なんとなく、毎朝リンと分かれて行動するのが寂しくなってきました。
でも、音楽堂作りはやり遂げねば!
今日も音楽堂前では3匹のドラゴンが待ち構えています。
1枚の木の板を持って。
「おはようございます。その木の板は?」
『これから内装……つまり音楽堂本体を作ってもらうために必要な木材だ。よく調べてまったく同じものを何枚もサイズ違いで作れるようにしてもらいたい』
「構いませんが……神眼で調べた結果、見たことも聞いたことのない木なのですがこれは?」
『音を響かせるには最適な品質を持った木材を最高品質で作ってもらった。ドライアドでも苦労していたぞ』
『そうね。あなたが外観作りをしていた2週間をかけてようやく満足できる木材になったもの』
……ツリーハウス、あなたにも飛び火していたんですね。
すべての工事が終わったら謝りに行きましょう。
「それで、〝音楽堂〟本体ですか? それは木製の家を作るようにすればいいのでしょうか?」
『いや、まったく違う。いまイメージを送る』
このときドラゴンから送られてきたイメージは……複雑なんてものじゃないですよ!?
なんですか、この壁のギザギザは!
角度まで完全に指定されているじゃないですか!?
『いま送ったのが音楽堂本体だが、説明は必要か?』
「お願いします。さすがにこの複雑さはちょっと……」
『まずステージ。その後ろの壁がまっすぐな木の板でできているのは反響音を聴衆にしっかりと聞かせるためだ。そうすることで音がより鮮明に届く』
『ステージの上面がなだらかな円状になっているのも同じ理由よ。すべては聴衆に音を届けるためね』
『天井が波打っている理由は低音部分が吸収されるためだ。低音部分だけが後ろまで響いては雑音になってしまうからな』
『壁の波打ちは逆に音を響かせるためだ。そうすることで遠くまで音が響き渡り、後ろの方でも臨場感を味わえる』
『彼女たちが魔法のアクセサリーや《ファーボイス》の支援を使っているとはいえ、場所はしっかりと作ってあげたいものね。さあ、はりきって作るわよ!』
「……はい」
こうして始まった〝音楽堂〟本体作り。
まずはステージから始めたのですが、その時点からダメ出しが連発。
なんでも、ステージは完全に水平になっていなければいけないのだとか。
僕は慎重にステージ上面を造り上げ、この時点で2日を消費。
次はステージに上がるための階段……と考えていたのですが、〝音楽堂〟では演者が別の入口から入ることになるためいらないらしく。普通に木の板に細工を施して作るだけで許してもらえました。
次はステージ後ろの壁作り。
反響音とやらを綺麗に響かせるために必要な設備というだけのことはあり、細かい指摘が爆発。
この部分を作るのにも一週間ほどかけました。
その次はステージ上の天井作りです。
こちらも綺麗な丸みを帯びていなければいけないと言うことで指摘を何度も受けましたがなんとか3日で完成させました。
ですが、ステージを作るだけでも2週間を消費しています。
この先天井や壁などを作るのには何週間かかるのか……。
********************
そして、唯一の休憩時間であるリンとの温泉と睡眠時間。
温泉でリンに話しかけられてしまいました。
「ねえ、シント。大丈夫? 毎日、疲れた顔をして帰ってきているよ? 辛かったら少しくらい休んでもいいんじゃない?」
「いえ、大丈夫ですよ。早く音楽堂を完成させないとドラゴン達の不満が爆発しそうです」
「でも、ディーヴァやミンストレルも心配してるんだよ? 段々シントの元気がなくなっていってるって」
「それは悪いことをしていますね。ですが、創造魔法でもないと竜たちの細かい注文に応えられないのですよ……」
「私が乗り込んで文句を言おうか?」
「やめてください。竜との関係がこじれたら〝音楽堂〟が作れなくなります」
「でも……私にはシントの方が心配だよ。もうすぐ1カ月になるんだし」
「すみません。ずっと心配をかけっぱなし、甘えっぱなしで」
「甘えてくれるのはいいけど……そうだ、私の胸に寄りかかってみる?」
「どうしてですか?」
「女の人の胸に顔を埋めると男の人は気持ちが安らぐんだって! シントもやってみて!」
「はい。こうでしょうか?」
「そうそう。ああ、シントの感触が気持ちいい……」
僕もなんだかリンの柔らかい胸に包まれていると気持ちが癒される気がします。
でも、これって慣れてしまってはいけないことの気がしますね。
「ありがとうございます、リン。もう大丈夫です」
「もういいの? 私はもっとシントの感触を感じていたかったな」
「なんだか僕の方がだめになるような気がして。とりあえず、温泉から出て寝ましょうか」
「うん。明日は私も〝音楽堂〟の工事を見に行くからね!」
「わかりました。ただ、ドラゴン達と衝突しないでくださいよ」
「わかってるって。さあ、一緒に寝よう」
「ええ、そうしましょうか」
今日もリンに抱きしめられながら寝ることとなりました。
リンの優しい匂いに包まれているとよく眠れるんですよね……。
でも、音楽堂作りはやり遂げねば!
今日も音楽堂前では3匹のドラゴンが待ち構えています。
1枚の木の板を持って。
「おはようございます。その木の板は?」
『これから内装……つまり音楽堂本体を作ってもらうために必要な木材だ。よく調べてまったく同じものを何枚もサイズ違いで作れるようにしてもらいたい』
「構いませんが……神眼で調べた結果、見たことも聞いたことのない木なのですがこれは?」
『音を響かせるには最適な品質を持った木材を最高品質で作ってもらった。ドライアドでも苦労していたぞ』
『そうね。あなたが外観作りをしていた2週間をかけてようやく満足できる木材になったもの』
……ツリーハウス、あなたにも飛び火していたんですね。
すべての工事が終わったら謝りに行きましょう。
「それで、〝音楽堂〟本体ですか? それは木製の家を作るようにすればいいのでしょうか?」
『いや、まったく違う。いまイメージを送る』
このときドラゴンから送られてきたイメージは……複雑なんてものじゃないですよ!?
なんですか、この壁のギザギザは!
角度まで完全に指定されているじゃないですか!?
『いま送ったのが音楽堂本体だが、説明は必要か?』
「お願いします。さすがにこの複雑さはちょっと……」
『まずステージ。その後ろの壁がまっすぐな木の板でできているのは反響音を聴衆にしっかりと聞かせるためだ。そうすることで音がより鮮明に届く』
『ステージの上面がなだらかな円状になっているのも同じ理由よ。すべては聴衆に音を届けるためね』
『天井が波打っている理由は低音部分が吸収されるためだ。低音部分だけが後ろまで響いては雑音になってしまうからな』
『壁の波打ちは逆に音を響かせるためだ。そうすることで遠くまで音が響き渡り、後ろの方でも臨場感を味わえる』
『彼女たちが魔法のアクセサリーや《ファーボイス》の支援を使っているとはいえ、場所はしっかりと作ってあげたいものね。さあ、はりきって作るわよ!』
「……はい」
こうして始まった〝音楽堂〟本体作り。
まずはステージから始めたのですが、その時点からダメ出しが連発。
なんでも、ステージは完全に水平になっていなければいけないのだとか。
僕は慎重にステージ上面を造り上げ、この時点で2日を消費。
次はステージに上がるための階段……と考えていたのですが、〝音楽堂〟では演者が別の入口から入ることになるためいらないらしく。普通に木の板に細工を施して作るだけで許してもらえました。
次はステージ後ろの壁作り。
反響音とやらを綺麗に響かせるために必要な設備というだけのことはあり、細かい指摘が爆発。
この部分を作るのにも一週間ほどかけました。
その次はステージ上の天井作りです。
こちらも綺麗な丸みを帯びていなければいけないと言うことで指摘を何度も受けましたがなんとか3日で完成させました。
ですが、ステージを作るだけでも2週間を消費しています。
この先天井や壁などを作るのには何週間かかるのか……。
********************
そして、唯一の休憩時間であるリンとの温泉と睡眠時間。
温泉でリンに話しかけられてしまいました。
「ねえ、シント。大丈夫? 毎日、疲れた顔をして帰ってきているよ? 辛かったら少しくらい休んでもいいんじゃない?」
「いえ、大丈夫ですよ。早く音楽堂を完成させないとドラゴン達の不満が爆発しそうです」
「でも、ディーヴァやミンストレルも心配してるんだよ? 段々シントの元気がなくなっていってるって」
「それは悪いことをしていますね。ですが、創造魔法でもないと竜たちの細かい注文に応えられないのですよ……」
「私が乗り込んで文句を言おうか?」
「やめてください。竜との関係がこじれたら〝音楽堂〟が作れなくなります」
「でも……私にはシントの方が心配だよ。もうすぐ1カ月になるんだし」
「すみません。ずっと心配をかけっぱなし、甘えっぱなしで」
「甘えてくれるのはいいけど……そうだ、私の胸に寄りかかってみる?」
「どうしてですか?」
「女の人の胸に顔を埋めると男の人は気持ちが安らぐんだって! シントもやってみて!」
「はい。こうでしょうか?」
「そうそう。ああ、シントの感触が気持ちいい……」
僕もなんだかリンの柔らかい胸に包まれていると気持ちが癒される気がします。
でも、これって慣れてしまってはいけないことの気がしますね。
「ありがとうございます、リン。もう大丈夫です」
「もういいの? 私はもっとシントの感触を感じていたかったな」
「なんだか僕の方がだめになるような気がして。とりあえず、温泉から出て寝ましょうか」
「うん。明日は私も〝音楽堂〟の工事を見に行くからね!」
「わかりました。ただ、ドラゴン達と衝突しないでくださいよ」
「わかってるって。さあ、一緒に寝よう」
「ええ、そうしましょうか」
今日もリンに抱きしめられながら寝ることとなりました。
リンの優しい匂いに包まれているとよく眠れるんですよね……。