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「舞弥ちゃんごめんね、せっかくバイトお休みの日なのに」
「大丈夫だよ~。みんなを見てるだけで楽しいから、また来たかったんだ。それに――」
「玉! この踊りはなんだっ?」
「今バズってるやつっす!」
「ばず……?」
たぬき姿の玉と小さなあやかしたちが、コロコロと楽しそうに遊んでいる。
また来たいという玉の願いを叶えたかったのだ。
玉がテレビで見たダンス(?)を披露すれば、小さなあやかしたちも見様見真似で踊っている。
バイトが休みの今日、舞弥は龍波(たつなみ)神社の手伝いに来ていた。
今は二人で本殿の拭き掃除をしている。
「美也ちゃん、この神社ってどういう経緯で美也ちゃんの彼氏さんが住むようになったの?」
舞弥が手すりを拭きながらたずねると、本殿の柱を拭いている美也が答えた。
「その呼び方なんだ……。ええと、跡継ぎがいなくて無人になっちゃったらしいの。そこを榊さんが見つけて住みだしたんだって」
「そうなんだ」
「でも管理してる方はいて、前の神主さんが亡くなって跡継ぎがいなかったから、別の神社の神主さんがここも兼任されてたの。ただその方はほかにいくつも兼任してて、ここの神社としてお祓いとかお守り授与とかは出来てなかったんだけど、榊さんがいるってことはご存知だったみたい。榊さんとご挨拶に行ったとき、私たちの手で再開することと、壱翁様が神主さんをやられるってことも承諾してもらってるよ。本当、ここまで綺麗にしてくださっていただけで大感謝だよ」
「……ちなみに美也ちゃん、彼氏さんの正体って、話したの?」
「こっちから話したわけじゃないんだけど、わかられてた。霊感強い人っているんだねー」
あはは、と笑う美也を見て、舞弥は感心した。本当に人として大きいな……と。
「それから、舞弥ちゃん……ごめんね? この前、私が言っちゃったから……?」
「え? あ、ああ……。ううん、おかげで、その……壱のこと好きだって気づいたし、言われてなかったら私、ずっと気づかなかったかもしれないし……むしろありがとうだよ」
「そ、そう、かな? でも壱翁様のことは榊さんに前から聞いてたんだけど、舞弥ちゃんすごいなあ」
「え? 壱、何かあるの?」