そのあともいろいろと部屋を見て回り、海面すれすれの部屋ではそこを飛び回る魚を、海の底付近にある部屋では海の底で生きている生物たちを間近で見ることができました。
これだけでもわくわくします。
あと、海の中にも〝海藻〟と言って草の仲間が生えているんだとか。
それを食べて成長する生物たちもいるらしく、草木の育ちやすい神樹の里はそういった生物にはいい環境なのかもしれません。
マーメイドは海藻が増えすぎるため、定期的に除去しているそうですが……。
『さて、次が最後の部屋でございます』
「そうですね。僕が作った部屋数とも合いますし……ただ、結構長いですよね、次の部屋まで」
『沖合に生息する魚を見てほしかったので。これでも私たちの魔法で近くまで寄ってきていただいているのですよ』
「それは楽しみ!」
『じっくりご覧ください。あら? 説明しているところにいい魚が』
僕たちの歩いている通路の左側を高速で1匹の魚が通り過ぎていきました。
かなり高速だったのであまりはっきりとは見えませんでしたが……あれは一体?
『あれはマグロという魚です。回遊魚と言いまして泳ぎ続けていないと死んでしまう魚ですね』
「この建物って大丈夫なんですか?」
『この建物にはぶつからないような仕掛けを私たちの方で既に組み込んであります。あら、次はカツオの群れが』
「どこどこ、って上か」
『はい。あのように群れになって泳ぐのがカツオの特徴ですね。と言うことは近くにイワシの群れでもいるのかしら?』
「イワシの群れ?」
『小型の魚が〝イワシ〟です。カツオと同じように群れで動き回り、時には……ああ、いました!』
「え? 魚が竜巻みたいになってる!?」
『イワシはああやって体を大きく見せかけることで大型魚からの捕食を避けることもあるのです。見ることができて幸運でした』
「海の生き物とはいろいろなことをするのですね……」
『ええ、生き残るための知恵ですから。さて、もっと沖合へと出てみましょうか。たくさんの魚に会えるといいのですが……』
そのあとも奥に進むにつれて見たことも聞いたこともない魚たちがたくさん姿を見せました。
途中で現れた〝サメ〟という魚はいろいろな性質を持っているそうで、小型の魚や亀を食べる種類から〝プランクトン〟という目に見えないような小さな生き物を吸い込んで食べる種類まで多種多様なようです。
実際、見かけただけでも頭の部分がT字型になった〝シュモクザメ〟というものや大型の〝ジンベイザメ〟と言うものに出会いましたから。
マーメイドたちが管理する海ではいろいろな海の生物が暮らせるように環境を整えているそうですが、それにしても驚きです。
『さて、ここが一番沖合に作った部屋です。どのような魚や生物がいてくれるか……』
「それはマーメイドでもわかりませんか」
『私たちが追い込めばいくらでも見ることができますが、それでは面白くないでしょう?』
「そうかもしれませんね」
そんなことを話している間に僕たちの側によってきた生き物が1匹。
これはなんでしょうか?
「マーメイド、この生き物は?」
『これは〝イルカ〟ですね。エコーロケーションに珍しいものが引っかかったので様子を見に来たのでしょう』
「〝エコーロケーション〟ってなに?」
『〝超音波〟という耳には聞こえない音を使ってものの形などを調べるのです。それを使いこの建物が発見されたので様子を見に来たのでしょう』
「結構かわいいね」
『小魚などが餌ですよ?』
「……私たちも肉とかを食べるし一緒だよ」
『そうですね。ほかには……あちらに〝ミンククジラ〟が』
「〝ミンククジラ〟?」
『あの生き物です。いまは遠いので正確な大きさがわからないでしょうが私たちよりも大きいですよ』
「沖合に出るといろいろな魚や生物がいるんだね……」
『もちろん。陸の近くで暮らす魚なども多いですが、沖合に出れば陸の近くでは暮らせない大型の生物たちだって……おや?』
「ん? 影?」
『あら、本当に今日は運がいい』
「運がいいって!? マーメイド!? あの巨大ななにかはなに!?」
『落ち着いてください、守護者様。あれは〝シロナガスクジラ〟と言います。幻獣や精霊、妖精たちを除く普通の生物では世界最大の生物と言われていますね』
「あれって今どの辺りを泳いでいるの?」
『あの大きさですと……海面を泳いでいるのではないでしょうか? クジラやイルカはヒト族と同じ哺乳類。水中では息ができませんからね』
「あんな大きな生き物が私たちとおなじ……」
「いや、驚いたものです……」
『あら、〝シャチ〟も近づいてきました。今日はいろいろな生き物と巡り会えて本当に運がいいですね』
「この黒い生き物が〝シャチ〟ですか」
「お腹の方は白いね」
『シャチもクジラの仲間の一種です。好奇心が強いので普段海の中にはいない皆さんが気になって寄ってきたのでしょう』
「本当に運のいい日です」
「そうだね。いろいろなお魚や生き物に巡り会えたんだもの」
『本当です。ほかの皆さんを案内するときもこれだけ海の仲間を紹介できればいいのですが……』
そこばかりはどうしても運になってしまうようです。
マーメイドとしても自然に生きている海の生き物たちを見てもらいたいそうで追い込みなどはしたくないのだとか。
それにしてもすてきな場所になりました。
この日はまだ時間があったのでディーヴァとミンストレルも連れてくるとふたりとも大はしゃぎで海の様子を見て回り、森の中では絶対に出会えない生き物とのふれあいを楽しんでいった様子です。
帰り際にはマーメイドの仲間たちが用意してくれた〝ホタテ〟と言う貝も食べさせてもらいましたが、甘みがあってコリコリしていて美味しいです。
夕食に戻るとき、メイヤへのお願いとして「ホタテ貝の養殖を認めてもらいたい」というお願いをされましたが、メイヤに伝えると「無理のない範囲であれば好きにやらせるといいわ」と言うことでした。
翌日にそのことを伝えに行ってホタテ貝の養殖も無事に決まり、この建物は『海族館』と名付けられることに。
そちらも正式にオープンすると物珍しさから幻獣や精霊、妖精たちが集まり、海の中という普段は体験できない環境に興奮して帰っていくそうです。
……神樹の里って娯楽に飢えているのでしょうか?
これだけでもわくわくします。
あと、海の中にも〝海藻〟と言って草の仲間が生えているんだとか。
それを食べて成長する生物たちもいるらしく、草木の育ちやすい神樹の里はそういった生物にはいい環境なのかもしれません。
マーメイドは海藻が増えすぎるため、定期的に除去しているそうですが……。
『さて、次が最後の部屋でございます』
「そうですね。僕が作った部屋数とも合いますし……ただ、結構長いですよね、次の部屋まで」
『沖合に生息する魚を見てほしかったので。これでも私たちの魔法で近くまで寄ってきていただいているのですよ』
「それは楽しみ!」
『じっくりご覧ください。あら? 説明しているところにいい魚が』
僕たちの歩いている通路の左側を高速で1匹の魚が通り過ぎていきました。
かなり高速だったのであまりはっきりとは見えませんでしたが……あれは一体?
『あれはマグロという魚です。回遊魚と言いまして泳ぎ続けていないと死んでしまう魚ですね』
「この建物って大丈夫なんですか?」
『この建物にはぶつからないような仕掛けを私たちの方で既に組み込んであります。あら、次はカツオの群れが』
「どこどこ、って上か」
『はい。あのように群れになって泳ぐのがカツオの特徴ですね。と言うことは近くにイワシの群れでもいるのかしら?』
「イワシの群れ?」
『小型の魚が〝イワシ〟です。カツオと同じように群れで動き回り、時には……ああ、いました!』
「え? 魚が竜巻みたいになってる!?」
『イワシはああやって体を大きく見せかけることで大型魚からの捕食を避けることもあるのです。見ることができて幸運でした』
「海の生き物とはいろいろなことをするのですね……」
『ええ、生き残るための知恵ですから。さて、もっと沖合へと出てみましょうか。たくさんの魚に会えるといいのですが……』
そのあとも奥に進むにつれて見たことも聞いたこともない魚たちがたくさん姿を見せました。
途中で現れた〝サメ〟という魚はいろいろな性質を持っているそうで、小型の魚や亀を食べる種類から〝プランクトン〟という目に見えないような小さな生き物を吸い込んで食べる種類まで多種多様なようです。
実際、見かけただけでも頭の部分がT字型になった〝シュモクザメ〟というものや大型の〝ジンベイザメ〟と言うものに出会いましたから。
マーメイドたちが管理する海ではいろいろな海の生物が暮らせるように環境を整えているそうですが、それにしても驚きです。
『さて、ここが一番沖合に作った部屋です。どのような魚や生物がいてくれるか……』
「それはマーメイドでもわかりませんか」
『私たちが追い込めばいくらでも見ることができますが、それでは面白くないでしょう?』
「そうかもしれませんね」
そんなことを話している間に僕たちの側によってきた生き物が1匹。
これはなんでしょうか?
「マーメイド、この生き物は?」
『これは〝イルカ〟ですね。エコーロケーションに珍しいものが引っかかったので様子を見に来たのでしょう』
「〝エコーロケーション〟ってなに?」
『〝超音波〟という耳には聞こえない音を使ってものの形などを調べるのです。それを使いこの建物が発見されたので様子を見に来たのでしょう』
「結構かわいいね」
『小魚などが餌ですよ?』
「……私たちも肉とかを食べるし一緒だよ」
『そうですね。ほかには……あちらに〝ミンククジラ〟が』
「〝ミンククジラ〟?」
『あの生き物です。いまは遠いので正確な大きさがわからないでしょうが私たちよりも大きいですよ』
「沖合に出るといろいろな魚や生物がいるんだね……」
『もちろん。陸の近くで暮らす魚なども多いですが、沖合に出れば陸の近くでは暮らせない大型の生物たちだって……おや?』
「ん? 影?」
『あら、本当に今日は運がいい』
「運がいいって!? マーメイド!? あの巨大ななにかはなに!?」
『落ち着いてください、守護者様。あれは〝シロナガスクジラ〟と言います。幻獣や精霊、妖精たちを除く普通の生物では世界最大の生物と言われていますね』
「あれって今どの辺りを泳いでいるの?」
『あの大きさですと……海面を泳いでいるのではないでしょうか? クジラやイルカはヒト族と同じ哺乳類。水中では息ができませんからね』
「あんな大きな生き物が私たちとおなじ……」
「いや、驚いたものです……」
『あら、〝シャチ〟も近づいてきました。今日はいろいろな生き物と巡り会えて本当に運がいいですね』
「この黒い生き物が〝シャチ〟ですか」
「お腹の方は白いね」
『シャチもクジラの仲間の一種です。好奇心が強いので普段海の中にはいない皆さんが気になって寄ってきたのでしょう』
「本当に運のいい日です」
「そうだね。いろいろなお魚や生き物に巡り会えたんだもの」
『本当です。ほかの皆さんを案内するときもこれだけ海の仲間を紹介できればいいのですが……』
そこばかりはどうしても運になってしまうようです。
マーメイドとしても自然に生きている海の生き物たちを見てもらいたいそうで追い込みなどはしたくないのだとか。
それにしてもすてきな場所になりました。
この日はまだ時間があったのでディーヴァとミンストレルも連れてくるとふたりとも大はしゃぎで海の様子を見て回り、森の中では絶対に出会えない生き物とのふれあいを楽しんでいった様子です。
帰り際にはマーメイドの仲間たちが用意してくれた〝ホタテ〟と言う貝も食べさせてもらいましたが、甘みがあってコリコリしていて美味しいです。
夕食に戻るとき、メイヤへのお願いとして「ホタテ貝の養殖を認めてもらいたい」というお願いをされましたが、メイヤに伝えると「無理のない範囲であれば好きにやらせるといいわ」と言うことでした。
翌日にそのことを伝えに行ってホタテ貝の養殖も無事に決まり、この建物は『海族館』と名付けられることに。
そちらも正式にオープンすると物珍しさから幻獣や精霊、妖精たちが集まり、海の中という普段は体験できない環境に興奮して帰っていくそうです。
……神樹の里って娯楽に飢えているのでしょうか?