「…………へ? なんでそうなるの?」
「え? だって壱翁様の呪い解いたのって舞弥ちゃんなんだよね? 付き合ってておかしくないじゃん?」
美也の方が、なんでそうなる? という顔をしていた。
だが舞弥は否定する。そんな事実はないのだから。
「いやいや、なんで呪い解いたら付き合ってるの?」
舞弥に質問で返されて、え? と驚く美也。
「壱翁様の呪いを解く条件って、『心から愛している人の口づけ』でしょ? むしろ付き合ってない方がおかしくない?」
「……………へ?」
美也の不思議そうな顔と言葉に、舞弥はものすごく間の抜けた声が出た。
「あれ? ……言っちゃいけなかったやつ……かな?」
美也が気づいたが、手遅れだった。
美也と舞弥のやり取りが聞こえていたらしい壱は腕で自分の顔を隠していて、榊は「ほう?」とつぶやいている。
美也の発言からの壱の行動で意味をわかってしまった舞弥は、しばしぽけっとしたあと顔を真っ赤にさせた。
そして――
「……ぴゃーっ!!!!」
「うおぅっ!? どうした舞弥!?」
舞弥は小さなあやかしたちと遊んでいた玉を引っつかんで神社から駆け出した。
「ま、舞弥!? どうしたんだぁあああぁぁ………」
玉の悲鳴を残響させながら、舞弥は走り去ってしまった。
「え? え? どういうこと? 舞弥ちゃんどうしたの?」
美也が混乱していると、榊は壱をにらみつけた。
「おい壱翁、お前朝倉舞弥に言ってないのか? 解呪の条件」
「………」
壱は黙るしかなかった。