粒を入れた。
 雀は餌に手を付けようとはしなかった。
「雀さん、大丈夫よ。今までは食べてくれていたじゃない」
 そう話しかけるが、雀は動かない。
「だから言ったじゃないですか。そんな籠の中に閉じ込めちゃかわいそうだって」
 犬君は悲しそうに訴えた。私は反論した。
「でも、私たち仲良しだったのよ。今はびっくりしちゃってるだけだわ。すぐまた仲良くなれるもの。ね、雀さん」