それから俺が美術部の幽霊部員と化したのはほんの僅かで、三年生はこのコンクールの絵を描き上げた順に部活を引退していった。
他の誰よりも真っ先にテーマを決めて、他の誰よりも真っ先に仕上げに入っていた颯馬。
それなのにもかかわらず、颯馬はコンクールの締め切りギリギリまで、放課後の美術室に通っていた。
『応募はひとり二点まで』と告知があったから、ふたつ応募するんだろうな。
と、俺は勝手に決めつけていたけれど、引退後の颯馬に何気なく確かめてみたら、あっさりと首を横に振られた。
「いいや?一点しか応募してないよ」
「え。じゃあなんでずっと美術室通ってたの」
「だってまだ、作品が完成してなかったから」
他の誰よりも真っ先に仕上げに入っていた颯馬。
そう記憶があった俺だけれど、まだ細かい調整が残っていたのだろうか。
疑問に感じて聞きたくなったけれど、不恰好な形で引退に至った俺が突っ込みすぎかとも思い、やめておく。
それから時は流れ、コンクールの結果発表。
卒業を控えた春に、颯馬の絵が某有名美術館に飾られることが決定した。
他の誰よりも真っ先にテーマを決めて、他の誰よりも真っ先に仕上げに入っていた颯馬。
それなのにもかかわらず、颯馬はコンクールの締め切りギリギリまで、放課後の美術室に通っていた。
『応募はひとり二点まで』と告知があったから、ふたつ応募するんだろうな。
と、俺は勝手に決めつけていたけれど、引退後の颯馬に何気なく確かめてみたら、あっさりと首を横に振られた。
「いいや?一点しか応募してないよ」
「え。じゃあなんでずっと美術室通ってたの」
「だってまだ、作品が完成してなかったから」
他の誰よりも真っ先に仕上げに入っていた颯馬。
そう記憶があった俺だけれど、まだ細かい調整が残っていたのだろうか。
疑問に感じて聞きたくなったけれど、不恰好な形で引退に至った俺が突っ込みすぎかとも思い、やめておく。
それから時は流れ、コンクールの結果発表。
卒業を控えた春に、颯馬の絵が某有名美術館に飾られることが決定した。