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「えーと、朝倉さんの紹介だけど、苗字同じなんだ?」

「はい! に……舞弥とは遠縁ですが親戚です!」

「朝倉玉くんね。応募してくれたシフトは夕勤枠だけど――――」

休憩室で玉の面接が行われている。

舞弥は心配で、こそこそと様子をうかがっていた。

履歴書に書く苗字は舞弥と同じ『朝倉』にして、ずっと『人間』呼びだった舞弥の呼び方は、なんとか呼び捨てにすることで落ち着いた。

「まーいやちゃん。ちょっと、どこにあんなイケメン隠してたのよ」

「永利(えいり)さん、いや別に隠しては……」

舞弥がこそこそと休憩室を気にしているのに気づいた同僚が舞弥の隣ににゅっと現れた。

永利は舞弥の先輩で、大学生だ。

玉と壱が舞弥のもとにいる大きな理由である『怪我』は、外傷ではなく内部に受けた傷らしい。

目に見えるものではないので治癒も難しく、ただ時間に任せて自然に治っていくのを待つしかないとのこと。

その点、舞弥の部屋という安住の地は、ふたりにとってありがたいのだとか。

「玉は色々心配なので――」

「ぎょくくん? 彼女いる?」

単刀直入な質問に舞弥は一瞬頭の中が宇宙になった。

玉はあやかしだが、やはり彼女と妻とかは存在するかもしれない。

だが、『自分はあやかしの中では赤ちゃん扱いされる年齢』とも言っていたから、まだまだそういうのとは縁遠いかもしれない。

言葉を考えた。

「……後方保護者面してる家族ならいますよ」

「いや家族なら保護者であってない? 後方にいる意味ないっつーか」

永利に言われて、確かに、と思った。

だが壱のあの様子は後方彼氏面とも違う気がしたので、訂正は出来なかった。

「二人とも、何してるのかな?」

ガチャ、と内側からドアが開いて、笑顔に怒りマークをつけた店長が舞弥と永利を見下ろしていた。

女性の店長はほわほわした見た目ながら厳しいところは厳しく、バイトにも客にもマナーの悪い行いはゆるさなかった。