「なんだこれ、チョーク……?」
とある日の午後。コンビニでも行くかと思い実家の扉を開けたその瞬間、俺の目に飛び込んできたのは白い線。しゃがみ込み、敷地内のタイルに伸びているそれを手でなぞってみると、指先には白い粉がついた。
「蝋石かもな、懐かし」
30年前、駄菓子屋で数十円払えば購入できた長方形の石。時にはそれで石蹴りのマス目を描き、時にはそれで、ゲームの勝敗の正の字を描いたりもした。
「あいつらの似顔絵も、よく描いたっけ」
昔を思い出せば、ふっと自然と溢れる笑み。はあっと軽く息を吐いて、俺は立ち上がった。
とある日の午後。コンビニでも行くかと思い実家の扉を開けたその瞬間、俺の目に飛び込んできたのは白い線。しゃがみ込み、敷地内のタイルに伸びているそれを手でなぞってみると、指先には白い粉がついた。
「蝋石かもな、懐かし」
30年前、駄菓子屋で数十円払えば購入できた長方形の石。時にはそれで石蹴りのマス目を描き、時にはそれで、ゲームの勝敗の正の字を描いたりもした。
「あいつらの似顔絵も、よく描いたっけ」
昔を思い出せば、ふっと自然と溢れる笑み。はあっと軽く息を吐いて、俺は立ち上がった。