問題の4日目朝、この日もまた冴え渡る晴天です。
僕たちは前日の打ち合わせ通り、日の出とともに宿場町を出発し一路公都を目指します。
それぞれの騎馬や馬車も潰れない範囲での最高速度で駆け抜け、道を進み見ました。
かなり荒っぽい使いからにはなっていますが、マインの作った馬車馬用の馬車鎧にかけられていた仕掛けによって馬車はほぼ揺れずに進みます。
これならば、馬車の車軸という場所が折れることもないでしょう。
午前中はこのペースを維持し休憩なしで走り続け、お昼時を過ぎてから馬を休ませるために見渡しのよい場所で休憩となりました。
ただ、イネス公女様とプリメーラ公女様は暗殺を恐れて馬車からは降りず、代わりに僕とリンがふたりの馬車に入らせてもらっての休憩です。
「おふたりは辛くありませんか? ずっと鎧に身を包んで馬に乗り続けていますが……」
「平気ですよ、イネス公女様。この鎧だって里のドワーフたちによる特注品。それも僕やリンに調整して作られた専用品ですからね」
「うん。さすがに、こんな長い時間馬で走り続けたことがないからお尻が痛くなっちゃったけどそれくらい。イネス公女様とプリメーラ公女様は退屈じゃなかった?」
「……いえ、私たちは常に緊張しておりました」
「いつサニの刺客が来るかと考えると……」
「そっか。リュウセイ、あなた、ふたりの緊張も和らげてあげて」
「ウォフ!」
「きゃっ!」
「リュウセイ様!」
「クゥ~ン」
ふたりの膝の上にリュウセイが飛び乗り甘えた声を出しながら体を擦り付け始めました。
これにはイネス公女様もプリメーラ公女様も堪らないといった様子でリュウセイをなでてしまい、更にリュウセイが喜んで甘え付くという循環が生まれてくれます。
そんな時間が少し過ぎ、見張りをしていた騎士の方が出発を告げに来ました。
「イネス公女様、プリメーラ公女様。出発準備、整いました」
「え? もうですか?」
「馬たちは? もう回復したのですか?」
「水と食事と塩を与えたあと、少し寝ていたようです。それから目覚めると、急に元気になり、どの馬も早く行こうとせがみ始め……」
「皆の休憩は大丈夫でしょうか?」
「馬の休憩が十分でしたら全員大丈夫です。今回の強行軍、最大の問題は馬が潰れることですから」
「わかりました。急いで出発準備を。シント様とリン様も」
「ええ、承知しています」
「リュウセイはそのままふたりの緊張をほぐしてあげてね。あなたのお役目はそれで全部だから」
「キューン……」
「あれ? リュウセイ様がなぜか落ち込んで……」
「戦場になっても戦う機会がないと宣言したせいです」
「ごめんね、リュウセイ。今回はあなたが戦うことになっちゃったら負けなの。我慢してね?」
「オゥ」
「はいはい。またなにかありましたらあなたが戦う機会を作って差し上げますよ」
「やっぱり子供でもホーリーフェンリルの子供。闘争心が強いね」
「よろしいのでしょうか、そのような気高き方を護衛につけていただけるなんて」
「ガゥ」
「気高き相手だからこそ守るそうです。心配せずに守られていてください」
「はい!」
イネス公女様も元気が出たようですし僕も装備を調えシエロにまたがりましょう。
ここから先はいつ襲われるかわかりませんから武器も取りだしておきましょうか。
氷と風の魔剣、それから魔力増強用の神樹でできた杖で十分ですね。
この杖で魔力を増強するときは加減を間違えると周囲に甚大な被害を出すので注意も必要なのですが……。
そうして道は森の中に入っていきます。
事前ミーティングではここが一番襲われやすいだろうということでした。
先ほどから旅人もほかの商人も通り抜けていませんし、理由があるのでしょう。
僕たちの部隊は一切気を緩めることなく薄暗くなってきた森の中を突き進んでいきます。
すると、森の中から何十本もの火矢が公太女様たちのいる馬車めがけて放たれました。
まあ、バレバレだったんですけど。
「《エア・カーテン》」
僕の張った風の幕にあたりすべての火矢がはじき返されます。
途中で消火も忘れずに。
「何者だ!?」
守護騎士団の団長さんの誰何によって現れたのは全員揃った黒色の鎧に身を包んだ一団。
それが道の前方と後方、両方を塞ぎ通れなくしました。
数は……それぞれ50人ずつでしょうか。
あくまでも皆殺しにするつもりでしょう。
本当にいやらしい。
「貴様ら! サニ公女の放った刺客か!?」
「さて、なんのことか。どちらにせよここでお前たちに生き残っていてもらうのは都合が悪いのだよ」
「なんだと!?」
騎士団長とあちらの代表者のような方が舌戦を繰り広げていますが……もう魔法を使っていいのですかね?
そう考えているとひとり騎士の方がやってきて小声で話しかけてきました。
「申し訳ありません。いまのうちに前方部隊にだけでも《アイシクルスコール》を。後方は我らだけでも守ります」
「敵を捕らえる必要はありますか?」
「できれば数名生かしたまま捕虜にして連れ帰りたいのですが……」
「では後方は皆殺しにします。動くつもりもまだないようですし。前方は……大怪我を負って、馬がすべて潰れる程度にしましょう」
「可能なのですか?」
「可能ですよ。ああ、でも……」
「でも?」
「手加減を間違えて前方部隊も皆殺しにしてしまったらごめんなさい。《アイシクルスコール》!」
僕の意思を受けて水の精霊たちが遙か天空で数十本の氷の槍を用意してくれています。
あとはあれを落とすだけですが……鋼の鎧相手に氷の槍って刺さりますかね?
とりあえず数は揃ったので降らせましたが……杞憂でした。
鋼の鎧も人も馬も関係なしに地面にめり込むまで氷の槍は勢いよく貫通。
後方部隊は範囲広め、密度きつめにばらまいたので全滅したでしょう。
あと、前方部隊ですが……。
「な、なんだ……? なにが、起こった?」
ああ、あの代表者の方は無傷ですか。
ほかの方々は馬から落ちていますし、腹から氷の槍が生えている方もいます。
息のある方もいますが適切な治療を施せなければすぐに死ぬでしょうね。
「……これほどの魔法使いだったのですね」
「普段は里から出るなっていわれているんですよ。いろいろと危険だからと」
「里の皆さんの気持ちが痛いほどに理解できてしまいました。あとは左右の森に潜伏しているはずの弓兵どもですが……」
「あ、始末してはまずかったでしょうか?」
「え?」
「闇魔法の一種を使い、既に始末しています。首をかききっただけですので死体の判別はすぐにできるでしょうが……」
「既にそこまで……」
「暗視が聞く範囲にいた暗殺者は既にリンの魔弓で撃ち抜かれているはずです。騎士の皆さんは本来の役割を」
「その役割をほぼすべて持って行かれてしまったのですが……プリメーラ公女様もイネス公女様もとても強いご友人を得られたようだ」
「騎士団の皆さんには今後もおふたりを守ってもらわねばなりません。僕たちが一緒にいられるのはごくわずかな時間なのですから」
「それでも心強いです。さて、ここはお任せいたします。団長の補佐に行かなければ」
「任されました。怪我をしないでくださいね。死なない程度の怪我でしたら治療して差し上げられますがしないほうがいい」
「ええ。油断はしません。それでは」
騎士の方が戻って行くと正面ではただひとり無傷の話しかけてきていた男と騎士団長の一騎討ちが始まりました。
ただ、その一騎討ちも騎士団長の盾で防がれた剣はどこかへ飛んでいき、騎士団長の剣を防ごうとした相手の盾は盾ごと腕を切り落とされる結果に。
うん、さすが里にいるドワーフたちが遠慮なしに作った装備品。
性能がそこらの鋼など目じゃない。
馬から転げ落ちた男は護衛騎士に取り押さえられ、傷口を応急治療だけして奥へと運ばれていきました。
そちらの方ではほかの息のある者たちが集められて尋問が行われているようです。
僕は一旦馬車の警護をリンと護衛騎士の方々に任せて尋問の様子を確認に来ました。
ですが……。
「さあ! 我々を襲うように命じた首謀者を言え!」
「そのようなごど!?」
「おい!? なにがあった!?」
尋問を受けている途中で敵の騎士たちは次々と黒い血を吐き出して死に絶えていきます。
やはりそういう仕掛けもしてありましたか。
「おお、シント殿。これは一体……」
「ああ、単なる〝呪い〟ですよ。状況が悪くなったら呪い殺せるよう、準備してから出撃させたのでしょうね」
「〝呪い〟だと!? そんなことができるのは……」
「死んでしまえば証拠がない。これではどうにもなりません」
「くっ……どうにもできないのか……」
「どうにもできませんね。このあとはどうなさいますか?」
「……不届き者の後始末をお手伝いいただけますでしょうか? 装備品や死体の一部は我々が襲撃を受けた証拠品として持ち帰りますが、それ以外の死体はここに埋めていきます」
「わかりました。アンデッドとしてよみがえられても困りますからね。聖魔法で念入りに焼いてから土の中に引きずり込みましょう」
「……そこまでできるのですな」
「おかげでベニャトの護衛名目以外では滅多に里を出させてもらえないんですよ
「いえ、今回は味方として本当に心強い。いただいた装備も私には過分なまでに強かった」
「それくらいが必要なほどあのふたりの身辺警護は重要事ですからね。僕の里にとっても」
「我々の国の公女様たちがそこまで評価されているとは本当に嬉しい。お前たち! 証拠品を集めて再出発の準備だ!」
証拠品集めと死体の埋葬……というか集めての破棄で時間を要しましたが日没までに公都まで駆け抜けることができました。
それにしても、あの数の死体。
全部で300を余裕で超えていたじゃありませんか。
そこまでして妹を始末したかったのでしょうかね?
僕たちは前日の打ち合わせ通り、日の出とともに宿場町を出発し一路公都を目指します。
それぞれの騎馬や馬車も潰れない範囲での最高速度で駆け抜け、道を進み見ました。
かなり荒っぽい使いからにはなっていますが、マインの作った馬車馬用の馬車鎧にかけられていた仕掛けによって馬車はほぼ揺れずに進みます。
これならば、馬車の車軸という場所が折れることもないでしょう。
午前中はこのペースを維持し休憩なしで走り続け、お昼時を過ぎてから馬を休ませるために見渡しのよい場所で休憩となりました。
ただ、イネス公女様とプリメーラ公女様は暗殺を恐れて馬車からは降りず、代わりに僕とリンがふたりの馬車に入らせてもらっての休憩です。
「おふたりは辛くありませんか? ずっと鎧に身を包んで馬に乗り続けていますが……」
「平気ですよ、イネス公女様。この鎧だって里のドワーフたちによる特注品。それも僕やリンに調整して作られた専用品ですからね」
「うん。さすがに、こんな長い時間馬で走り続けたことがないからお尻が痛くなっちゃったけどそれくらい。イネス公女様とプリメーラ公女様は退屈じゃなかった?」
「……いえ、私たちは常に緊張しておりました」
「いつサニの刺客が来るかと考えると……」
「そっか。リュウセイ、あなた、ふたりの緊張も和らげてあげて」
「ウォフ!」
「きゃっ!」
「リュウセイ様!」
「クゥ~ン」
ふたりの膝の上にリュウセイが飛び乗り甘えた声を出しながら体を擦り付け始めました。
これにはイネス公女様もプリメーラ公女様も堪らないといった様子でリュウセイをなでてしまい、更にリュウセイが喜んで甘え付くという循環が生まれてくれます。
そんな時間が少し過ぎ、見張りをしていた騎士の方が出発を告げに来ました。
「イネス公女様、プリメーラ公女様。出発準備、整いました」
「え? もうですか?」
「馬たちは? もう回復したのですか?」
「水と食事と塩を与えたあと、少し寝ていたようです。それから目覚めると、急に元気になり、どの馬も早く行こうとせがみ始め……」
「皆の休憩は大丈夫でしょうか?」
「馬の休憩が十分でしたら全員大丈夫です。今回の強行軍、最大の問題は馬が潰れることですから」
「わかりました。急いで出発準備を。シント様とリン様も」
「ええ、承知しています」
「リュウセイはそのままふたりの緊張をほぐしてあげてね。あなたのお役目はそれで全部だから」
「キューン……」
「あれ? リュウセイ様がなぜか落ち込んで……」
「戦場になっても戦う機会がないと宣言したせいです」
「ごめんね、リュウセイ。今回はあなたが戦うことになっちゃったら負けなの。我慢してね?」
「オゥ」
「はいはい。またなにかありましたらあなたが戦う機会を作って差し上げますよ」
「やっぱり子供でもホーリーフェンリルの子供。闘争心が強いね」
「よろしいのでしょうか、そのような気高き方を護衛につけていただけるなんて」
「ガゥ」
「気高き相手だからこそ守るそうです。心配せずに守られていてください」
「はい!」
イネス公女様も元気が出たようですし僕も装備を調えシエロにまたがりましょう。
ここから先はいつ襲われるかわかりませんから武器も取りだしておきましょうか。
氷と風の魔剣、それから魔力増強用の神樹でできた杖で十分ですね。
この杖で魔力を増強するときは加減を間違えると周囲に甚大な被害を出すので注意も必要なのですが……。
そうして道は森の中に入っていきます。
事前ミーティングではここが一番襲われやすいだろうということでした。
先ほどから旅人もほかの商人も通り抜けていませんし、理由があるのでしょう。
僕たちの部隊は一切気を緩めることなく薄暗くなってきた森の中を突き進んでいきます。
すると、森の中から何十本もの火矢が公太女様たちのいる馬車めがけて放たれました。
まあ、バレバレだったんですけど。
「《エア・カーテン》」
僕の張った風の幕にあたりすべての火矢がはじき返されます。
途中で消火も忘れずに。
「何者だ!?」
守護騎士団の団長さんの誰何によって現れたのは全員揃った黒色の鎧に身を包んだ一団。
それが道の前方と後方、両方を塞ぎ通れなくしました。
数は……それぞれ50人ずつでしょうか。
あくまでも皆殺しにするつもりでしょう。
本当にいやらしい。
「貴様ら! サニ公女の放った刺客か!?」
「さて、なんのことか。どちらにせよここでお前たちに生き残っていてもらうのは都合が悪いのだよ」
「なんだと!?」
騎士団長とあちらの代表者のような方が舌戦を繰り広げていますが……もう魔法を使っていいのですかね?
そう考えているとひとり騎士の方がやってきて小声で話しかけてきました。
「申し訳ありません。いまのうちに前方部隊にだけでも《アイシクルスコール》を。後方は我らだけでも守ります」
「敵を捕らえる必要はありますか?」
「できれば数名生かしたまま捕虜にして連れ帰りたいのですが……」
「では後方は皆殺しにします。動くつもりもまだないようですし。前方は……大怪我を負って、馬がすべて潰れる程度にしましょう」
「可能なのですか?」
「可能ですよ。ああ、でも……」
「でも?」
「手加減を間違えて前方部隊も皆殺しにしてしまったらごめんなさい。《アイシクルスコール》!」
僕の意思を受けて水の精霊たちが遙か天空で数十本の氷の槍を用意してくれています。
あとはあれを落とすだけですが……鋼の鎧相手に氷の槍って刺さりますかね?
とりあえず数は揃ったので降らせましたが……杞憂でした。
鋼の鎧も人も馬も関係なしに地面にめり込むまで氷の槍は勢いよく貫通。
後方部隊は範囲広め、密度きつめにばらまいたので全滅したでしょう。
あと、前方部隊ですが……。
「な、なんだ……? なにが、起こった?」
ああ、あの代表者の方は無傷ですか。
ほかの方々は馬から落ちていますし、腹から氷の槍が生えている方もいます。
息のある方もいますが適切な治療を施せなければすぐに死ぬでしょうね。
「……これほどの魔法使いだったのですね」
「普段は里から出るなっていわれているんですよ。いろいろと危険だからと」
「里の皆さんの気持ちが痛いほどに理解できてしまいました。あとは左右の森に潜伏しているはずの弓兵どもですが……」
「あ、始末してはまずかったでしょうか?」
「え?」
「闇魔法の一種を使い、既に始末しています。首をかききっただけですので死体の判別はすぐにできるでしょうが……」
「既にそこまで……」
「暗視が聞く範囲にいた暗殺者は既にリンの魔弓で撃ち抜かれているはずです。騎士の皆さんは本来の役割を」
「その役割をほぼすべて持って行かれてしまったのですが……プリメーラ公女様もイネス公女様もとても強いご友人を得られたようだ」
「騎士団の皆さんには今後もおふたりを守ってもらわねばなりません。僕たちが一緒にいられるのはごくわずかな時間なのですから」
「それでも心強いです。さて、ここはお任せいたします。団長の補佐に行かなければ」
「任されました。怪我をしないでくださいね。死なない程度の怪我でしたら治療して差し上げられますがしないほうがいい」
「ええ。油断はしません。それでは」
騎士の方が戻って行くと正面ではただひとり無傷の話しかけてきていた男と騎士団長の一騎討ちが始まりました。
ただ、その一騎討ちも騎士団長の盾で防がれた剣はどこかへ飛んでいき、騎士団長の剣を防ごうとした相手の盾は盾ごと腕を切り落とされる結果に。
うん、さすが里にいるドワーフたちが遠慮なしに作った装備品。
性能がそこらの鋼など目じゃない。
馬から転げ落ちた男は護衛騎士に取り押さえられ、傷口を応急治療だけして奥へと運ばれていきました。
そちらの方ではほかの息のある者たちが集められて尋問が行われているようです。
僕は一旦馬車の警護をリンと護衛騎士の方々に任せて尋問の様子を確認に来ました。
ですが……。
「さあ! 我々を襲うように命じた首謀者を言え!」
「そのようなごど!?」
「おい!? なにがあった!?」
尋問を受けている途中で敵の騎士たちは次々と黒い血を吐き出して死に絶えていきます。
やはりそういう仕掛けもしてありましたか。
「おお、シント殿。これは一体……」
「ああ、単なる〝呪い〟ですよ。状況が悪くなったら呪い殺せるよう、準備してから出撃させたのでしょうね」
「〝呪い〟だと!? そんなことができるのは……」
「死んでしまえば証拠がない。これではどうにもなりません」
「くっ……どうにもできないのか……」
「どうにもできませんね。このあとはどうなさいますか?」
「……不届き者の後始末をお手伝いいただけますでしょうか? 装備品や死体の一部は我々が襲撃を受けた証拠品として持ち帰りますが、それ以外の死体はここに埋めていきます」
「わかりました。アンデッドとしてよみがえられても困りますからね。聖魔法で念入りに焼いてから土の中に引きずり込みましょう」
「……そこまでできるのですな」
「おかげでベニャトの護衛名目以外では滅多に里を出させてもらえないんですよ
「いえ、今回は味方として本当に心強い。いただいた装備も私には過分なまでに強かった」
「それくらいが必要なほどあのふたりの身辺警護は重要事ですからね。僕の里にとっても」
「我々の国の公女様たちがそこまで評価されているとは本当に嬉しい。お前たち! 証拠品を集めて再出発の準備だ!」
証拠品集めと死体の埋葬……というか集めての破棄で時間を要しましたが日没までに公都まで駆け抜けることができました。
それにしても、あの数の死体。
全部で300を余裕で超えていたじゃありませんか。
そこまでして妹を始末したかったのでしょうかね?