19.続・秘密の歌

 僕は宗心に昨日兄上から聞いた悦子内親王さまの歌のなぞなぞを出してみることにした。きっと解けないに違いない。僕だけが全然見当外れな推理をしたとは考えにくい。
「ねえ宗心、この歌、どういう意味だかわかる?」
 僕は「ふたつ文字牛の角文字すぐな文字ゆがみ文字とぞ君はおぼゆる」と伝えた。
 宗心は「簡単だな」と笑った。
「それ、あれだろ、四つの文字の形を現してるってやつだろ?」
「知ってたの!?」
 僕はがっかりした。有名な言葉遊びだったのだろうか。
 宗心は「うーんと」と一文字ずつ考え始めた。
「ふたつ文字だから『ニ』か? そんで牛の角文字『八』、まっすぐな『ー』、歪んだ『~』……つまり! 『にはー~』だ!」
「にはー~って、何?!」