なんだか駄々っ子のようになり始めたアクエリアを連れて湖へと戻ってきました。
とりあえず、川造りの許可もいただけましたし、作業開始……のつもりだったのですが、今度はアクエリアがいじけ始めています。
『……私の湖の方が先にできていたのに……普通の湖に繋がるゲートだって用意してあったのに……魚たちが1匹も住み着いてくれないだなんて』
「はいはい、アクエリア。わかりましたから川を造り始めましょう」
「そうですよ。昼食はメイヤ様からいただいている木の実で住ませますが、夕食になってもメイヤ様の元に戻らないと今回怒られるのはアクエリア様ですよ?」
『うう……メイヤ様に怒られるのも怖い……わかりました。始めましょう。イメージを送ります』
アクエリアから送られてきたイメージは……結構複雑ですね?
川も一直線じゃありませんし、周囲は岩で覆われるように指定されています。
ところどころ池もありますし、これはなにに使うのでしょうか?
『ご説明は必要ですよね?』
「よろしくお願いします。なんで曲がりくねっているのかも、岩で側面を固めているのかも、途中に池があるのかもまったくわかりません」
『まず、曲がりくねっている理由です。川が一直線になると水が一気に流れ落ちていくのですよ。それを避け、ゆっくりと進ませるために川を曲がりくねらせています』
「川が曲がりくねっている理由はわかりました。岩をくりぬいたイメージで川を造るのは?」
『普通に大地をえぐり取っただけだと水の流れで土が削り取られ、段々川がまっすぐになっていってしまいます。自然とそういった土や砂が集まってできる地形もありますが、海に近いですし余計な砂などは流し込みたくはありません。……岩も少しずつですが削られていってしまうのですが』
「なるほど。最後の池はなんですか?」
『川の流れをゆっくりにするための休憩場所のようなものです。そこでも魚たちを呼び寄せられないか検証ですね』
川造りっていろいろ考えているんですね。
ただ、一直線に水を引き込むだけではだめですか。
そうなってくると……。
「アクエリア。この川って湖側から造っても大丈夫なんですか?」
『湖に繋がる場所を最後に造っていただければ。水が流れ込んでしまうと創造魔法といえども大変ですよね?』
「大変ですね。それにしても森の中を移動しながらの川造りですか。意外と時間がかかりそうです」
「シント?」
「……はい。明日はお休みですよね。わかっています」
リンが一緒について歩いているのは僕の監視役でもあるんですよね……。
とりあえず、無理をしない程度に頑張りましょう。
まずは、指定されたあたりまで森の中に分け入って、湖に繋がらない位置から創造魔法を発動と。
「アクエリア、これで大丈夫ですか?」
『ええ、その程度の幅と深さがあれば十分です。あとは、それを少しずつ下に下に掘り下げていくように並べていただければ大丈夫ですね』
「……結構難しいですよ?」
『ああ、深くなりすぎてもいけません。次の岩を配置するときもっと深くしなければいけなくなりますので』
「……とっても難しいです」
「アクエリア様。あまり無理をおっしゃるようでしたらシントを連れ帰りますからね?」
『……創造魔法でも難しいですか?』
「創造魔法は僕のイメージした通りのことしかできません。やれるだけやってみますのでアクエリアはその都度確認を」
『お任せください』
そのような感じで始まった川造り。
アクエリアからのダメ出しとリンからの牽制の綱渡りが続く中、完成したのは全体の半分ほど。
続きは翌々日ということになり、この日はリンが僕を普段以上に甘やかして寝ることとなりました。
そして、休息日を挟んでの2日目。
この日もアクエリアとリンの駆け引きが続く中、夕暮れ前に海までつなげることに成功しました。
湖まで戻り湖と川をつなげると、そこから水も流れていきアクエリアによれば途中途中に造った池で時間はかかるだろうがやがて海まで流れ着くだろうとのことです。
ともかく、川造りは完了。
流れでて少なくなっていく水は湖の精霊などがその都度補充するそうです。
便利ですね、精霊って。
そして、完成したことをメイヤに報告しましたが、あまり表情はよろしくありませんでした。
『そう、川造りは終わった訳ね』
「はい。2日後くらいに様子を見に来てほしいと言うことでしたので、そのときに状況を確認しに行きますが……それだけではだめでしょうか?」
『うーん。なんとなくだけど、だめなような気がしてならないのよね』
「メイヤ様、理由がわかっているのでは?」
『わかっていたら教えるわ。わざわざあなた方を出向かせるような真似はしないわよ』
「そうでしたか。疑って申し訳ありません」
『いいえ、気にしないでちょうだい。それにしても海は生態系豊かなのに湖はまったくなにも生息していないって言うのはねぇ……』
「アクエリアもそこが気に入らないみたいですね」
『……あの子も〝水の五大精霊〟なのだから焦らなければいいのに。まったく、困ったものよね』
「あはは……まあ、僕が動く分には気にしませんが……」
『契約者を動き回している時点で問題よ。あの子たち、それを理解しているのかしら?』
「最初に働かせ始めたのは音楽堂造りをメイヤが依頼したところからですよ?」
『……さて、夕食にしましょう』
「話をごまかさないでください」
まったく、メイヤだって僕を働かせているというのに。
僕もただ暇をしているよりよっぽどいいので、進んで協力しますが……今回は難題ですね。
とりあえず、川造りの許可もいただけましたし、作業開始……のつもりだったのですが、今度はアクエリアがいじけ始めています。
『……私の湖の方が先にできていたのに……普通の湖に繋がるゲートだって用意してあったのに……魚たちが1匹も住み着いてくれないだなんて』
「はいはい、アクエリア。わかりましたから川を造り始めましょう」
「そうですよ。昼食はメイヤ様からいただいている木の実で住ませますが、夕食になってもメイヤ様の元に戻らないと今回怒られるのはアクエリア様ですよ?」
『うう……メイヤ様に怒られるのも怖い……わかりました。始めましょう。イメージを送ります』
アクエリアから送られてきたイメージは……結構複雑ですね?
川も一直線じゃありませんし、周囲は岩で覆われるように指定されています。
ところどころ池もありますし、これはなにに使うのでしょうか?
『ご説明は必要ですよね?』
「よろしくお願いします。なんで曲がりくねっているのかも、岩で側面を固めているのかも、途中に池があるのかもまったくわかりません」
『まず、曲がりくねっている理由です。川が一直線になると水が一気に流れ落ちていくのですよ。それを避け、ゆっくりと進ませるために川を曲がりくねらせています』
「川が曲がりくねっている理由はわかりました。岩をくりぬいたイメージで川を造るのは?」
『普通に大地をえぐり取っただけだと水の流れで土が削り取られ、段々川がまっすぐになっていってしまいます。自然とそういった土や砂が集まってできる地形もありますが、海に近いですし余計な砂などは流し込みたくはありません。……岩も少しずつですが削られていってしまうのですが』
「なるほど。最後の池はなんですか?」
『川の流れをゆっくりにするための休憩場所のようなものです。そこでも魚たちを呼び寄せられないか検証ですね』
川造りっていろいろ考えているんですね。
ただ、一直線に水を引き込むだけではだめですか。
そうなってくると……。
「アクエリア。この川って湖側から造っても大丈夫なんですか?」
『湖に繋がる場所を最後に造っていただければ。水が流れ込んでしまうと創造魔法といえども大変ですよね?』
「大変ですね。それにしても森の中を移動しながらの川造りですか。意外と時間がかかりそうです」
「シント?」
「……はい。明日はお休みですよね。わかっています」
リンが一緒について歩いているのは僕の監視役でもあるんですよね……。
とりあえず、無理をしない程度に頑張りましょう。
まずは、指定されたあたりまで森の中に分け入って、湖に繋がらない位置から創造魔法を発動と。
「アクエリア、これで大丈夫ですか?」
『ええ、その程度の幅と深さがあれば十分です。あとは、それを少しずつ下に下に掘り下げていくように並べていただければ大丈夫ですね』
「……結構難しいですよ?」
『ああ、深くなりすぎてもいけません。次の岩を配置するときもっと深くしなければいけなくなりますので』
「……とっても難しいです」
「アクエリア様。あまり無理をおっしゃるようでしたらシントを連れ帰りますからね?」
『……創造魔法でも難しいですか?』
「創造魔法は僕のイメージした通りのことしかできません。やれるだけやってみますのでアクエリアはその都度確認を」
『お任せください』
そのような感じで始まった川造り。
アクエリアからのダメ出しとリンからの牽制の綱渡りが続く中、完成したのは全体の半分ほど。
続きは翌々日ということになり、この日はリンが僕を普段以上に甘やかして寝ることとなりました。
そして、休息日を挟んでの2日目。
この日もアクエリアとリンの駆け引きが続く中、夕暮れ前に海までつなげることに成功しました。
湖まで戻り湖と川をつなげると、そこから水も流れていきアクエリアによれば途中途中に造った池で時間はかかるだろうがやがて海まで流れ着くだろうとのことです。
ともかく、川造りは完了。
流れでて少なくなっていく水は湖の精霊などがその都度補充するそうです。
便利ですね、精霊って。
そして、完成したことをメイヤに報告しましたが、あまり表情はよろしくありませんでした。
『そう、川造りは終わった訳ね』
「はい。2日後くらいに様子を見に来てほしいと言うことでしたので、そのときに状況を確認しに行きますが……それだけではだめでしょうか?」
『うーん。なんとなくだけど、だめなような気がしてならないのよね』
「メイヤ様、理由がわかっているのでは?」
『わかっていたら教えるわ。わざわざあなた方を出向かせるような真似はしないわよ』
「そうでしたか。疑って申し訳ありません」
『いいえ、気にしないでちょうだい。それにしても海は生態系豊かなのに湖はまったくなにも生息していないって言うのはねぇ……』
「アクエリアもそこが気に入らないみたいですね」
『……あの子も〝水の五大精霊〟なのだから焦らなければいいのに。まったく、困ったものよね』
「あはは……まあ、僕が動く分には気にしませんが……」
『契約者を動き回している時点で問題よ。あの子たち、それを理解しているのかしら?』
「最初に働かせ始めたのは音楽堂造りをメイヤが依頼したところからですよ?」
『……さて、夕食にしましょう』
「話をごまかさないでください」
まったく、メイヤだって僕を働かせているというのに。
僕もただ暇をしているよりよっぽどいいので、進んで協力しますが……今回は難題ですね。