「だめだよ! こんな難しい工事、毎日シントにやらせていちゃ!」
リンが〝音楽堂〟を見学に来てすぐさま、不満が爆発しました。
ドラゴンたちでさえ気圧されています。
『う、うむ。だが、音楽堂というのはこういうものなのだ』
『その通り。この神樹の里で作れるのは契約者しかいまい?』
『そうよね。契約者がいないと……』
「シントしか作れないことはわかるの! こんな複雑で難しい作業を毎日毎日休みなしでシントにやらせていたことが大問題なの! ドラゴン基準で考えないで! 私たちは契約者と守護者だけど人間とエルフなんだから!!」
『ああ、いや、その……』
『契約者がなにも言わなかったものだからつい……』
『私たちなら休まずにこの程度の作業を毎日続けられるんだけど……』
「ともかくシントには無理! できれば3日に1日、少なくとも5日に1日は休ませなさい!」
『わ、わかった。3日に1日休むことにしよう』
『音楽堂は早く作ってもらいたいがそういう事情であればやむを得まい』
『そ、そうね。無理をさせすぎてもよくないわ』
「そういうわけだから今日はお休み! シント、どこかにお出かけ!」
「えぇ……いいのですか、ドラゴンたちは?」
『いや、無理をさせすぎてきたようだからな……』
『守護者を止められる理由がない……』
『本当にごめんなさい……』
ドラゴンにまで謝られてしまいました。
リン、強すぎです。
でも、お出かけとはどこに行くのでしょうか?
とりあえず〝音楽堂〟は出ましたが。
「リン、これからどうするのですか?」
「まずはディーヴァの歌唱会に行く! いまの時間から行けばそれなりの場所を確保できるから!」
「構いませんけど……無理矢理はだめですよ?」
「わかってるよ!」
怒ったままのリンに連れられてディーヴァの野外ステージへ。
そこでは開始時間より大分早いのに幻獣などがすでに場所取りをしていました。
「相変わらずディーヴァの歌は人気ですね」
「ステージができてからはよく声も通るようになったからね。さあ、私たちも席を取るよ。あそこがいいかも」
リンに連れられてやってきたのは前に大型の幻獣などがいなくてディーヴァの顔がよく見ることができそうな丘の上。
そこで開演時間を待ち、ディーヴァがやってくると大歓声で迎え入れられ、彼女の歌が始まります。
ですが、ディーヴァの歌っている歌は僕の知らない歌。
彼女も僕が知らないうちに成長していたんですね。
ディーヴァが10曲ほど披露すると歌唱会も終了。
また歓声が響き渡り聴衆たちが帰っていきます。
やがて、僕たちの元にディーヴァがやってきて……僕のことを叱り始めました。
「シント様。私たちのために〝音楽堂〟を作ってくださっているのはわかります。感謝もしておりますが無理はなさらないでください。ミンストレルも心配しているんですよ? シント様が契約者とはいえ過労を起こせば倒れます。そうなれば心配を皆さんにかけてしまいますからね。これからは無理をせずに休み休み建設を進めてください」
「大丈夫だよ、ディーヴァ。私がドラゴンたちから3日に1回の休みをもぎ取ってきたから!」
「よくできました、リン! それくらいなら大丈夫ですね!」
「うん! あと、毎日作業の様子を見に行くことにする! シントが疲れて無理そうになったら休憩を取らせてもらうか連れ帰ることにするから!」
「それがいいです! ところで、シント様。私の歌が増えていたことに気がつきましたか?」
「もちろん。誰から学んだのですか?」
「エアリアルが人間の吟遊詩人が歌っているのを聞いて覚えてきてくれたそうです。あと、今日は歌いませんでしたがシント様たちが幻獣様などを救い歩いているときの歌や、〝王都〟決戦の時の歌も人気ですよ?」
「それはそれで恥ずかしいのですが……まあ、仕方がないでしょうね」
「諦めてくださいな。あ、ミンストレルも来ました。シント様がいるのを見て走ってきていますね」
「転ばないといいんですが」
「転んでも起き上がって走ってきますよ」
ディーヴァのいうとおりミンストレルは僕の元まで駆け寄ってくると、そのまま勢いよく抱きついてきました。
受け止めきれずに草むらに押し倒されてしまいましたが、ミンストレルは本当に嬉しそうです。
ミンストレルにまで心配をかけていたんですね。
そのあと昼食後はメイヤも含め5人で海エリアへ。
なんでも海の生物が大量に住み着くようになり海の幸が気兼ねなく食べられるのだとか。
実際、マーメイドたちが魚をひとり1匹ずつ捕まえてきてくれ、それを焼いて食べたのですがメイヤの木の実とはまた違ったおいしさがありました。
そして海岸にできた砂浜という場所には貝殻というものもたくさん落ちていて、ミンストレルはそれを拾い集めて遊んでいましたね。
そうこうしているうちに夕方になり、夕食も木の実を食べて温泉に入って就寝。
翌日からはリンに見守られながらの作業となりました。
昨日休んでリフレッシュできたせいか、作業もぐんぐん進みそのまま1カ月ほどで内装工事も完了。
扉の取り付けや魔力式空調設備、魔力式照明なども取り付け終わり2階や3階にある特別席への出入り口や階段、演者用の出入り口や控え室などもすべて完成しました。
あとは実際に使ってみて不備がないかをチェックするだけだそうです。
最初の公演はやはりディーヴァの歌唱になるとのこと。
そのときは僕たちも一番後ろ壁から音がちゃんと聞こえるか確認しますし、実際に使われるその日が楽しみになってきました。
リンは「まだちょっと無茶してる!」って怒り気味ですけどね?
リンが〝音楽堂〟を見学に来てすぐさま、不満が爆発しました。
ドラゴンたちでさえ気圧されています。
『う、うむ。だが、音楽堂というのはこういうものなのだ』
『その通り。この神樹の里で作れるのは契約者しかいまい?』
『そうよね。契約者がいないと……』
「シントしか作れないことはわかるの! こんな複雑で難しい作業を毎日毎日休みなしでシントにやらせていたことが大問題なの! ドラゴン基準で考えないで! 私たちは契約者と守護者だけど人間とエルフなんだから!!」
『ああ、いや、その……』
『契約者がなにも言わなかったものだからつい……』
『私たちなら休まずにこの程度の作業を毎日続けられるんだけど……』
「ともかくシントには無理! できれば3日に1日、少なくとも5日に1日は休ませなさい!」
『わ、わかった。3日に1日休むことにしよう』
『音楽堂は早く作ってもらいたいがそういう事情であればやむを得まい』
『そ、そうね。無理をさせすぎてもよくないわ』
「そういうわけだから今日はお休み! シント、どこかにお出かけ!」
「えぇ……いいのですか、ドラゴンたちは?」
『いや、無理をさせすぎてきたようだからな……』
『守護者を止められる理由がない……』
『本当にごめんなさい……』
ドラゴンにまで謝られてしまいました。
リン、強すぎです。
でも、お出かけとはどこに行くのでしょうか?
とりあえず〝音楽堂〟は出ましたが。
「リン、これからどうするのですか?」
「まずはディーヴァの歌唱会に行く! いまの時間から行けばそれなりの場所を確保できるから!」
「構いませんけど……無理矢理はだめですよ?」
「わかってるよ!」
怒ったままのリンに連れられてディーヴァの野外ステージへ。
そこでは開始時間より大分早いのに幻獣などがすでに場所取りをしていました。
「相変わらずディーヴァの歌は人気ですね」
「ステージができてからはよく声も通るようになったからね。さあ、私たちも席を取るよ。あそこがいいかも」
リンに連れられてやってきたのは前に大型の幻獣などがいなくてディーヴァの顔がよく見ることができそうな丘の上。
そこで開演時間を待ち、ディーヴァがやってくると大歓声で迎え入れられ、彼女の歌が始まります。
ですが、ディーヴァの歌っている歌は僕の知らない歌。
彼女も僕が知らないうちに成長していたんですね。
ディーヴァが10曲ほど披露すると歌唱会も終了。
また歓声が響き渡り聴衆たちが帰っていきます。
やがて、僕たちの元にディーヴァがやってきて……僕のことを叱り始めました。
「シント様。私たちのために〝音楽堂〟を作ってくださっているのはわかります。感謝もしておりますが無理はなさらないでください。ミンストレルも心配しているんですよ? シント様が契約者とはいえ過労を起こせば倒れます。そうなれば心配を皆さんにかけてしまいますからね。これからは無理をせずに休み休み建設を進めてください」
「大丈夫だよ、ディーヴァ。私がドラゴンたちから3日に1回の休みをもぎ取ってきたから!」
「よくできました、リン! それくらいなら大丈夫ですね!」
「うん! あと、毎日作業の様子を見に行くことにする! シントが疲れて無理そうになったら休憩を取らせてもらうか連れ帰ることにするから!」
「それがいいです! ところで、シント様。私の歌が増えていたことに気がつきましたか?」
「もちろん。誰から学んだのですか?」
「エアリアルが人間の吟遊詩人が歌っているのを聞いて覚えてきてくれたそうです。あと、今日は歌いませんでしたがシント様たちが幻獣様などを救い歩いているときの歌や、〝王都〟決戦の時の歌も人気ですよ?」
「それはそれで恥ずかしいのですが……まあ、仕方がないでしょうね」
「諦めてくださいな。あ、ミンストレルも来ました。シント様がいるのを見て走ってきていますね」
「転ばないといいんですが」
「転んでも起き上がって走ってきますよ」
ディーヴァのいうとおりミンストレルは僕の元まで駆け寄ってくると、そのまま勢いよく抱きついてきました。
受け止めきれずに草むらに押し倒されてしまいましたが、ミンストレルは本当に嬉しそうです。
ミンストレルにまで心配をかけていたんですね。
そのあと昼食後はメイヤも含め5人で海エリアへ。
なんでも海の生物が大量に住み着くようになり海の幸が気兼ねなく食べられるのだとか。
実際、マーメイドたちが魚をひとり1匹ずつ捕まえてきてくれ、それを焼いて食べたのですがメイヤの木の実とはまた違ったおいしさがありました。
そして海岸にできた砂浜という場所には貝殻というものもたくさん落ちていて、ミンストレルはそれを拾い集めて遊んでいましたね。
そうこうしているうちに夕方になり、夕食も木の実を食べて温泉に入って就寝。
翌日からはリンに見守られながらの作業となりました。
昨日休んでリフレッシュできたせいか、作業もぐんぐん進みそのまま1カ月ほどで内装工事も完了。
扉の取り付けや魔力式空調設備、魔力式照明なども取り付け終わり2階や3階にある特別席への出入り口や階段、演者用の出入り口や控え室などもすべて完成しました。
あとは実際に使ってみて不備がないかをチェックするだけだそうです。
最初の公演はやはりディーヴァの歌唱になるとのこと。
そのときは僕たちも一番後ろ壁から音がちゃんと聞こえるか確認しますし、実際に使われるその日が楽しみになってきました。
リンは「まだちょっと無茶してる!」って怒り気味ですけどね?