「え、この店まだあったんだ」

 俺の掃除は、とあるレンタルビデオ屋の出入り口前、「ここへ入れ」と言わんばかりの矢印に形を変えた白線によって幕を閉じる。

「よく通ったよなあ、ここ。祐樹(ゆうき)泰造(たいぞう)と、年齢(とし)誤魔化して」

 そう年齢確認に厳しくはなかった時代。まだ中学生にもかかわらず、俺は当時よくつるんでいた仲間とアダルトビデオなんかを借りていた。年齢(とし)が18未満だってバレてからは、一切顔を出せなくなったけど。

 デッキブラシを店の傍に立てかけて、扉を開けて入店した。すると早速俺の元へとやって来た小太り店員(男性)から、こんな言葉を投げかけられる。

「すみませんお客様!お客様がいつも借りておられます『ふしだら男女◯◯の濃厚△△△シリーズ』!全て出払っちゃっているんですよ〜!」