21.つれづれなるままに

「兄上。何を書いているのですか?」
 僕は兄上の手元を覗き込んだ。兄上は顔を上げてにっこりと笑った。
「つれづれなまんま、一日中硯に向かって心に浮かんでは消えてゆくよしなしごとをそこはかとなーく書き付けているのだ。兼友、お前もやるといいぞ!」
「それをするとどうなるのですか?」
 僕は尋ねた。
「あやしい感じだし、もの狂おしい感じになる!」
 僕はするのをやめた。