僕たち一行にシェーンさんを加えた馬車は、彼女が教えてくれた各種指定事業者を回って行きます。
ですが……。
「ここもだめですね。認可を取り消してください」
「あ、あの……」
「わ、私どもの店になにか落ち度でも……」
「落ち度がないのでしたら明日も乗り切れるはずですよ?」
「明日……でございますか?」
「ええ、明日をお楽しみに」
それだけ告げるとイネス公女様は馬車へと戻り、僕たちもさっさとイネス公女様たちとは別の馬車に戻ります。
遅れてシェーンさんも戻りますが、なにがだめなのかさっぱりわかっていない様子ですね。
「あ、あの。イネス公女様は一体なにを見て判断を?」
「ああ、人の気配と嘘がないかの確認ですよ」
「人の気配と嘘がないかの確認?」
「神眼持ちは邪悪な心を持っているかどうか一目でわかります。その上でひとつふたつ質問をして嘘があればそれで終わり。それ以上、話す価値はないのでしょう」
「で、ですが……指定事業者の半分はもう回ったのに1カ所も買い物をしていないなんて……」
「それだけ不正に関わっている連中が多かったってことよ。諦めなさい」
「この分じゃ、イネス公女様は全滅させるんじゃねえか?」
「そんな……」
「次も考えなければなりませんね」
とはいえ、次というのもなかなか……。
結局、本当にすべての指定事業者で購入を断り、次の段階へとコマを進めるときになりました。
「シェーンさん、この街で信用できそうなお店は知りませんか?」
「その……申し訳ありません。指定事業者は少なくとも今の部長になったあと、ずっと変わったことがないらしく」
「それで、不正の温床ですか。嘆かわしい」
「申し訳ありません……」
「いえ、あなたを責めているわけではありません。でも、どうしましょう。プリメーラお姉様、なにかお考えはないでしょうか?」
「私もこの街のことはあまり詳しくありません。シント様方で信用できそうなお店はご存じありませんか?」
信用できそうな店……。
うーん、服や毛布を買えるようなお店は心当たりが……。
ああ、でも、あの人なら顔が広そうです。
「お店は知りませんが善良なお店を知っていそうな方には心当たりがあります。それでよろしいですか?」
「それでも構いません。ご案内いただけますか?」
「ええ。ただ、行くのは種苗店ですから多少のご無礼は多めに見てください」
「気にしません。参りましょう」
公女様たちの馬車の馭者席に乗り道を教えながらやってきたのは1店の種苗店。
さて、店主は今日いらっしゃいますでしょうか?
「女将さん、いらっしゃいますか?」
「ああ、いるよ。久しぶりだね、シント、リン、ベニャト。秋野菜の種苗を買っていくかい?」
「それはまた後日。今日はとある方々のご案内です」
「とある方々? ……その馬車の紋章は公王家の紋章」
「始めまして、第二公女プリメーラと申します」
「初めまして第三公女イネスです。失礼ですがあなたのお名前は?」
「ん、ああ。女将で十分さ。ところで、イネス様。あんた、病で寝込んでたんじゃなかったのかい? 元気になって出歩けているのはシントたちのせいだね?」
「え、いや、その」
「まあ、深くは追求しないさ。ババアの戯れ言だとでも考えとくれ。それで、今日は何のご用でしょうか?」
女将さんはイネス公女様に話しかけますが、イネス公女様は完全に女将さんの雰囲気に飲まれてしまっています。
大丈夫でしょうか?
「あ、はい。孤児院に配布する冬用の衣服や毛布の確保をしたいのですが……」
「ああ、なるほど。いまの指定事業者どもは部長と結託して中抜きを行い、品質の悪いものを高く売りつける連中ばかりだからね」
「……やはりそうだったのですか?」
「その様子だと薄々気がついていたようだね。理由は聞かないでおいてやるが表情や言葉に出さないように気をつけな。それじゃ、本題に戻ろうか。孤児院の衣服と毛布ってことは数も大量、質もそれなりが望ましいだろう?」
「はい。それが望ましいのですが、そのように都合のいいお店は……」
「あるから地図を持ってきてやる。ただ、今日一日で全員分揃うかどうかは怪しいから足りなかったら発注をかけてもらって早めに納品してもらいな」
「え? そんなお店がどこに……」
「下町にもお店はそれなりにあるんだよ。ともかくちょっと待ってな」
女将さんは店の奥に引っ込んでいくと、地図を持って出てきました。
その地図には何カ所も丸がつけられています。
「こいつが古着屋と毛布を取り扱っている店の地図だ。どっちか片方しか取り扱っていない店も多いし大店から納品を断られた二流品が主だが孤児院で使う分には十分だろうよ」
「女将さん。二流品とは?」
「ん? 仕立て直してもいまいち綺麗にならなかった服や毛布として端のほうにほつれがあったりとかそう言う品だよ。綺麗な服じゃないのは我慢してもらうしかないけど、毛布のほつれは自分たちで直せるだろう? その程度の手間で安く大量に品物が手に入るんだ。有効活用しな」
「ありがとうございます。助かります」
「こっちとしても助かるよ。下町のそういう店じゃやっぱり売り上げも少ないからね。今回はそっちで我慢しておくれ。……それと、シントたちも手出しするのは今回だけにしておきなよ?」
「……僕たちの差し金だと言うことまでばれていましたか」
「公女様とは言え、ひとつの街で特別大きな福祉事業をしちまえばほかの街で不満が出るからね。行きずりのあんたらの名前が使えなかったことは理解している。だだ、今回は〝イネス様がこの街で薬を手に入れることができた感謝の証〟って名目にしな。そうすりゃ、ほかの街からの不満も少しは出ないだろうさ」
「助言までいただき感謝します」
「気にしないどくれ。孫を近々持つ身として若い者へのお節介さ。さあ、さっさとその地図の場所を周りな。下町巡りだから想像以上に時間がかかるよ」
「はい。ありがとうございました」
「ああ、じゃあね。シントたちも秋野菜の準備はできてるから近々買いにきておくれ」
それだけ言い残して店の中に戻って行く女将さん。
公女様たちの馭者は女将さんの地図を確認し、最適なルートを割り出すのに必死です。
何せ、本当に下町巡り。
馬車が通れるか怪しい細い道も多いですからね
やがて道の選定が決まったのか地図を持って馭者席に戻ると、僕たちもそれぞれの馬車に戻り出発です。
そして女将さんの教えてくれた1件目のお店に来たのですが……。
「これが……二級品の古着?」
「ん? そのバッジ、行政庁のやつだろう? ここに置いてあるのは全部大きな通りの古着屋で買い取ってもらえなかった古着ばかりだよ」
「え、でも……いままで孤児院に渡していた服よりも質がいい……」
「ああ、孤児院運営部の人間か。あそこの室長は腐ってやがる。業者と癒着してぎりぎり服になっている程度の古着を高値で買い取って差額を自分の懐に収めてやがるんだよ。下町の古着屋界隈じゃ有名な話さ」
「……私、そんなことも知らなかったんだ」
「気にすんな。それで、孤児院運営部の人間がこんな下町の古着屋まで来てどうするんだ?」
「ああ、それなら私が説明いたします」
「あんたは?」
「クエスタ公国第三公女イネスと申します。今回、とある理由からこの街の孤児院に寄付をすることになりました。それで、指定事業者となっている古着屋や雑貨屋を見て回ったんですが……」
「へえ、第三公女様は目利きもできるか」
「はい。店主が信用ならない人間でしたのですべてお断りしてきました」
「そりゃあいい。それで、こんな下町にある古着屋まで来た目的は?」
「種苗店の女将という方からのご推薦です。このお店ならいい古着が手に入るだろうと」
「……なるほど、女将からの推薦か。この時期で古着っていうことは冬物だな? あまり並べていないが店の裏に在庫としてもう仕入れてある。見ていくかい?」
「ええ、喜んで」
「じゃあ、ついてきな。そんで、お眼鏡にかなったら全部買い取ってくれても構わないぜ。割引もする」
「買い取るのは構いませんが割引には応じられません。あなたにはあなたの生活があるでしょう?」
「孤児院のガキどもに配るんだろう? 俺らもなんとかしたかったんだがなにもできなくて歯がゆい思いをしていたんだよ。折れちゃもらえないか?」
「だめです。もしその気があるなら春物を仕入れに来たときも買えるようにしてください」
「その程度でいいなら喜んで。……これが、うちで仕入れた冬物の古着だ。古めかしいデザインのもんが多いが寒さ対策は万全だぜ?」
「……確かに温かそうですね。シェーンさん、いかがです?」
「はい! これなら子供たちも喜んで受け入れてくれます!」
「ならよかった。古着の搬送用に荷馬車とかはあるのかい?」
「……ああ、申し訳ありません。用意していませんでした」
「じゃあ、こいつらは売らずにとっておく。代金も売るときに引き換えだ。文句はないよな?」
「店主さんがそれでいいのでしたら」
「俺は一向に構わんしその方が助かる。このほかにも店を回るんだろう? 女将さんの名前を最初にだしな。あの人にはいろんな連中が大なり小なり世話になってる。その女将さんの推薦で街の孤児院のために自分たちの仕入れた品が売れるんなら喜んで売ると思うぜ」
「では今回の買い物、女将さんの名前を活用させていただきましょう」
「そうしてくれ。じゃあ、なるべく早いうちに服は引き取りに来てくれよ。冬になっちまってガキどもが凍えてからじゃ遅いからよ」
「明日には荷馬車を用意して受け取りに参ります」
「ああ、待ってるぜ」
その後のお店でも最初はいぶかしがられましたが、女将さんの名前を出すと納得されてお店の商品をすべて見せてくれました。
すべての店を回っても足りなかったら問屋から確保すると言ってくれた店も多く、シェーンさんは涙ぐんでましたね。
……それにしても、あの女将さんって何者でしょう?
ですが……。
「ここもだめですね。認可を取り消してください」
「あ、あの……」
「わ、私どもの店になにか落ち度でも……」
「落ち度がないのでしたら明日も乗り切れるはずですよ?」
「明日……でございますか?」
「ええ、明日をお楽しみに」
それだけ告げるとイネス公女様は馬車へと戻り、僕たちもさっさとイネス公女様たちとは別の馬車に戻ります。
遅れてシェーンさんも戻りますが、なにがだめなのかさっぱりわかっていない様子ですね。
「あ、あの。イネス公女様は一体なにを見て判断を?」
「ああ、人の気配と嘘がないかの確認ですよ」
「人の気配と嘘がないかの確認?」
「神眼持ちは邪悪な心を持っているかどうか一目でわかります。その上でひとつふたつ質問をして嘘があればそれで終わり。それ以上、話す価値はないのでしょう」
「で、ですが……指定事業者の半分はもう回ったのに1カ所も買い物をしていないなんて……」
「それだけ不正に関わっている連中が多かったってことよ。諦めなさい」
「この分じゃ、イネス公女様は全滅させるんじゃねえか?」
「そんな……」
「次も考えなければなりませんね」
とはいえ、次というのもなかなか……。
結局、本当にすべての指定事業者で購入を断り、次の段階へとコマを進めるときになりました。
「シェーンさん、この街で信用できそうなお店は知りませんか?」
「その……申し訳ありません。指定事業者は少なくとも今の部長になったあと、ずっと変わったことがないらしく」
「それで、不正の温床ですか。嘆かわしい」
「申し訳ありません……」
「いえ、あなたを責めているわけではありません。でも、どうしましょう。プリメーラお姉様、なにかお考えはないでしょうか?」
「私もこの街のことはあまり詳しくありません。シント様方で信用できそうなお店はご存じありませんか?」
信用できそうな店……。
うーん、服や毛布を買えるようなお店は心当たりが……。
ああ、でも、あの人なら顔が広そうです。
「お店は知りませんが善良なお店を知っていそうな方には心当たりがあります。それでよろしいですか?」
「それでも構いません。ご案内いただけますか?」
「ええ。ただ、行くのは種苗店ですから多少のご無礼は多めに見てください」
「気にしません。参りましょう」
公女様たちの馬車の馭者席に乗り道を教えながらやってきたのは1店の種苗店。
さて、店主は今日いらっしゃいますでしょうか?
「女将さん、いらっしゃいますか?」
「ああ、いるよ。久しぶりだね、シント、リン、ベニャト。秋野菜の種苗を買っていくかい?」
「それはまた後日。今日はとある方々のご案内です」
「とある方々? ……その馬車の紋章は公王家の紋章」
「始めまして、第二公女プリメーラと申します」
「初めまして第三公女イネスです。失礼ですがあなたのお名前は?」
「ん、ああ。女将で十分さ。ところで、イネス様。あんた、病で寝込んでたんじゃなかったのかい? 元気になって出歩けているのはシントたちのせいだね?」
「え、いや、その」
「まあ、深くは追求しないさ。ババアの戯れ言だとでも考えとくれ。それで、今日は何のご用でしょうか?」
女将さんはイネス公女様に話しかけますが、イネス公女様は完全に女将さんの雰囲気に飲まれてしまっています。
大丈夫でしょうか?
「あ、はい。孤児院に配布する冬用の衣服や毛布の確保をしたいのですが……」
「ああ、なるほど。いまの指定事業者どもは部長と結託して中抜きを行い、品質の悪いものを高く売りつける連中ばかりだからね」
「……やはりそうだったのですか?」
「その様子だと薄々気がついていたようだね。理由は聞かないでおいてやるが表情や言葉に出さないように気をつけな。それじゃ、本題に戻ろうか。孤児院の衣服と毛布ってことは数も大量、質もそれなりが望ましいだろう?」
「はい。それが望ましいのですが、そのように都合のいいお店は……」
「あるから地図を持ってきてやる。ただ、今日一日で全員分揃うかどうかは怪しいから足りなかったら発注をかけてもらって早めに納品してもらいな」
「え? そんなお店がどこに……」
「下町にもお店はそれなりにあるんだよ。ともかくちょっと待ってな」
女将さんは店の奥に引っ込んでいくと、地図を持って出てきました。
その地図には何カ所も丸がつけられています。
「こいつが古着屋と毛布を取り扱っている店の地図だ。どっちか片方しか取り扱っていない店も多いし大店から納品を断られた二流品が主だが孤児院で使う分には十分だろうよ」
「女将さん。二流品とは?」
「ん? 仕立て直してもいまいち綺麗にならなかった服や毛布として端のほうにほつれがあったりとかそう言う品だよ。綺麗な服じゃないのは我慢してもらうしかないけど、毛布のほつれは自分たちで直せるだろう? その程度の手間で安く大量に品物が手に入るんだ。有効活用しな」
「ありがとうございます。助かります」
「こっちとしても助かるよ。下町のそういう店じゃやっぱり売り上げも少ないからね。今回はそっちで我慢しておくれ。……それと、シントたちも手出しするのは今回だけにしておきなよ?」
「……僕たちの差し金だと言うことまでばれていましたか」
「公女様とは言え、ひとつの街で特別大きな福祉事業をしちまえばほかの街で不満が出るからね。行きずりのあんたらの名前が使えなかったことは理解している。だだ、今回は〝イネス様がこの街で薬を手に入れることができた感謝の証〟って名目にしな。そうすりゃ、ほかの街からの不満も少しは出ないだろうさ」
「助言までいただき感謝します」
「気にしないどくれ。孫を近々持つ身として若い者へのお節介さ。さあ、さっさとその地図の場所を周りな。下町巡りだから想像以上に時間がかかるよ」
「はい。ありがとうございました」
「ああ、じゃあね。シントたちも秋野菜の準備はできてるから近々買いにきておくれ」
それだけ言い残して店の中に戻って行く女将さん。
公女様たちの馭者は女将さんの地図を確認し、最適なルートを割り出すのに必死です。
何せ、本当に下町巡り。
馬車が通れるか怪しい細い道も多いですからね
やがて道の選定が決まったのか地図を持って馭者席に戻ると、僕たちもそれぞれの馬車に戻り出発です。
そして女将さんの教えてくれた1件目のお店に来たのですが……。
「これが……二級品の古着?」
「ん? そのバッジ、行政庁のやつだろう? ここに置いてあるのは全部大きな通りの古着屋で買い取ってもらえなかった古着ばかりだよ」
「え、でも……いままで孤児院に渡していた服よりも質がいい……」
「ああ、孤児院運営部の人間か。あそこの室長は腐ってやがる。業者と癒着してぎりぎり服になっている程度の古着を高値で買い取って差額を自分の懐に収めてやがるんだよ。下町の古着屋界隈じゃ有名な話さ」
「……私、そんなことも知らなかったんだ」
「気にすんな。それで、孤児院運営部の人間がこんな下町の古着屋まで来てどうするんだ?」
「ああ、それなら私が説明いたします」
「あんたは?」
「クエスタ公国第三公女イネスと申します。今回、とある理由からこの街の孤児院に寄付をすることになりました。それで、指定事業者となっている古着屋や雑貨屋を見て回ったんですが……」
「へえ、第三公女様は目利きもできるか」
「はい。店主が信用ならない人間でしたのですべてお断りしてきました」
「そりゃあいい。それで、こんな下町にある古着屋まで来た目的は?」
「種苗店の女将という方からのご推薦です。このお店ならいい古着が手に入るだろうと」
「……なるほど、女将からの推薦か。この時期で古着っていうことは冬物だな? あまり並べていないが店の裏に在庫としてもう仕入れてある。見ていくかい?」
「ええ、喜んで」
「じゃあ、ついてきな。そんで、お眼鏡にかなったら全部買い取ってくれても構わないぜ。割引もする」
「買い取るのは構いませんが割引には応じられません。あなたにはあなたの生活があるでしょう?」
「孤児院のガキどもに配るんだろう? 俺らもなんとかしたかったんだがなにもできなくて歯がゆい思いをしていたんだよ。折れちゃもらえないか?」
「だめです。もしその気があるなら春物を仕入れに来たときも買えるようにしてください」
「その程度でいいなら喜んで。……これが、うちで仕入れた冬物の古着だ。古めかしいデザインのもんが多いが寒さ対策は万全だぜ?」
「……確かに温かそうですね。シェーンさん、いかがです?」
「はい! これなら子供たちも喜んで受け入れてくれます!」
「ならよかった。古着の搬送用に荷馬車とかはあるのかい?」
「……ああ、申し訳ありません。用意していませんでした」
「じゃあ、こいつらは売らずにとっておく。代金も売るときに引き換えだ。文句はないよな?」
「店主さんがそれでいいのでしたら」
「俺は一向に構わんしその方が助かる。このほかにも店を回るんだろう? 女将さんの名前を最初にだしな。あの人にはいろんな連中が大なり小なり世話になってる。その女将さんの推薦で街の孤児院のために自分たちの仕入れた品が売れるんなら喜んで売ると思うぜ」
「では今回の買い物、女将さんの名前を活用させていただきましょう」
「そうしてくれ。じゃあ、なるべく早いうちに服は引き取りに来てくれよ。冬になっちまってガキどもが凍えてからじゃ遅いからよ」
「明日には荷馬車を用意して受け取りに参ります」
「ああ、待ってるぜ」
その後のお店でも最初はいぶかしがられましたが、女将さんの名前を出すと納得されてお店の商品をすべて見せてくれました。
すべての店を回っても足りなかったら問屋から確保すると言ってくれた店も多く、シェーンさんは涙ぐんでましたね。
……それにしても、あの女将さんって何者でしょう?