「……」
俺は扉の奥に進むと、そこには全ての悪の元凶である公爵とその一人息子であるチャーリーが立っていた。彼の身に纏う高貴な服装は、その悪意と野望を隠し切れないものとなっていた。
先ほどの奴隷が閉じ込められていた狭い場所とは打って変わって、ここは円形のドーム状になっており、高い天井や広いフロア内は眩い明かりに支配されていた。
まるで、見せ物の催しを行うための格闘場……いや、実験場のような、そんなイメージだ。
「公爵家というのは、随分と派手な地下を持っているんだな」
俺はフロアの中央で佇む公爵とチャーリーに声をかけた。
「やっと到着かね。待ちくたびれたよ。」
「随分と余裕そうだな」
俺は言葉を返しながらもローブを翻して砂埃を払う。
「余裕だね! だってパパとぼくはお前がここに来ることを知ってんだから!」
「チャーリーの言う通り、君が私の邸宅に忍び込んできたことは最初から把握済みだ。実は玄関には監視用の魔道具が設置されていてね。我々は君がここに到達するのを待っていたんだよ」
余裕そうな口振りのチャーリーとは裏腹に、公爵は厳格で固い雰囲気を崩すことなく口にした。
多分五十歳くらいだろうか。何者にも屈さない権力者特有の強気なオーラを纏っている。
「何の為に? 助けてやるつもりは毛頭もないが、まさか命乞いのためじゃないだろうな?」
俺の言葉を聞いた公爵は、傲慢な笑みを浮かべてこちらを見つめる。
「上で老いた魔法使いと戦闘をしてもらったが、あれは全て予行演習だ。君の実力を確かめるためでもある。だから、君がここに来るのは想定内、全て私の計算のうちだったというわけさ」
特に入念な警戒はしていなかったので仕方ないが、結果的に言えば俺はまんまと誘き出された形らしい。
少しばかり不服ではあるが、こうして悪の親玉と対峙できたので良しとする。
「まあ、そんなことはどうでもいいから大人しく投降しろ。お前たちのせいで俺は不愉快なんだ」
周りも不愉快だし俺も不愉快だ。
大事な従業員であり相棒のシエルを酷い目に合わせた元凶は許しておけない。
「そんな大口を叩けるのも今のうちだよ。ここに足を踏み入れた瞬間、君はここが実験場だと分かっていたのだろう? なら話は早い。君には私がこれまでに創り上げてきた最強の合成獣も戦ってもらう。来なさい、疾風龍虎!」
公爵が満面の笑みを浮かべながら手を叩くと、奥に見えるシャッターがゆっくりと開かれた。
そして、その奥から一体のモンスターが現れる。
疾風龍虎と呼ばれたそのモンスターを俺は知らない。
顔は虎、体は龍、翼が四対生えていて四足歩行。
尻尾は長くしなやかで頑強そうな鱗が見える。
別々のモンスター同士を人工的に組み合わせて創り出した存在。これが合成獣か。
俺は扉の奥に進むと、そこには全ての悪の元凶である公爵とその一人息子であるチャーリーが立っていた。彼の身に纏う高貴な服装は、その悪意と野望を隠し切れないものとなっていた。
先ほどの奴隷が閉じ込められていた狭い場所とは打って変わって、ここは円形のドーム状になっており、高い天井や広いフロア内は眩い明かりに支配されていた。
まるで、見せ物の催しを行うための格闘場……いや、実験場のような、そんなイメージだ。
「公爵家というのは、随分と派手な地下を持っているんだな」
俺はフロアの中央で佇む公爵とチャーリーに声をかけた。
「やっと到着かね。待ちくたびれたよ。」
「随分と余裕そうだな」
俺は言葉を返しながらもローブを翻して砂埃を払う。
「余裕だね! だってパパとぼくはお前がここに来ることを知ってんだから!」
「チャーリーの言う通り、君が私の邸宅に忍び込んできたことは最初から把握済みだ。実は玄関には監視用の魔道具が設置されていてね。我々は君がここに到達するのを待っていたんだよ」
余裕そうな口振りのチャーリーとは裏腹に、公爵は厳格で固い雰囲気を崩すことなく口にした。
多分五十歳くらいだろうか。何者にも屈さない権力者特有の強気なオーラを纏っている。
「何の為に? 助けてやるつもりは毛頭もないが、まさか命乞いのためじゃないだろうな?」
俺の言葉を聞いた公爵は、傲慢な笑みを浮かべてこちらを見つめる。
「上で老いた魔法使いと戦闘をしてもらったが、あれは全て予行演習だ。君の実力を確かめるためでもある。だから、君がここに来るのは想定内、全て私の計算のうちだったというわけさ」
特に入念な警戒はしていなかったので仕方ないが、結果的に言えば俺はまんまと誘き出された形らしい。
少しばかり不服ではあるが、こうして悪の親玉と対峙できたので良しとする。
「まあ、そんなことはどうでもいいから大人しく投降しろ。お前たちのせいで俺は不愉快なんだ」
周りも不愉快だし俺も不愉快だ。
大事な従業員であり相棒のシエルを酷い目に合わせた元凶は許しておけない。
「そんな大口を叩けるのも今のうちだよ。ここに足を踏み入れた瞬間、君はここが実験場だと分かっていたのだろう? なら話は早い。君には私がこれまでに創り上げてきた最強の合成獣も戦ってもらう。来なさい、疾風龍虎!」
公爵が満面の笑みを浮かべながら手を叩くと、奥に見えるシャッターがゆっくりと開かれた。
そして、その奥から一体のモンスターが現れる。
疾風龍虎と呼ばれたそのモンスターを俺は知らない。
顔は虎、体は龍、翼が四対生えていて四足歩行。
尻尾は長くしなやかで頑強そうな鱗が見える。
別々のモンスター同士を人工的に組み合わせて創り出した存在。これが合成獣か。