「もし明日から私が手を動かせなくなるって言ったらどうする？」

今のうちにボタン止めを習って置かないとね。
いつも君に頼っていたから今度はパパの番だ。

「もし明日から私が足を動かせなくなったらどうする？」

僕が足になるよ。どこへでも行こう。車椅子くらいいくらでも押すさ。小学校にも変わらず通えるよ。

「もし明日から私がベッドから起き上がれなくなったとしたらどうする？」

ずっと隣にいるよ。
隣で本でも読んであげようかな。
君は本を読まないからね。

「じゃあ、もし明日。私が死んじゃうとしたら？」

その日は久しぶりに一緒に寝よう。
最後に大好きだよ、おやすみって言いたいから。

君はそれを聞いて安心したようにニカッと笑った。

「決めた。私手術受けるよ。それで病気も治してパパにボタン止めを教えて、旅行に連れて行ってもらって、何度も大好きだよって言ってもらうために」